2023年8月4日全国公開
2023年6月9日に全米公開され、初週興行成績で『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』から1位の座を奪取した『トランスフォーマー/ビースト覚醒』。アンソニー・ラモス演じるノア・ディアス役に中島健人、ドミニク・フィッシュバック演じるエレーナ・ウォレス役に仲里依紗がキャスティングされたが、その続報としてトランスフォーマーたちの吹替声優も発表された。それに伴い、吹替版本予告映像も公開された。
音響監督には「ビーストウォーズ」シリーズをはじめとする「トランスフォーマー」シリーズに長く関わってきた岩波美和監督が起用され、日本語版吹替のキャスティングには『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』(1997-1998)の影響が強く反映されている。その一方で、原語版吹替キャスト同様に新進気鋭の声優たちも起用されているのが特徴的だ。
本記事では、声優無法地帯の仕掛け人と呼ばれた岩波美和監督が「真面目にやっています!ホントです!!信じてください!!!」とまで言った『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の日本語吹替キャスティングとそこで起用された声優、そして吹替版声優らが演じるトランスフォーマーたちについて紹介していこう。
オートボット
ミラージュ 演:ピート・デイヴィッドソン 吹替:藤森慎吾
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』でアンソニー・ラモス演じるノア・ディアスの相棒を務め、トランスフォーマー側の主人公ポジションとなるのがシルバーにブルーストライプのポルシェ・911(964型)カレラRS3.に変形するミラージュだ。透明化や幻影による分身を生み出すことができ、俗に言う“パリピ”で“チャラ男”なオートボットのミラージュ。ミラージュの日本語吹替を担当するのがオリエンタルラジオの藤森慎吾だ。
原語版で吹替声優を担当するピート・デイヴィッドソンは『サタデー・ナイト・ライブ』(1975-)でレギュラーとして活躍し、ジェームズ・ガン監督作『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)ではノリの軽い傭兵ブラックガードを演じた。“パリピ”で“チャラ男”な役回りを演じることの多いコメディアンのピート・デイヴィッドソン。
その日本語吹替声優に“パリピ”で“チャラ男”な藤森慎吾が演じるのは巧いキャスティングだ。これは製作側から原語版でもコメディアンを起用したので、日本語版でもコメディアンを起用してほしいというオファーがあったとのことだ。
芸能人のゲスト声優というと不安を覚える人もいるかもしれない。しかし、藤森慎吾は「モンスター・ホテル」シリーズで明るく能天気に見えるが、人生は一度きりの“一瞬”の繰り返しだから外の世界を見ないと損と語るなど、芯の強いジョナサン・“ジョニー”・ロホランの日本語吹替を演じるなど、声優としての実績もあるので安心できるキャスティングと言える。
ポルシェ・911(964型)カレラRS3.8がミラージュの変形する車両に選ばれた理由はスティーヴ・ケイプル・Jr監督が映画監督を志すきっかけになったマイケル・ベイ監督長編映画デビュー作『バッドボーイズ』(1995)でウィル・スミス演じるマイク・ラーリーの乗るポルシェ・911(964型)ターボ3.6から来ている。
オプティマス・プライム 演:ピーター・カレン 吹替:玄田哲章
1984年を舞台にした『バンブルビー』(2019)で発生したディセプティコンと彼らに利用された人類による“バンブルビー監禁事件”から7年が経った1994年を舞台にした『トランスフォーマー/ビースト覚醒』。その一件で人類への不信感を抱くようになったオートボット総司令官オプティマス・プライム。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では1987年式フレイトライナーFLAセミトラックに変形するオプティマス・プライムだが、その原語吹替声優を担当するのはピーター・カレンだ。
ピーター・カレンはアニメ第1作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』(1985-1986)から長きに渡り様々な作品でオプティマス・プライムを演じ、英語圏では「オプティマス・プライムといえばピーター・カレン」という印象を抱かせるほどのベテラン声優だ。他にも「くまのプーさん」シリーズのイーヨーなども演じるアメリカ声優界の重鎮の一人といえるだろう。
初代オプティマス・プライムの人物像はピーター・カレンの兄で、海兵隊員だったラリー・カレンがモデルとなっている。ピーター・カレンは『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』のオーディションに行くことを兄のラリー・カレンに告げた際、彼からこう言われたという。
