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『トランスフォーマー/ビースト覚醒』6月9日公開!
「トランスフォーマー」シリーズの最新作であり、前作の『バンブルビー』(2019)の続編かつシリーズ全体のリブート作品になることが発表された映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(2023)。公開を記念して、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の原作とも言うべきアニメ『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』(1997-1998)が『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー アゲイン』として再放送されることが決定した。
「ビーストウォーズ」シリーズと言えば、「トランスフォーマー」シリーズに興味のない人たちでも「声優無法地帯」というあだ名で有名な作品だ。理由としては「ビーストウォーズ」シリーズがかなりSF色の強い複雑な設定だったため、子供たちにもわかりやすいようにとコメディチックな脚色を岩波美和音響監督中心に声優陣がおこなったことに起因している。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では「ビーストウォーズ」シリーズに登場したキャラクターの吹替を『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』のキャストが続投するという発表もあり、ふたたび注目の集まる『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』。そこで登場するキャラクターとキャストについて解説していこう。
マクシマルズ(サイバトロン)
日本語版でサイバトロンと呼ばれているのがトランスフォーマー/ビースト覚醒』にも登場が決定しているマクシマルズだ。マクシマルズという存在を理解するために、「トランスフォーマー」という作品シリーズの経緯について簡単に整理しておこう。
そもそも「ビーストウォーズ」シリーズは、時系列的にはG1シリーズというトランスフォーマー第1作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』(1985-1986)をはじめとする初期シリーズの最終作にあたる作品だ。
G1とはジェネレーション1の略称で『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』、その劇場版『トランスフォーマー ザ・ムービー』(1986)、第1作目から25年後が舞台の続編『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』(1986-1987)を中心にした作品群である。以降は日本国内での展開と海外での展開の違いが作品を複雑なものにしている。
マクシマルズは『トランスフォーマー ザ・ムービー』でオートボット(サイバトロン)とディセプティコン(デストロン)、そして星を食べる惑星型巨大トランスフォーマーのユニクロンの三つ巴の戦争「グレートウォー」の終結から長い時間が経ち、オートボットとディセプティコンの和睦による平和の中でオートボットが進化して誕生した一派だ。
マクシマルズは進化したことにより、それまでのトランスフォーマーと異なり自動車などではなく有機生命体(動物)に変形することができるようになった。その分、各個体の大きさも人間大の小ささになっている。変形する際に「変身(Maximise)」という変身コードを叫ぶのが特徴だ。
コンボイ(オプティマス・プライマル) 子安武人
日本語版ではコンボイと呼ばれるオプティマス・プライマルは、ゴリラに変形するマクシマルズのリーダー。サイバトロン星(セイバートロン星)にひそかに隠されていたエネルゴン(トランスフォーマーのエネルギー源)の大量の資源が隠されたゴールデンディスクを奪取されたため、それを追うための高速船「アクサロン」の艦長を務めている。変身することで飛行能力を持ち、戦士としても高い実力を持つトランスフォーマーだ。
オプティマス・プライムと異なり、オプティマス・プライマルなのはプライムがオートボット総司令官の称号で、オプティマス・プライマルはアクサロン艦長という役職であるためだ。アクサロンがディセプティコンの戦艦「テラクラッシャー」の攻撃を受け、プロトフォーム(素体)の入ったポットを衛星軌道に放出したのが物語の始まりとなり、プロトフォームを奪い合い、自身の兵としながらゴールデンディスクの秘密を探ることになる。
エアラザー(エアレイザー)が仲間に加わるまではマクシマルズ唯一の飛行戦力であったため、司令官という役職ながら最前線で戦うことの多いトランスフォーマーでもある。柳葉刀に似た双剣を振るうが、こちらの武器は『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の予告編の中でも確認できる。
