『トランスフォーマー/ビースト覚醒』公開前振り返り考察&解説!リブート第1作『バンブルビー』の注目ポイント | VG+ (バゴプラ)

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』公開前振り返り考察&解説!リブート第1作『バンブルビー』の注目ポイント

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『トランスフォーマー/ビースト覚醒』2023年8月4日に日本公開決定!

実写版「トランスフォーマー」シリーズの第7作にあたり、『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』(1997-1998)を下敷きとした『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(2023)がアメリカでは2023年6月9日、日本では2023年8月4日に全国公開されることが決まった。

トランスフォーマー/ビースト覚醒』は『バンブルビー』に続くリブート第2作目になるとされているが、一方でプロデューサーのロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラは『トランスフォーマー』(2007)に繋がっていくとも発言しており、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は“ソフト”リブートとなると考察されている。

本記事では、そのようなソフトリブート作品となる『トランスフォーマー/ビースト覚醒』をより一層楽しむために、ソフトリブート第1作目の『バンブルビー』(2019)に関するイースターエッグや考察について、短いながらも忌憚のない視点から書いていきたいと思う。

2つの世界観を繋ぐ物語

すべての始まり“G1シリーズ”

『バンブルビー』は記憶と声を失ったトランスフォーマーのバンブルビーと、父親を喪ったヘイリー・スタインフェルド演じるチャーリー・ワトソンの友情と成長を描いたジュブナイル映画である。米映画評論サイトロッテントマトなどでの批評家の評価は高く、「シリーズ最高の作品」と言われ、公開時には実写版「トランスフォーマー」全体の中でも最も高い評価を獲得した。

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第1作目『トランスフォーマー』の20年前に当たる1987年のカルフォルニアを舞台に、1980年代の音楽などポップカルチャーと「トランスフォーマー」シリーズを融合させた『バンブルビー』。そこに大きな影響を与えたのが最初のアニメーションシリーズの『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』(1985-1986)や『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』(1987-1988)やその海外版OVA『トランスフォーマー ザ・リバース』(1987)などの総称である“G1シリーズ”だ。

G1シリーズの中でも特に「トランスフォーマー」シリーズ最初の映画である長編アニメーション『トランスフォーマー ザ・ムービー』(1989)の影響は大きい。『バンブルビー』冒頭で、惑星サイバトロンの混乱した戦地にオートボット総司令官オプティマス・プライムが宙返りしながら飛び込んで銃撃する場面は、カット割りも含めて『トランスフォーマー ザ・ムービー』のサイバトロン(オートボット)総司令官コンボイ(オプティマス・プライム)の突入場面をオマージュしている。

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他にも『バンブルビー』で監督を務めたトラヴィス・ナイト監督はG1シリーズへのオマージュを各所に散りばめている。各トランスフォーマーのG1シリーズ寄りのデザインなどはその代表例だ。怖気づくチャーリー・ワトソンに向けてバンブルビーが流す音楽が『トランスフォーマー ザ・ムービー』の主題歌スタン・ブッシュの『ザ・タッチ』(1986)であるなどメタ的なものも挙げられる。

他にも、追跡してきたディセプティコンのドロップキックとの戦いで一度車に変形してから助走をつけて殴る場面は『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』のオープニングのマイスター(ジャズ)とスカイワープの対決場面を模しているなど、オマージュやリスペクトは細部にまでいたる。

G1シリーズ最終作『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』を下敷きとした『トランスフォーマー/ビースト覚醒』にもそのようなこだわりは引き継がれている。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の新予告では『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』で印象的だったサイに変身するライノックスの背に乗るトランスフォーマーや、人間が装着することで小型のトランスフォーマーと同様の能力を得られるエクソスーツが登場している。

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G1シリーズから脈々と受け継がれてきたトランスフォーマーの魅力を、『トランスフォーマー ザ・ムービー』から実写版に落とし込んだのが『バンブルビー』だと言える。そこに『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の要素を加えたものが『トランスフォーマー /ビースト覚醒』だと考えられる。

実写化の道を切り拓いた“ベイバース”

実写版第1作目『トランスフォーマー』から実写版第5作目『トランスフォーマー /最後の騎士王』(2017)までのマイケル・ベイ監督による5部作の通称が“ベイバース”だ。リブート作品とされているものの、『バンブルビー』にもベイバースの流れは組み込まれている。