「ピーター、(アニメの)ヒーローになるのだったら、本物のヒーローになれ。見せかけだけのハリウッドのヒーローではなく、本当に強い男になれ。それは真実を語り、人に優しくできる強さを持った男だ」
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではそのようなピーター・カレンの心情が語られるインタビュー映像が公開されるなど、原語版でも声優のキャスティングに深い思い入れを感じさせるものになっている。では、日本語版声優はどうだろうか。日本語版声優でも同じように『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』から長きに渡り様々な作品でコンボイを演じ、「コンボイと言えば玄田哲章」という印象を抱かせる玄田哲章がキャスティングされている。
玄田哲章の演技力はアメリカでも認められており、実写映画第1作『トランスフォーマー』(2007)の際には原語版でも吹替声優をやらないかというオファーを直々に受けている。その際には、玄田哲章は年齢を理由に断り、若ければ英語を猛勉強して挑戦したかもしれないと語った。もしかすると日米両方で玄田哲章のコンボイ(オプティマス・プライム)が聞けた可能性があるほどだ。
バンブルビー
前作『バンブルビー』の主人公であり、かつてディセプティコンのブリッツウィングとの戦いで声帯機能と記憶回路を失いながら、ディセプティコンのシーカーであるドロップキックとシャッターを撃退したのがバンブルビーだ。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では黄色と黒の1970年代の第2世代クラシック・シボレー・カマロへと変形するようになった。変形する第2世代クラシック・シボレー・カマロは全地形対応のオフロード仕様に改造されており、マクシマルのチーターと並走する姿が描かれている前作『バンブルビー』以降、声帯機能は失われており、声優はついていない。しかし、ラジオや音楽選びの能力は上がっており、バンブルビーはそれらを用いて会話する。
アーシー 演:ライザ・コシ 吹替:ファイルーズあい
アーシーはトランスフォーマー最初のアニメ映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』(1989)で登場した戦士で、初期シリーズのG1ではSFカーに変形した。そこでは男尊女卑傾向の強いディセプティコンの考えを利用し、女性だと思い舐めてかかってくる敵を、機転を利かせて倒す実力者だ。そのためテックスペックという当時の玩具についていた設定資料にはこのように記されている。
「ルックスは常に欺いている(Looks are always deceiving.)」
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではドゥカティ・916に変形し、予告映像の中ではミサイルを寸前のところで避け、大乱戦の中ではサイに変形するマクシマルのライノックスの背に乗って戦場を駆け、光線銃を放つという活躍を見せている。原版吹替声優を務めるライザ・コシは同じハズブロ社製品のアニメ映画『マイリトルポニー: 新しい世界』(2021)で、陸上競技と科学の好きなペガサスの王女ジップストームを演じるなど、新進気鋭の若手俳優だ。
日本語吹替声優を務めるのは『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(2021-2022)で夏海まなつ/キュアサマーを演じ、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ第6部『ストーンオーシャン』(2022-2023)で主人公の空条徐倫を演じた同じく新進気鋭の声優のファイルーズあいだ。ファイルーズあい曰く、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』のアーシーは真面目だが時折ユーモアを見せる性格らしく、その点にも注目していきたい。
ホイルジャック 演:クリスト・フェルナンデス 吹替:武内駿輔
発明家のホイルジャックは、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではファンの議論の的にもなったトランスフォーマーだ。前作『バンブルビー』の冒頭の惑星サイバトロンでの戦争で初登場した際には、G1のデザインにそっくりのもので、それよりも少しキリっとしたデザインになっていた。
しかし、フォルクスワーゲン・タイプ2に変形する『トランスフォーマー/ビースト覚醒』のホイルジャックは分厚い眼鏡をかけたオタクっぽいデザインになっており、どこかどんくさい印象をうけるコミカルなものとなっていた。それがトランスフォーマーファンの間で議論の的となったのだ。
原語版吹替声優はメキシコのリーガ・プレミアのエストゥディアンテス・テコス・クラブに所属していた元プロサッカー選手のクリスト・フェルナンデスだ。近年の映画で言えば、MCUの『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポストクレジットでトム・ハーディ演じるエディ・ブロック/ヴェノムとエイリアンについて話していたバーテンダー役が有名だろう。