日本語声優を担当するのは近年では「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズでディオ・ブランド―/DIOなどで有名な子安武人氏だ。『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の中では主人公のため、アドリブは控え目となっており、他の声優陣に振り回されることの多い役どころだ。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の原語版では「ヘルボーイ」シリーズで有名なロン・パールマン氏が声優を担当している。
チータス(チーター) 高木渉
チーターに変形するマクシマルズの密林巡視員がチータス(チーター)だ。哺乳類の中で最速と言われるチーターに変身するせいか、文字通り先走ることが多い。日本語版声優では高木渉氏の演技の影響もあり、射撃のたびに「撃つべし」と連呼し、口癖は「~じゃん」など特徴の多いキャラクターだ。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の予告編にもチーターの姿で疾走する姿が登場しており、チータス(チーター)はリブート後の「トランスフォーマー」シリーズにも出演することが確定しているが、その原語版声優はまだ明かされていない。また、チータス(チーター)は近年の海外制作のアニメーション作品などでも高木渉氏による吹替で登場するなど、マクシマルズの中でも人気の高いキャラクターだ。
前述の通り、日本語版声優は『名探偵コナン」(1996-)で高木渉刑事を演じ、大河への出演でも話題になっている高木渉氏だ。『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の中で一二を争うほどアドリブが多く、続編の『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』(1997-1999)の日本語版最終回「ファイナルリミックス・バナナをわすれた!」では持ち役である『名探偵コナン』の高木渉刑事の物真似をやろうとして止められていた。
ライノックス 中村大樹
サイに変身するマクシマルズのサブリーダーがライノックスだ。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』予告編にも咆哮する姿でライノックスは登場している。「~だな」が口癖で、温和な性格の持ち主のライノックスだがオプティマス・プライマルに匹敵する戦闘力と指揮能力を持ち、豊富な知識を活かし、修理や解析を担っている。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』予告編でも2つの棘付き鉄球を備えたガトリング銃を扱っていると思われる場面が描かれている。
その高い戦闘力と指揮能力からオプティマス・プライマルに志願していれば指揮官になれたと評されていたが、それゆえに洗脳されるなどしてマクシマルズに敵対するようになる。有機生命体の要素を取り除かれてタンカーというトランスフォーマーに改造されると、マクシマルズにとって最大級の敵となって立ち塞がった。
日本語版吹替声優を務める中村大樹氏は共演者曰く真面目で、「ビーストウォーズ」シリーズに出演する際には周囲のアドリブ合戦に合わせるべく、収録前にアドリブを3つほど考えてくるほどである。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の原語版ではライノックス役をデビッド・ソボロフ氏が務めている。デビッド・ソボロフ氏は『フラッシュ/THE FLASH』(2014-2023)でゴリラのグロッドの声優を務めた人物でもある。
エアラザー(エアレイザー) 岩永哲也
衛星軌道上から落下したプロトフォームが周囲に飛行していたハヤブサをスキャンしたことで誕生したのが空中偵察員エアラザー(エアレイザー)だ。原語版ではホーライン・ニューストーンという声優を務める女性のトランスフォーマーだったが、日本展開するにあたって「男児向け玩具では女性キャラクターは売れにくい」という判断の下で男性声優となっている。
その結果、後のタイガトロンというトランスフォーマー同士の恋愛描写が、性自認が男性同士の同性愛的な描写となることになった。児童誌『テレビマガジン』の質問コーナーの中で「なぜ男同士でイチャイチャしているのか」という読者の質問に「男同士でも相手を好きになることがある。長い戦いの中で友情が好きという気持ちに変わっていったのだろう」といった二人が同性愛関係にあることを肯定するかのような返答をしている。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2023)でアカデミー賞アジア人初の主演女優賞受賞のミシェル・ヨーがエアラザーの声優を務める。『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の日本語吹替声優では「エヴァンゲリオン」シリーズで相田ケンスケを演じた岩永哲也氏が担当しだが、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』でも続投するかは不明だ。
ラットル(ラットラップ) 山口勝平
