『キャシアン・アンドー』第11話はどうなった?
ドラマ『キャシアン・アンドー』シーズン1がいよいよクライマックスを迎えている。本作は映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) と映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) の5年前を舞台にしており、最終的には『ローグ・ワン』に繋がる物語とされている。
シーズン2の撮影は2022年11月から始まるとされているが、シーズン1も11月で最終回を迎える。全12話で構成されるシーズン1にはどんなラストが待っているのだろうか。今回はシーズン1第11話の各シーンをネタバレありで解説していく。
以下の内容は、ドラマ『キャシアン・アンドー』第11話の内容に関するネタバレを含みます。
『キャシアン・アンドー』第11話「フェリックスの娘」ネタバレ解説
失意のビー
第10話でナーキーナ・ファイブからの脱獄に成功したキャシアン・アンドー。現場監督だったキノ・ロイのハートに火をつけて、惑星アルダーニでの強盗に続いて反乱を成功させてしまう。一方で、帝国保安局(ISB)のデドラ・ミーラはクリーガー派によるスペルハウスの発電所襲撃を嗅ぎつけていた。ISBに潜入しているスパイであるロニ・ヤングはルーセンに伝えるが、ルーセンはスパイがバレるリスクを嫌い手を打たないと表明するのだった。
第11話の冒頭、惑星フェリックスでは、B2EMO(ビー)の“眼”の映像を通してマーヴァの死が語られる。第1話でキャシアンのアリバイ作りに協力してくれたブラッソはビーに話しかけるが、「マーヴァといたい」と言いつつブラッソに「君と一緒にいる」と言い、混乱した様子を見せている。ビーは若い頃からマーヴァとその夫のクレム、そして息子のキャシアンといたが、全員を失ってしまった。人間以上にマーヴァの死にショックを受ける姿が痛ましい。
ブラッソはビーに“フェリックスの娘たち”を助けるように言うが、ビーは殻にこもってしまう。“フェリックスの娘たち”は、第8話でかつてマーヴァが会長を務めていたという反乱分子のグループだ。フェリックスに潜入しているシンタはマーヴァの遺体が運び出されるのを見送っていた。
キャシアン・アンドーは、前回のラストシーンでメルシと共に荒野を駆け抜けていたが、まだ惑星から脱出することはできていなかった。しかし、二人はクアッド・ジャンパー(クワッド・ジャンパーの表記も)を見つける。『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』(2015) にも登場した機体で、惑星ジャクーで武器商人が駐機していた。
メルシの無謀な突破で捕まった二人は、刑務所が海を汚して魚を殺したと言う事実を知る。地元住民も帝国支配の割を食っていたのだ。帝国が悪いと主張するキャシアンに対する「なんでも帝国のせいか」という言い回しは、抗議者を「〇〇ガー」と嘲笑するカルチャーを感じさせるが、それでもこの住民たちは帝国がクソであることを認めて二人を逃がしてくれるのだった。
よく分からないが優しい二人の住民は、キャシアンとメルシを助けてくれたのだろう。キャシアンは逃げる先をニアモスと指定し、第7話でバカンス先として逃げ込んだニアモスに再び向かうのだっった。
モン・モスマとリーダ
首都惑星コルサントでは、ルーセン不在で店番をしているクレヤをヴェルが訪ねる。第7話以来の再会だ。アルダーニの作戦を成功させたヴェルはクレヤに対して強気に出るが、クレヤも自分の役割を全うしていることを毅然と主張する。反乱分子も一枚岩ではないこと、役割による不平があることを示している。ヴェルは、キャシアンの母が死んだこと、シンタのもとへ向かうことを告げる。
そのフェリックスでは、デドラがマーヴァの葬儀をやらせることを決め、ISBは参列者を見張ることにしていた。フェリックスの葬儀は2日間に渡って行われ、遺灰は壁の一部になるという。ブラッソの帰宅を喜ぶビーは玄関で待っていたようで、寂しさが感じられる。