日本語吹替版は「アナと雪の女王」シリーズの甲高い声のオラフ役や、『THE FIRST SLAM DUNK』(2023)で沢北栄治を演じるなど幅広い演技力を持つ武内駿輔だ。武内駿輔はインタビューで一回目のアドリブではやりすぎだと言われ、塩梅の難しさを感じたと語っており、そのことからも今回の『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではオラフ役などで見せたコミカルな役作りが行われたと考えられる。やはり、ホイルジャックはコミカルなキャラクターになっているようだ。
ストラストフェア 演:ジョン・ディマジオ 吹替:チョー
ミリタリーグリーンのC-130ハーキュリーズのボディ、C-17グローブマスターⅢの翼、C-5ギャラクシーのコクピットにAn-225ムリーヤの尾翼と継ぎ接ぎの輸送機に変形する老戦士で、自動車に変形するトランスフォーマーを中心に構成されるオートボットにおける貴重な航空戦力。加齢のせいか性格は癖があり、機敏な動きも苦手だが、上空からオートボットの戦士の空挺降下の手助けをする。元ネタとなったトランスフォーマーはゲーム版『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』に登場したバンブルビーをロシアまで空輸したオートボットの航空戦士。
原語版声優はカルト的な人気を誇るコメディアニメ『フューチュラマ』(2008-2013)でベンダーを演じていたジョン・ディマジオ。日本語吹替声優では、実写映画版「トランスフォーマー」シリーズで長年の間、ジョン・タトゥーロ演じるセクター7捜査官シーモア・シモンズを演じ、『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』ではタランス(タランチュラス)、『トランスフォーマー アニメイテッド』(2007-2009)ではブリッツウィングを演じるなど「トランスフォーマー」シリーズと縁の深いチョー。
マクシマル
オプティマス・プライマル 演:ロン・パールマン 吹替:子安武人
マクシマルのリーダーであり、オプティマス・プライムに惑星を捕食する最強の敵のユニクロンの脅威を伝えるのがオプティマス・プライマルだ。オプティマス・プライマルはゴリラに変身し、地球に何年も潜伏していたことを語るなど、初登場した『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』よりもNetflix制作の3部作『トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー』(2020-2021)の最終章「キングダム」の影響が強いと考えられる。
トランスフォーマー: ウォー・フォー・サイバトロン: キングダム
原語版声優を務めたのは「ヘルボーイ」シリーズなど、ギレルモ・デル・トロ作品やジャン=ピエール・ジュネ作品の常連のロン・パールマンだ。日本語吹替版声優は『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』と『トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー』でオプティマス・プライマル(コンボイ)を演じた子安武人で、今回のキャスティングに『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の影響が強いことがうかがい知れる。
チーター 演:トンガイ・キリサ 吹替:高木渉
チーターに変身するマクシマルのメンバーのチーターを演じるのはトンガイ・キリサで、トンガイ・キリサはジンバブエ出身の俳優だ。もともとはジンバブエや南アフリカを中心に活動しており、現在は国際的に活動している。
日本語吹替声優は『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』でチータス(チーター)を演じた高木渉で、インタビューでは「~じゃん!」という懐かしい語尾をつけてインタビューに答えている。近年では大河ドラマなどでも活躍している高木渉だが、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではコミカルな演技をするのか、それともシリアスな演技をするのか、そこにも注目していきたい。
ちなみにチーターと日本語読みすると動物のチーターと同じに思えるが、英語の綴りは動物名の「Cheetah」ではなく、「Cheetor」となっており、「Cheetah」と「Motor」を掛け合わせた造語になっている。
エアレイザー 演:ミシェル・ヨー 吹替:本田貴子