ネズミに変身する最も小柄なマクシマルズの戦士であり、その体躯を活かした諜報員がラットル(ラットラップ)だ。お調子者で口が軽く、余計な一言を言って後述のダイノボットと衝突してオプティマス・プライマルから叱られるなどコメディ・リリーフとして活躍する。一人称は「オイラ」で、日本語吹替声優を山口勝平氏が務めることもあってか少年戦士として扱われているが、原語版ではベテラン戦士として扱われている。
IDW社が発行していたアメコミ関連作品では、オートボットやディセプティコンなどの思想には興味のないノンポリシーの人物として描かれている。オートボットとディセプティコンが和睦するも、中立派「NAIL(A NON-ALIGNED INDIGENOUS LIFEFORM)」の台頭や腐敗していたかつての支配者階級「評議会」の襲来など混迷した時代に突入すると、選挙でリーダーに就任したディセプティコン航空参謀スタースクリームの秘書というポジションにちゃっかり収まっていた。
前述の通り、日本語吹替声優を「名探偵コナン」シリーズで工藤新一を演じるなど人気声優の山口勝平氏が務めている。また、ラットル(ラットラップ)として山口勝平氏の新規録音によるナレーションなどが『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー アゲイン』で追加されることが発表された。
また、「ビーストウォーズ」シリーズでラットル(ラットラップ)が『トランスフォーマー ザ・ムービー』で初登場したアーシーのことを大叔母と呼んでいるが、これは原語版の音響監督をアーシー役のスーザン・ブルー氏が務めた声優ネタである。人気の高い「ビーストウォーズ」シリーズの中でも日本語版と同じく声優ネタの多いのがラットル(ラットラップ)の特徴だ。
ダイノボット 藤原啓治
ヴェロキラプトルに変身する元デストロン(プレダコン)特殊戦闘員がダイノボットだ。アクサロンがラクラッシャーの迎撃によって目的地とは異なると思われる惑星に不時着。それを追ってテラクラッシャーも惑星に着陸したことで、メガトロンに不信感を抱き、デストロン(プレダコン)を離脱。そしてマクシマルズのリーダーになるべく、オプティマス・プライマルに勝負を挑むも、敗北後はマクシマルズに所属するようになった。
マクシマルズに所属するようになってからはラットル(ラットラップ)と最小と最大のトランスフォーマー同士の凸凹コンビを組まされることが多く、当初こそ犬猿の中であったがラットル(ラットラップ)とは戦友と呼べる間柄になっていった。また、元デストロン(プレダコン)という経歴からメガトロンの狡猾さを一番警戒しているなど、単なる戦闘員ではない知性も見せる。
日本語版ではMCUでアイアンマン/トニー・スタークの吹替声優を務めた藤原啓治氏が務める。名前の由来はオートボットの恐竜型トランスフォーマーのグループの名前から来ている。ダイノボットの口癖は「ダーッ」で、一人称は「俺」である。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』にはプレダコンそのものが登場していないため、登場するかどうかは不明である。
タイガトロン 遠近孝一
衛星軌道上から寒冷地に落下したプロトフォームが周囲に棲息していたホワイトタイガーをスキャンしたことで誕生したのがタイガトロンだ。タイガトロンを含め、プロトフォームから誕生したトランスフォーマー全体に言えることだが、落下時の衝撃で自己認識回路が損傷したことでスキャンした動物の性質が強く出ている。
『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の日本語吹替声優は「ナルト」シリーズの日向ネジ役で有名な遠近孝一氏が担当している。原語版ではネイティブ・アメリカンをイメージしているのに対し、日本語版では一人称が「拙者」で語尾「ござる」になっているなど、侍をイメージしたキャラクターとなっている。
デストロン(プレダコンズ)
日本語版では一貫して第1作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』と同じデストロンと呼ばれているが、『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』ではかつてデストロン(ディセプティコン)に所属していた動物型ロボットに変形する合体兵士のグループ「アニマトロン(プレダコン)」の名を継承した組織となっている。
オートボットとディセプティコン、ユニクロンの三つ巴の戦争「グレートウォー」の後、和睦を結んだことで終戦。その後、有機生命体(動物)に変形できるようになり、大きさが人間大になったところまではマクシマルズと同じだ。しかし、オートボットとディセプティコンの和睦条約によってサイバトロン星(セイバートロン星)の月を本拠地にしていた。
オプティマス・プライマルと敵対するメガトロンはプレダコンズの中でも異端児であり、メガトロンが急進派として一部の兵などを集めて離反。サイバトロン星(セイバートロン星)に保管されていたゴールデンディスクを盗み、プレダコンズおよびディセプティコンの復権を目指している。ほかにもマクシマルズよりも飛行戦力が多く、変身コードも日本語では「変身」だが原語版では「Terrorize」と異なっているのが特徴だ。