ブラッソは次の日の朝は仕事で家に帰ると言うが、それでも次の日の昼は休みをとってビーに会いに来てくれるという優しさを見せている。だが、一人になりたくないビーの姿はあまりに痛ましく、ブラッソは結局泊まることに。ビーは動物と同じで、人間のように涙を流せない分、その一つ一つの挙動で感情が伝わってくるように演出されている。
第9話でドクター・ゴーストによる拷問を受けたビックスは、その経験がトラウマタイズされていた。まだ尋問されるビックスは、アント・クリーガーのホログラムを見せられ、アクシスの正体がクリーガーなのか聞かれいる。ここで初めてアント・クリーガーのビジュアルが明らかになった。それにしてもISBはまだルーセンに辿り着けていないということであり、ルーセンの地下活動の巧みさが示されている。
モン・モスマは、伝統的な儀式に励む娘のリーダの姿を見つめていた。前話ではダヴォ・スカルダンが融資の代わりに息子とリーダを政略結婚させるよう仕向けることを条件に出してきており、モスマは憔悴しているように見える。そこに現れたヴェルに、マーヴァはリーダ自身が望んで故郷より保守的な取り組みを楽しんでいると明かす。リーダはモスマの方をチラ見しており、リベラルに生きる母への当てつけとしてこの儀式を楽しんでいるようでもある。
家族信託から毎月10万クレジット(約1,000万円)をルーセンのために引き出していたというモスマ。帝国の監査を逃れるために複数に分けていた口座を一つにまとめると、数字が合わず、テイ・コルマを頼ったと話す。テイ・コルマは第9話で40万クレジットが足りていないことをモスマに明かしている。
モン・モスマは、アルダーニの一件で更に締め付けが強化されて追い込まれたと話すが、ヴェルはアルダーニの事件の実行犯であり、罪悪感を抱いている様子だ。モン・モスマは「解決策は見つけた」と、目に涙を見せながらダヴォ・スカルダンの要求を飲むことを示唆するのだった。ヴェルは第9話でモスマに「反乱が最優先」と告げている。
シリルの執念
ひさびさな感じがするが第9話以来の登場となったシリル・カーンに電話をかけてきたのは、第3話でフェリックスで共に戦ったライナス・モスク分隊長。良いキャラだったが久しぶりの登場になった。まだモーラーナ1にいるというモスクだが、働いている場所は溶鉱炉だと言い、キャシアン・アンドーを逃した一件で左遷されたことが窺える。それでもまだシリルを「主任」と呼んで連絡してくる点は愛嬌がある。
ライナス・モスクは、フェリックスで帝国のために働く仲間からマーヴァの葬式が行われるという情報を得ていた。キャシアンが葬儀に参列するために戻ってくるかもしれない……キャシアンに執着するシリルは静かに闘志を燃やしていた。
そのキャシアンは第7話ラストで訪れたニアモスに到着。第7話で外に出る前に宿のバスルームに何かを隠していたが、それはブラスターとモバイルデバイス、そしてアルダーニの件の報酬だった。ルーセンがキャシアンに約束した報酬額は2,000万クレジットで、20億円超もの額になる。これがあれば余裕で生きていけるだろう。
「戦争」と呼ぶもの
ルーセンはというと、ソウ・ゲレラのもとを訪れていた。第8話ではゲレラはルーセンに要請されたクリーガーとの合流を拒否していたが、一転してクリーガーの発電所襲撃を航空支援すると言い出している。無政府主義者で、分離派との共闘を望まなかったゲレラだが、なぜ考えを改めたのだろうか。しかし、ルーセンはすでにISBに目をつけられたクリーガー派を見放している。
ここで注目したいのは、それでもソウ・ゲレラのことまでは見捨てなかったということである。ルーセンは、その理由をクリーガーは帝国側に捕まってもルーセンのことを知らないのでルーセンを売ることはないからだと話す。ソウ・ゲレラはルーセンを知っているからルーセンを売れると。それはルーセンがゲレラと親しいということも意味するが、あくまで冷静、いや冷徹な判断を下している。