今回の目玉キャストの一人が『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2023)で第29回全米映画俳優組合賞主演女優賞、第95回アカデミー賞主演女優賞を受賞したミシェル・ヨーが演じるエアレイザーだろう。ハヤブサに変身するエアレイザーの日本語吹替は、ミラ・ジョヴォヴィッチ本人公認声優にもなった本田貴子だ。原語版声優と日本語版声優の双方ともに盤石なキャスティングと言える。また、『トランスフォーマー アニメイテッド』では本田貴子はスロー・モーを演じていた。
『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』とエアレイザー(エアラザー)の声優が異なるのは、日本で『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』が放送された際に中性的な女性という設定だったエアレイザー(エアラザー)を「男の子向けの変形トイで女性のキャラクターは売れにくい」という判断により、性別を男性に変更したためだった。そのため、『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の日本語吹替声優は「エヴァンゲリオン」シリーズで相田ケンスケを演じた岩永哲哉だ。
性別を男性に変更した結果、日本語版『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』は続編の『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』(1999-2000)ではタイガトロンと同性愛の関係になっており、児童書で同性愛に肯定的な補足が入れられている。
エイプリンク 演:デヴィッド・ソボロフ 吹替:大塚明夫
マクシマルの前リーダーで、ユニクロンとテラーコンの狙う”鍵”をオプティマス・プライマルらマクシマルに託した。名前は『レッカーズ:フィナーレ パート1(原題:The Wreckers: Finale Part 1)』に登場する科学者であり、オートボットとディセプティコン、そしてユニクロンとの戦争であるグレート・ウォーから遠い未来のマクシマルでオートボットの海兵隊兼愚連隊に近いレッカーズの再建を任されたトランスフォーマーである。
変形トイは『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』のメタルスコンボイの色変え(リカラー)商品である。また、テラーコンのリーダーの体に付いたハンティングトロフィーから『トランスフォーマ―/ビースト覚醒』の世界にもレッカーズは存在するようだ。声優を務めるのは「メタルギア」シリーズのスネーク役や「ルパン三世」シリーズの2代目次元大介、『トランスフォーマー アニメイテッド』でロックダウンを演じた大塚明夫。
テラーコン
スカージ 演:ピーター・ディンクレイジ 吹替:飛田展男
材木輸送用のピータービルト・モデル359トレーラートラックに変形し、オートボット、マクシマル、そしてディセプティコン問わず殺害したトランスフォーマーのエンブレムを剥ぎ取り、それをフロントグリルに貼り付けているのがスカージだ。スカージはテラーコンのリーダーで、名前は『トランスフォーマー ザ・ムービー』でユニクロンが弱ったディセプティコンを転生させて生み出した宇宙の掃除屋スウィープスのリーダーから来ている。錆びたピータービルト・モデル359トレーラートラックに変形するのは実写映画版「トランスフォーマー」シリーズの製作総指揮をつとめたスティーブン・スピルバーグ監督の作品『激突!』(1971)で、デニス・ウィーバー演じるデイヴィッド・マンを追跡するピータービルト281から来ている。
また、『トランスフォーマー ザ・ムービー』の舞台設定は2005年になっているが、現実の2005年に放送された『トランスフォーマー スーパーリンク』(2004-2005)ではユニクロンが登場し、その部下としてテラーコンが登場する。そのテラーコンの中には卵の姿で休眠状態になるものも存在している。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の予告映像では群れとなったユニクロンの部下のプレダコンのサソリ型トランスフォーマーのスコルポノックが卵型になって飛来しており、関連性を感じさせる。
原語版吹替声優のピーター・ディンクレイジは『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-2019)で策士のティリオン・ラニスターを演じ、人気を博した。日本語版吹替声優の飛田展男は『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』ではプテラノドンに変形するテラザウラー、『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』ではサソリとコブラが組み合わさったフューザー戦士のクイックストライクを演じており、「ビーストウォーズ」シリーズの影響を強く受けたキャスティングと言える。
ナイトバード 演:MJ・ロドリゲス 吹替:柚木涼香