メガトロン 千葉繁
『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』でオプティマス・プライマルの宿敵として戦艦「テラクラッシャー」に乗り、プレダコンズから離反した勢力のリーダーがメガトロンである。メガトロンと名乗っているが『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』のメガトロンと直接の関係性はなく、その後継者を名乗っている“自称メガトロン”が『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』のメガトロンだ。
惑星に不時着後はティラノサウルスの化石をスキャンし、ティラノサウルスにトランスフォームするようになる。それ以降は部下を率いてゴールデンディスクの情報をもとに行動しつつ、オプティマス・プライマルの高速船「アクサロン」が放出したプロトフォームを回収して兵を集めていた。部下たちですら計り知れないメガトロンの計画にオプティマス・プライマルたちは戸惑うことになる。
日本語吹替声優は「うる星やつら」シリーズのメガネ役などの千葉繁氏が担当している。千葉繁氏と言えば「北斗の拳」シリーズのアドリブで有名だ。千葉繁氏の影響もあってか、メガトロンは『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の中で一二を争うアドリブの多いキャラクターである。原語版声優のデビッド・ケイ氏は『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』以降もメガトロン役を多く演じている。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では「トランスフォーマー」シリーズで怪獣型ロボットに変形する合体兵士のグループのテラーコンが第三勢力として登場し、構成員も『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』や『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』などのテラーコンの構成員とは異なる。メガトロンたちプレダコンズの登場は不明だがフルCGのキャラクターのため、サプライズ出演の可能性に期待も高まる。
タランス(タランチュラス) チョー(長島雄一)
クモに変身する技術者で、メガトロンの部下の一人であるタランス(タランチュラス)を演じるのは「ワンピース」シリーズのブルック役で有名なチョー氏だ。この頃はまだ「チョー」という名義に改名しておらず、「長嶋雄一」の名義で出演している。
タランス(タランチュラス)は陰湿な性格かつ何を考えているのかわからないキャラクターで、メガトロンも自分の部下ながら警戒している。一流の科学技術を持っているため、メガトロンによって手元に置かれているトランスフォーマーだ。一人称は「アタチ」、語尾は「~ッス」、笑い声は「ウヒャヒャヒャ」など独特な口癖を持ち、チョー氏の声優としての怪演が光っている。
テラザウラー 飛田展男
プテラノドンの化石をスキャンしたことでプテラノドンにトランスフォームできるようになったプレダコンズの空中戦闘員がテラザウラーだ。性格は野心家で一人称は「ミー」、語尾に「~ザンス」とつけるなど、どこか「おそ松くん」シリーズのイヤミを想起させる話し方をするのが特徴だ。たまに「カァ~」と鳴く。
メガトロンへの下剋上を企んでいるが、航空参謀などの空に関するトランスフォーマーが裏切り者なのは『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の航空参謀スタースクリーム以来の伝統とも言える。日本語吹替版声優を務めるのは『機動戦士Ζガンダム』(1985-1986)の主人公のカミーユ・ビダンを演じた飛田展男氏だ。
ワスピーター(ワスピネーター) 加藤賢崇
ハチに変形し、同じ飛行戦力としてテラザウラーと絡むことが多いのがワスピーター(ワスピネーター)。プレダコンズの中でも人気があり、他の「トランスフォーマー」シリーズにも同名のキャラクターが登場することがある。特に『トランスフォーマー アニメイテッド』(2007-2009)では同じハチモチーフということでバンブルビーと関わりのあるキャラクターとなっていた。
一人称は「僕ちゃん」で、「ブーン」を語尾につけて話すテラザウラー同様に癖の強いキャラクターだが、他のプレダコンズのトランスフォーマーのように野心などはなく、あくまでもメガトロンとは契約関係の傭兵に近い立ち位置である。また、何かとバラバラにされるなどコメディ・リリーフなのも特徴的だ。
日本語版吹替声優を務めた加藤賢崇氏はインタビューの中で『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』の現場が声優のアドリブが多くて大変だったと冗談交じりに語っている。前述のようにバンブルビーと同じハチモチーフのトランスフォーマーであるため、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』でのサプライズの可能性に期待だ。
