解説&考察『トランスフォーマー/ビースト覚醒』新予告映像公開 リブートによってトランスフォーマーの“覚醒”なるか | VG+ (バゴプラ)

解説&考察『トランスフォーマー/ビースト覚醒』新予告映像公開 リブートによってトランスフォーマーの“覚醒”なるか

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2023年2月13日、NFLの優勝決定戦でありアメリカン・フットボールの最高の大会と称される『スーパーボウル』が開催された。『スーパーボウル』はアメリカン・フットボールのファン以外も注目する大会である。この大会は例年、高い視聴率などを理由に大作映画の新予告映像が公開されるからだ。MCUや「ワイルドスピード」シリーズの並みいる大作映画の新予告映像と共に『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(2023)の新予告映像も公開された。

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の舞台となった1994年に発表され、ノートリアスB.I.G.が自身の半生をリリックに綴り、そして一躍スターにした「Juicy」をBGMに今回の『スーパーボウル』で公開された『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の新予告映像と共に、これまで公開された予告映像を振り返り、そして実写版「トランスフォーマー」シリーズの今後について考察していきたいと思う。

明言された“リブート”と“覚醒”

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は公式にこれまでのシリーズのリブートと銘打たれ、マイケル・ベイ監督作『トランスフォーマー』(2006)から続くファンの間で通称“ベイバース”と呼ばれた「トランスフォーマー」シリーズとは異なる、トラヴィス・ナイト監督作『バンブルビー』(2018)の続編であることが明言されている。作風も大きく変わり、マイケル・ベイ監督作品で多く見られた大量の火薬と爆破、カーアクション、美女のセクシーな場面ではなく、トラヴィス・ナイト監督はトランスフォーマーの初期シリーズを指すG1シリーズを遵守したジュブナイル作品として『バンブルビー』を撮った。

1987年を舞台としていた『バンブルビー』から7年後の1994年のニューヨーク市ブルックリンやペルーのマチュピチュなど舞台とした『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は新しい主人公としてミラージュが登場している。ミラージュは『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』(1985-1986)では青のF-1カーに変形するトランスフォーマーで、日本語版ではリジェと呼ばれている。その能力は予告映像でも披露した透明化やホログラムの投影によるかく乱であり、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではシルバーにブルーのストライプが入ったポルシェ・911(964型)に変形するがデザインもG1寄りのものになっている。

実はミラージュ自身は既に実写版「トランスフォーマー」シリーズに登場している。ミラージュはマイケル・ベイ監督作「トランスフォーマー」三作目にあたる『トランスフォーマー/ダーク・サイド・ムーン』(2011)で赤いフェラーリ・458に変形するトランスフォーマー。人間嫌いで、「ペルファボーレ」といったイタリア語訛りの英語を話すディーノというトランスフォーマーとして描写された。このような名前だけ貸したようなトランスフォーマーの登場はマイケル・ベイ監督の時代では多く見られ、過剰なセクシー描写と合わさってファンの中には眉を顰める者も多くいた。

実写版「トランスフォーマー」シリーズの道を切り拓いたことへの評価は高いが、デザインの面などで、ファンの中では賛否の別れる作品も多かった“ベイバース”の「トランスフォーマー」シリーズ。それに対してトラヴィス・ナイト監督作『バンブルビー』では『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』のデザインを踏襲し、オプティマス・プライムのアクションでアニメ版「トランスフォーマー」シリーズの最初の映画である『トランスフォーマー ザ・ムービー』(1986)の名場面をカット丸ごと再現するなど、原作リスペクトを徹底していた。今作は新予告映像からも、『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』を踏襲する『バンブルビー』路線へのリブートがうかがえる。

オートボット・マキシマル・テラーコンの三勢力の登場

「トランスフォーマー」シリーズのファンであるスティーブン・ケイプル・Jr監督によって撮られた『トランスフォーマー/ビースト覚醒』には、三つの勢力が登場することが発表されている。オプティマス・プライムやバンブルビー、ミラージュにアーシーやホイルジャックたちが所属するこれまで主人公を務めてきたオートボット、オプティマス・プライマルやライノックスにエアレイザー、チーターが所属する動物に変形するマキシマル、そしてスカージを筆頭にナイトバードやバトルとラップが所属する悪役のテラーコンの三つである。