冒頭の惑星サイバトロンでの戦いにおいて、情報参謀サウンドウェーブや防衛参謀ショックウェーブ、航空参謀スタースクリームというディセプティコンの中核を担う3人の参謀が揃っているのに対してディセプティコンのリーダーであるメガトロンが登場しないのは、ベイバースの時系列ではその頃のメガトロンは地球で冷凍状態のまま拘束されていたことを意識したものだとされている。他にもバンブルビーが声を出せないという設定はベイバースで発展したものだ。

また、ジョン・シナ演じるジャック・バーンズ少佐が所属している部隊はセクター7であることが装備からもわかるが、このセクター7はベイバースにおいてメガトロンを冷凍状態で捕獲し、研究していた機関の名前だ。それだけではなく、ジャック・バーンズ少佐がディセプティコンとの取引によってニューヨーク、ワシントンDC、シカゴも襲撃されるかもと言っているが、この3都市は『トランスフォーマー』、『トラスフォーマー /リベンジ』(2009)、『トランスフォーマー /ダークサイド・ムーン』(2011)でディセプティコンによる襲撃を受けた都市の名前である

他にもジャック・バーンズ少佐がシーモア・シモンズという新人の名を呼ぶ場面があるが、シーモア・シモンズはベイバースではお馴染みの俳優のジョン・タトゥーロ演じるセクター7のリーダー格の捜査官の名前だ。

このように『バンブルビー』でもベイバースの影響が各所に見られるが、時系列通りであればセクター7は既にメガトロンというトランスフォーマーを知っているはずなので、あくまでも正式な前日譚ではなくオマージュ的に影響を受けた程度に留まっている。これは『トランスフォーマー/ビースト覚醒』にも見られるものだ。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』のスティーヴン・ケイプル・ジュニア監督は『クリード 炎の宿敵』でも監督を務めたが、マイケル・ベイ監督からキャラクターの描き方や時間配分を教わったと語っている

マイケル・ベイ監督特有の演出である“ベイヘム(大騒ぎや破壊を意味するMayhemとマイケル・ベイ監督の名前を組み合わせた造語)”もあるとスティーヴン・ケイプル・ジュニア監督は語っており、更には自分の映画のスタートはマイケル・ベイ監督の映画監督デビュー作『バッド・ボーイズ』(1995)を見て、自分なりのアフリカ系アメリカ人のヒーロー像をつくろうとしたことであると語っている。

その影響か、スティーヴン・ケイプル・ジュニア監督はリンチによって殺害された14歳のアフリカ系の少年のエメット・ルイス・ティルに関する社会派短編映画にもかかわっている。『バンブルビー』の監督はトラヴィス・ナイト監督だが、両者ともに「トランスフォーマー」シリーズの熱烈なファンと語っており、マイケル・ベイ監督の生み出したベイバースとG1シリーズを巧みに組み合わせたと言える

しかし、ベイバースにも悪いところもあり、批評家のみならず一般観客からもステレオタイプな人種像や過剰なセクシー描写が問題視されたプロダクトプレイスメント(映画作品内で商品の宣伝をすること)が目立つと眉を顰める人や、ポップコーン片手に頭を空っぽにしてみる映画と評する人もいた。『バンブルビー』、そして続編の『トランスフォーマー/ビースト覚醒』はベイバースの良いところを抽出し、G1シリーズとその時代のポップカルチャーとミックスしていると言えよう。

神は細部に宿る

スキャンするたびに新しい姿に“変形する”トランスフォーマーたち

『バンブルビー』の惑星サイバトロンでの戦いに登場するトランスフォーマーの兵士たちは多いものの、物語の主軸になるのはバンブルビーと彼を追跡してきたシャッターとドロップキックの3人だ。そこだけ書くと地味な映画に思えるが、この3人は地球に来る前/後など、場面ごとに姿が細かく変化しているのが特徴的だ。

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たとえば、惑星サイバトロンにいたころのバンブルビーはSF的かつ未来的な車の姿をしており、変形した際に胸に来るフロント部分も丸みを持ったデザインとなっている。その後、地球に飛来すると近くにあった「セクター7」のジープをスキャンし胸元の車のフロント部分は角張ったものになり、背中に来るドア部分もジープのものとなっている。それからはG1シリーズ同様の黄色いビートルをスキャンし、映画のラストで最初の実写映画『トランスフォーマー』と同じ2代目カマロをスキャンしている。

そして追手のディセプティコンのシャッターとドロップキックも最初こそバンブルビーと同じくSF的かつ未来的な車の意匠を持ったロボットの姿をしていたが、シャッターが赤のプリムス・GTXを、ドロップキックが青のAMC・ジャヴェリンをスキャンすると各部の意匠がそれらのものに変わっている。