スコルポス(スコルポノック) 遠藤雅
スコルポス(スコルポノック)はサソリをスキャンし、サソリへとトランスフォームするプレダコンズの副指揮官のトランスフォーマー。くせ者ばかりの離反者とそれらを率いる異端児のメガトロンというプレダコンズの中で、数少ないメガトロンに忠誠心を持ったトランスフォーマーでもある。日本語版声優は遠藤雅氏で、「オラオラ」と不良めいた口調で話す。
原語版では愚鈍な性格と設定され、日本語版では語られることがなかったがメガトロンがスコルポス(スコルポノック)を副指揮官にしている理由は忠誠心ではなく、謀反が思いつかない馬鹿だと考えているとされている。
スコルポノックという名前のトランスフォーマーはG1シリーズ第3作『トランスフォーマー ザ☆ヘッドマスターズ』(1987-1988)および海外版の『トランスフォーマー・ザ・リバース』(1987)で初登場しており、大型のサソリ戦艦と基地に変形する体を持っていた。マイケル・ベイ監督作『トランスフォーマー』(2006)では砂漠で米軍を襲撃するサソリ型トランスフォーマーとして登場しており、今後の実写映画での活躍に期待したい。
ブラックウィドー(ブラックアラクニア) 柚木涼香(永椎あゆ美)
衛星軌道上から地上に落ちたプロトフォームをタランス(タランチュラス)がマクシマルズからプレダコンズへのプログラムを書き換えられたことで誕生したトランスフォーマーがブラックウィドー(ブラックアラクニア)だ。タランス(タランチュラス)によってジョロウグモがスキャンされており、タランスが自分に何かあった際にタランス(タランチュラス)の意識を残すために遠隔操作できるようプログラムが書き残されている。
性格は狡猾で自惚れ屋。その性格ゆえに身内であるプレダゴンズからも警戒されている点がある。ブラックウィドー(ブラックアラクニア)は悪女的と表現されることが多いが、近年のIDW版コミックなどではトランスフォーマーたちは本来性別の概念を持たず、魂=スパークが発掘されるか、クローンによって生み出され、それにより社会的役割が決められる機能主義社会の中で生きていたとされている。
IDW版コミックでは性別を持つトランスフォーマーは実験的に改造されて無性別から女性に変えられたアーシーか、戦火を逃れて別の星に渡って進化した分派のみである。しかし、結婚に似たパートナー制度なども持っているなど近年のトランスフォーマーは性別についても深堀りしていることが多い。
また、ブラックウィドー(ブラックアラクニア)は「ビーストウォーズ」シリーズの中ではかなりの人気を誇り、女性型トランスフォーマーのアーシーなどとライバル関係になることが多い。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』にはオートボットのアーシーと共にテラーコンの構成員として女性型トランスフォーマーのナイトバードも登場するため、彼女らとの関連性にも期待したい。
日本語吹替版声優は『キルラキル』(2013)の鬼龍院皐月役など有名な柚木涼香氏。この頃はまだ声優デビューしたばかりだったため、名義も「柚木涼香」ではなく「永椎あゆ美」として参加している。声優のアドリブの多い「ビーストウォーズ」シリーズの中では新人だったため、ワスピーター(ワスピネーター)がブラックウィドー(ブラックアラクニア)を後輩扱いするなど声優ネタも多い。
インフェルノ 三木眞一郎
ブラックウィドー(ブラックアラクニア)と同様、プロトフォームをタランス(タランチュラス)の手によって改造されたことで誕生したトランスフォーマーがインフェルノだ。当初はタランス(タランチュラス)はインフェルノのプログラミングチップをプレダコンズのものと入れ替えた後、自身のバックアップに使えるように蜘蛛をスキャンさせるつもりだったが、その前にヒアリをスキャンしてしまい、ヒアリに変形するトランスフォーマーとなった。
『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』では同名のインフェルノというトランスフォーマ―がサイバトロン(オートボット)として登場している。しかし、そちらのインフェルノは消防車に変形するトランスフォーマーで、火炎放射器を用いるこちらのインフェルノとは所属する派閥も行動も正反対となっている。
また、タイガトロンと同じくトランスフォーマーとしての自我よりもスキャンした動物の本能が上回っているらしく自分は兵隊アリ、自分の入っていたポッドは巣、司令官であるメガトロンは女王アリだと思い込んでいる。語尾は「~ごっつんこ」で働きアリのように忠実。ロボットモードの飛行能力も相まって高い戦闘力を持つ。日本語版声優を務めるのは先日最終回を迎えた「ポケット・モンスター」シリーズでコジローを演じた三木眞一郎氏だ。
デストロン(ディセプティコン)
スタースクリーム 八尾一樹
スタークリームはかつてデストロン(ディセプティコン)で航空参謀を務め、ユニクロンとの三つ巴の戦争「グレートウォー」で初代メガトロンを裏切ったことにより処刑されたトランスフォーマーだ。トランスフォーマーたちの中では希少な魂=スパークを持ち、処刑された後も幽霊として現世に残り、他のトランスフォーマーに憑りつくなどしている。