オートボットはこれまで「トランスフォーマー」シリーズの中心で、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』では1987年式フレイトライナーFLAセミトラックに変形するオプティマス・プライムがリーダーを務め、G1シリーズ寄りのデザインに“ベイバース”寄りの武器を扱う活躍を見せている。また、これまで主人公を務めた第2世代クラシック・シボレー・カマロに変形するバンブルビーも有名だ。新予告映像では車のドアを羽のようにひろげ、飛行機からマチュピチュへとダイブする様子が描かれている。そんな彼らはマキシマルと密接な関係がある。

マキシマルは『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』に登場した勢力で、ゴリラに変形するオプティマス・プライマルにチーターに変形するチーター、サイに変形するライノックスにハヤブサに変形するエアレイザーなど動物に変形するのが特徴のトランスフォーマーだ。彼らの正体は未来のオートボットたちであり、進化した結果、小型化して現地の有機生命体をスキャンするようになったトランスフォーマーだ。

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではオートボットたちと同じ大きさだが、有機的な面は「ビーストウォーズ」シリーズと共通している。また、リーダーの名前がプライムではなくプライマルなのは、プライムがオートボット総司令官の称号であり、オプティマス・プライマルは一部隊のリーダーだったためである。

一方、テラーコンは『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』に登場したディセプティコンの部隊の名前で、怪獣に変形し、部隊のメンバーが合体することで合体兵士オボミナスになるのが特徴的なトランスフォーマーたちである。しかし、メンバー構成は変わっている。リーダーは『トランスフォーマー ザ・ムービー』に登場したキャラクターで、死にかけたディセプティコンのメンバーを惑星に変形するトランスフォーマー・ユニクロンが転生させた宇宙の掃除屋スカージとなり、他のメンバーも『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』に登場するくノ一ロボットをモデルにしたナイトバードなどに入れ替えられている。

覚醒したビーストに命を吹き込む名優たちとわずかな不安

『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の時代からオプティマス・プライムを演じ続けているピーター・カレン氏のような名優たちによって、『バンブルビー』から始まった『トランスフォーマー/ビースト覚醒』によるリブート計画は支えられている。

ゴリラに変形してオートボットと共闘するマキシマルのリーダー・オプティマス・プライマルの声は『ヘルボーイ』(2004)を演じるなどギレルモ・デル・トロ監督作品の常連としてお馴染みのロン・パールマン氏。ハヤブサに変形するエアレイザーの声は『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』でボンドガールを務め、最近では『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)や『ウィッチャー 血の起源』などでも活躍するアジアを代表するミシェール・ヨー氏が演じることが発表されている。

また、新予告映像で人間側の主人公のアンソニー・ラモス氏演じるノアと拳を突き合わせるなど親しげで軽いノリで接してくるトランスフォーマー側の主人公・ミラージュを演じるのは、同氏はピート・デイヴィッドソン氏。同氏はアメリカの伝説的なコント番組「サタデー・ナイト・ライブ」シリーズにも出演し、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)でブラック・ガードを演じた。同氏がミシェール・ヨーと共に声を収録する様子もTwitterに投稿されている。

しかし、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』によるリブート計画にまったく不安がないわけではない。その代表例がオモチャの販促の中で判明した発明家のトランスフォーマー・ホイルジャックの顔とデザインだ。ホイルジャックは人気キャラクターの一人で、『トランスフォーマー ダーク・サイド・ムーン』では真っ青のボディにアルベルト・アインシュタインを模した顔、そして「007」シリーズからとられたQという愛称と“雑”ともとれる作中の扱いでファンの中には肩を落として映画館から帰った者もいた。

そのホイルジャックが『バンブルビー』では顔の両側に話すたびに光るアンテナと口元にマスクをつけ、緑と赤のストライプの入った白いボディという『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』のままの姿で登場したことで、ファンは沸き立った。だが、今回の『トランスフォーマー/ビースト覚醒』ではアーシーなどが『バンブルビー』の頃と似たデザインなのに対し、ホイルジャックはG1シリーズでのスポーツカーではなく茶色のフォルクスワーゲン・タイプ2に変形することが発表され、なおかつ顔は大きい額縁眼鏡をかけたようなデザインに変更されていたことで、ファンの中で賛否が分かれることとなった。

なにはともあれ、マイケル・ベイ監督の作り上げたシリーズとは違う世界観となることが決定した『トランスフォーマー/ビースト覚醒』。今回公開された新予告映像では、新しい情報は乏しかったものの、ミラージュの登場などだけでも十分ファンを興奮させた。アメリカでは6月に公開が決定しているということで、今後の日本の展開に期待したい。

映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は、2023年6月9日(金)米公開。

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』

同じくスーパーボウルで公開された映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』新予告の解説&考察はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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