更に2人が米軍と接触する際にはシャッターは「ホーカー・シドレー  ハリアーT.2」を、ドロップキックは「AH-1W スーパーコブラ」をスキャンしており、それによってシャッターの背中には「ホーカー・シドレー ハリアーT.2」、ドロップキックの胸には「AH-1W スーパーコブラ」のコクピットの意匠が現れている。

この3人だけでも3つから4つの姿に変化しているのだ。このような細かい演出がトランスフォーマーをただのロボットではなく、超ロボット生命体という生き物であるのだと強調してくれている。はじめて「トランスフォーマー」シリーズに触れる人への入門としてトランスフォーマーたちサイバトロニアン(惑星サイバトロンに住むトランスフォーマーたちの総称)の生物性をアピールするのは作品全体のイメージを掴みやすくしてくれている。

『トランスフォーマー: ウォー・フォー・サイバトロン: シージ』(Netflix)

ベイバースと新生ユニバースの繋がり

『バンブルビー』によって新規ファンにもわかりやすく、なおかつファミリー向けにも変わった実写版「トランスフォーマー」シリーズ。当初はベイバースからのリブートと発表されるも、プロデューサーからベイバースに繋がるとも言われていた『トランスフォーマー/ビースト覚醒』だが、その関係性は前述のとおりソフトリブートと言った方がしっくりくるかもしれない。

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『トランスフォーマー/ビースト覚醒』に登場するテラーコンのリーダーのスカージのフロント部分にはそれまで倒したトランスフォーマーたちのエンブレムが飾られているが、その中にはオートボットやディセプティコンだけではなく、マクシマルズやレッカーズ、エリートガードのものらしきエンブレムも存在している

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『トランスフォーマー/ビースト覚醒』で実写映画初登場するマクシマルズはオプティマス・プライマルに率いられる動物など有機体に変身するトランスフォーマーだが、レッカーズはオートボットの部隊の名称だ。初登場は1980年代にマーベルUKで連載されていたトランスフォーマーのコミックス。簡単に言えばオートボットのエンブレムに金槌をあしらったものをエンブレムとしている、オートボットにおける愚連隊兼海兵隊といった部隊だ。

レッカーズは『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』においてロードバスター、トップスピン、レッドフットの3人が登場している。そのため、ベイバースと『トランスフォーマー/ビースト覚醒』における新生ユニバースとの緩やかなつながりを感じさせるものとなっている。レッカーズはアニメ『超ロボット生命体 トランスフォーマー プライム』(2012-2013)にも登場しているため、オートボットも一枚岩ではないことを表現するキャラクターという役割も担っている。

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このスカージはそのデザインと緩やかにユニバースが繋がっている可能性のある“ソフト”リブートでもあることから、『トランスフォーマー/最後の騎士王』のラストで暗示された地球こそが惑星を捕食するトランスフォーマーのユニクロンであるという設定を基に、ファンダムの間では「ユニクロンの復活によって地球が滅び、誰も救えずに闇に堕ちてしまったオプティマス・プライムでは?」という予想も盛り上がっている。

ベイバースから新しくソフトリブートとなる『バンブルビー』『トランスフォーマー/ビースト覚醒』だが、その新しいユニバースを見届ける前にNetflixやAmazonプライムなど各種配信サイトで『バンブルビー』を観返すのはいかがだろうか。

また、「トランスフォーマー」シリーズにはじめて触れる人にもおすすめな『トランスフォーマーサイバーバース』(2019-)がYoutubeで無料配信されているので、これを機にぜひ「トランスフォーマー」シリーズに触れてみてほしい。

映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は、2023年8月4日(金)日本公開。

トランスフォーマー/ビースト覚醒』公式サイトç

中島健人と仲里依紗による吹替声優決定に関する記事はこちらから。

オリエンタルラジオ藤森慎吾ら追加の吹替声優決定に関する記事はこちらから。

『トランスフォーマー /ビースト覚醒』予告映像の第2弾はこちらから。

5月8日に公開された本編映像とその解説&考察はこちらから。

スーパーボウルで公開された『トランスフォーマー /ビースト覚醒』予告映像に関する記事はこちらから。

『トランスフォーマー /ビースト覚醒』の下敷きとなった『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』のキャラクター紹介記事はこちらから。

『トランスフォーマ― /ビースト覚醒』の続編となる2024年公開の長編アニメーション映画に関する考察記事はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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