映画『バイオハザード』に隠れたオマージュ
カプコンの人気ホラーゲームをポール・W・S・アンダーソン監督、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で実写映画化した『バイオハザード』(2002) は、全世界で1億ドル (約100億円) 超の大ヒットを記録。『バイオハザード: ザ・ファイナル』(2016) まで計6作品が製作される屈指の人気シリーズになった。一旦シリーズが終了した現在も、Neflixドラマ版とNetflixCGアニメ版、ヨハネス・ロバーツ監督によるリブート版の製作が進んでいる。
そんな人気シリーズの第1弾として登場した『バイオハザード』に、あの有名映画へのオマージュが込められていたことをご存知だろうか。その映画とは、アーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックによって生み出されたSF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』(1968) だ。
『バイオハザード』にハイブのメインコンピュータとして登場するレッド・クイーンは、『2001年宇宙の旅』のAI、HAL 9000がモデルとされている。HAL 9000をモデルにしたキャラクターが登場するSF映画は数多く存在する。人工知能ロボットが登場するクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(2014) もその一つだ。映画『バイオハザード』では、ガイドとしての立場から徐々に人類の敵へとスタンスを変えていくという、『2001年宇宙の旅』に非常に似た形で人工知能を登場させている。奇しくも『バイオハザード』の製作が進んでいたのは2001年のこと。クリストファー・ノーラン監督は『2001年宇宙の旅』に「似過ぎてはいけない」と意識していたが、ポール・W・S・アンダーソン監督はホラーアクション映画の『バイオハザード』でHAL 9000を“再現”したのだ。
なお、映画第6作目の『バイオハザード: ザ・ファイナル』(2016) では、主演のミラ・ジョヴォヴィッチと監督のポール・W・S・アンダーソンの娘であるエヴァ・アンダーソンがレッド・クイーンを演じた。また、レッド・クイーンは映画版オリジナルのキャラクターだったが、2007年にWiiで発売されたゲーム『バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ』にはレッド・クイーンが登場する。
様々な形で派生を見せた映画『バイオハザード』オリジナルキャラクターのレッド・クイーンもまた、今後、他作品でオマージュの対象となっていくのだろう。Neflixドラマ版&アニメ版とヨハネス・ロバーツ監督によるリブート版のストーリーにも注目だ。
映画『バイオハザード』は、「ブルーレイ アルティメット・コンプリート・ボックス」が発売中。
SF作家・牧野修による小説版は角川ホラー文庫から刊行されている。
映画『バイオハザード』の出演キャストおよび吹き替え声優のまとめはこちらの記事から。