『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』第17話「ナイトバードの影」で登場した日本のくノ一型ロボットをモデルにしたトランスフォーマーがナイトバードだ。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では日産スカイラインGT-R(BCNR33型)に変形するテラーコンとして登場する。
原語版吹替声優を務めるのはトランスジェンダー女性として初のゴールデングローブ賞のドラマ部門女優賞を受賞したMJ・ロドリゲスだ。ドラマ出演以前より舞台俳優としても高い評価を得ていたMJ・ロドリゲスをキャスティングするなど、アメリカの制作陣の声優への力の入れ方がわかる。
日本語吹替版を務める柚木涼香は『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』のブラックウィドーで声優デビューして以降、「トランスフォーマー」シリーズの蜘蛛型トランスフォーマーとして常連となっている。
バトルトラップ 演:デヴィッド・ソボロフ 吹替:三宅健太
テラーコンのメンバーでレッカー車仕様のGMC・トップキック(C7000型)に変形し、メイスを振り回すのがバトルトラップだ。バトルトラップの名前は『トランスフォーマー ザ☆ヘッドマスターズ』(1987-1988)に登場するメガザラック親衛隊で、上半身が攻撃用ヘリコプターで下半身が4WDオフロード車に変形するツーインワン戦士から来ている。メガザラックの海外名はスコルポノックだったりするなど、スコルポノックとも関係性も深い。ツーインワン戦士はその形状からIDWコミックなどではデカ足とネタにされている。
原語版吹替声優のデヴィッド・ソボロフは前作『バンブルビー』でバンブルビーの声帯機能と記憶回路を破壊したブリッツウィングを演じており、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではマクシマルのライノックスの兼ね役となっている。日本語版吹替声優はMCUでソー・オーディンソンを演じ、2023年ナンバー1ヒットとなった『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でのクッパ役の日本語版吹替声優を務めた三宅健太だ。
三宅健太は同じく音響監督を岩波美和監督が務めた『トランスフォーマー アニメイテッド』ではアイアンハイド役、『超ロボット生命体 トランスフォーマー プライム』ではショックウェーブ役で参加しており、こちらは『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』出演者ではないものの、同じく音響監督が岩波美和監督の「トランスフォーマー」シリーズ出演者というつながりがある。
ユニクロン
惑星サイズの巨大な破壊神で、他の天体を捕食するのがユニクロンだ。初登場の『トランスフォーマー ザ・ムービー』では死にかけたメガトロンをガルバトロンへと転生させ、他にも死にかけたデストロンを転生させることでサイクロナスやスウィープス、スカージを生み出した。トランスフォーマーたちにとっての光の神プライマスと対をなす暗黒の神とも呼ばれ、様々な作品にまたがって登場するが、そのすべてが同じ意識を持つ宇宙的脅威とされることが多い。
また、初登場の『トランスフォーマー ザ・ムービー』の舞台設定は2005年であり、現実の2005年で公開された『トランスフォーマー スーパーリンク』(2004-2005)にもユニクロンは登場。『トランスフォーマー スーパーリンク』のユニクロンはテラーコンを使役し、その中でも卵型で休眠状態になるテラーコンがいるなど、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の影響が見て取れる。
原語版声優は「ウォーキング・デッド」シリーズのスピンオフ作品『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』(2015-)でヴィクター・ストランド役や、『ビール・ストリートの恋人たち』の主人公の父親を演じたコールマン・ドミンゴ。日本語版声優は「X-MEN」シリーズでウルヴァリン/ローガンの吹替声優を務め、アニメから洋画吹替、実写作品と幅広く活躍する山路和弘。
未発表のキャストはどうなる?
今回の発表でかなりのキャストが発表されたが、未発表のキャストも多い。バトルトラップと兼ね役のデヴィッド・ソボロフ演じるマクシマルのライノックスに、『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』でライノックスを演じた中村大樹が起用されるかどうかなど注目すべきポイントは多い。
今後の『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の展開に期待していきたい。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は2023年8月4日全国公開。
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