日本語版声優を務めているのは「ワンピース」シリーズでフランキー役を演じた矢尾一樹氏だが、トランスフォーマー第1作目『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』では航空参謀スタースクリーム役は鈴置洋孝氏が演じている。スタースクリームはマイケル・ベイ監督作からのリブート第1作『バンブルビー』でもG1シリーズ風デザインで登場しているため、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』にも関わってくるのか注目したい。
トリプティコン評議会(トライプレダカス評議会)
現在のデストロン(プレダコンズ)の最大勢力であり、ラムホーン、シカダコン、シークランプの3体のトランスフォーマーからなる組織。本格的な登場は続編の『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』からだが、組織そのものは『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』から存在している。
これは『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の破壊大帝メガトロンや、『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』のメガトロンが転生した破壊大帝ガルバトロンのように一体が組織全体を支配するこれまでの独裁体制とプレダコンズが差別化を図っている点でもある。3体は表向きこそサイバトロン星(セイバートロン星)全体の意思決定に追従していたが、実際にはサイバトロン星(セイバートロン星)の支配を虎視眈々と狙っていた。
3体の実態はユニクロンの眷属(ユニクロン・スポーン)であり、タランス(タランチュラス)もその配下だったとされる。そのため評議会とは異なる行動を起こす『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』のメガトロンを危険視している。
エイリアン 中村秀利
マクシマルズとプレダゴンズが不時着した惑星を用いて、惑星規模の実験を行っていた謎多き存在で単にエイリアンと呼ばれている。トランスフォーマーたちの前ではトランスフォーマーの持つ最大の恐怖であるユニクロンのホログラムとして登場し、遺跡などを各所に残している。ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』ではNHK『つくってあそぼ!』のゴロリ役で知られる中村秀利氏が演じた。
「トランスフォーマー」シリーズにはこのようなトランスフォーマーではないエイリアンが度々登場しており、『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』ではトランスフォーマーという種族を創造したクインテッサ星人が登場している。実写映画シリーズではマイケル・ベイ監督作で第5作目にあたる『トランスフォーマー/最後の騎士王』(2017)でクインテッサ星人らしき創造主クインテッサが登場している。
『トランスフォーマー/最後の騎士王』では創造主クインテッサに加え、その配下であるインフェルノコンなどの非トランスフォーマーのエイリアンやその配下とされたトランスフォーマーが登場し、『超ロボット生命体 トランスフォーマー プライム』(2012-2013)で地球の核が惑星を捕食するトランスフォーマー「ユニクロン」であると思わせる描写がみられたが、これ以降はリブート作品となるためこれらの伏線は回収されなかった。
『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー アゲイン』4月2日放送開始!
このように豪華な日本語吹替版声優のアドリブに加え、意外にも深いSF設定を持っている『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』。それが一部のナレーションを新規録音し、『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー アゲイン』として地上波で2023年4月2日(日)より放送されることが発表された。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』においても一部のキャラクターの日本語吹替声優は続投されるということなので、このリブートを機に「トランスフォーマー」シリーズにこれまで興味を持っていなかった人も「トランスフォーマー」シリーズの世界に触れてみるのはいかがだろうか。
『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー アゲイン』は2023年4月2日(日) 午前9時15分よりテレビ東京系列全6局で放送開始。TVerやYouTubeのタカラトミー公式チャンネルでも見逃し配信される。
『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー アゲイン』公式サイト
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』についての考察はこちらの記事で。