ルーセンはソウ・ゲレラにクリーガーを見捨てて勝利を目指すか、貴重な情報源を失うかの二択を迫る。ゲレラは自陣にも内通者がいるのではないかとパニックになってしまう。『ローグ・ワン』でも人間不信ぶりを見せていたが、『キャシアン・アンドー』を見ているとゲレラは以前から人間不信だったように思われる。
チューブスのブラスターを抜いてゲレラに話を聞かせる姿勢を取らせたルーセンは、クリーガーを犠牲にしてISBの傲慢を生み、隙を作る作戦を明かす。30人とクリーガーを見捨て、より大きな勝利を目指すこと……ソウ・ゲレラをそれを「戦争」と呼ぶのだった。
海辺のアンドー
シリルがお母さんの金庫からクレジットを盗んでいる頃、ルーセンはクレヤと隠語で話している。二人は何かを手に入れようとしているようだ。しかし、ルーセンはゲレラが拠点にしているセグラ・マイロ近辺をパトロールする帝国軍の巡視船に足止めを食らってしまう。ルーセンはオルデランの応答機IDを使ってやり過ごそうとするが、オルデランはレイア・オーガナの義父であるベイル・オーガナ元老院議員が住む惑星だ。オルデランは後に反乱同盟軍の武器の供給源になっている。
ルーセンは牽引ビームに対して対抗装置を起動して逃げるのかと思いきや、何かを射出して牽引装置を破壊。タイファイターも撃ち落とすと機体の側面からビームを出す攻撃で敵機を撃破してしまう。ものすごい操縦の腕前だ。ルーセンはハイパージャンプで逃げ切ったが、とんでもない敵が現れたことは帝国に知られることになっただろう。相手は保安局ではなく軍だったが、帝国はこれを機にアクシスの存在に近づく可能性もある。
フェリックスでキャシアンからの連絡を受けたのは、第3話でキャシアンから船の手配を依頼されていたザンワン輸送のザンだ。「いつもマーヴァを思ってる」という伝言をマーヴァに伝えてほしいと告げたキャシアンだったが、ザンからはマーヴァが亡くなったことを知らされる。
幼い頃に帝国に殺された父に続き、母を失ったキャシアンだが、メルシにはこの事実を明かさず強がっていた。メルシは、もし脱獄で生き延びたのが自分達だけだとしたら、連中の悪事を暴かなければならない、一人でも生き延びて人々に伝えるためにバラバラに生きようと提案する。キャシアンはこの提案を呑み、ブラスターを渡してメルシと別れると、海の向こうを見て瞳を濡らすのだった。
『キャシアン・アンドー』第11話ネタバレ感想
第11話では、キャシアン・アンドーはナーキーナ・ファイブの惑星から脱出に成功。アルダーニの報酬だったクレジットも回収するが、その途端に母マーヴァの死を知らされる。アルダーニの作戦に成功した時はマーヴァとの別れを迎え、ニアモスに逃げた時は帝国に捕まってしまい、一難去ってまた一難という状態が続く。キャシンはかなり消耗しており、最終話では決定的に反乱運動に突き動かす出来事が起こると予想できる。
マーヴァの死に関連して注目したいのはビーの描き方だ。これまでにない非常に魅力的な老ドロイドの描き方に成功している。ちなみに第11話の監督は第7話でマーヴァのスピーチを演出したベンジャミン・キャロン。第11話ではマーヴァを登場させることなく、その存在の大きさを表現してみせた。ベンジャミン・キャロンは最終話第12話でも監督を務める。
第11話ラストの海のシーンは、映画『ローグ・ワン』のラストを想起させる。同作では、ジンは負傷したキャシアンを浜辺まで連れて行き、二人は海の前で最期を迎える。キャシアンが最後にジンにかけた言葉は「お父さんは君を誇りに思っているよ」であり、キャシアンが本話で海を見ながら思いを馳せた親について言及しているのだ。キャシアンの記憶には、母の死を聞いた直後に見た海の光景が残っていたのかもしれない。
それに、キャシアンはメルシから「どちらかが生き延びて人々に伝える」という提案を受けており、これは『ローグ・ワン』のラストで“希望”=デス・スターの設計図をレイアまで繋いだ展開を想起させる。モン・モスマの決断、シリル・カーンの動向、ルーセンの過去も気になるところだが、『キャシアン・アンドー』シーズン1は残り1話。いよいよキャシアンの物語は『ローグ・ワン』に向けて動き出す。
ドラマ『キャシアン・アンドー』はDisney+で独占配信中。
『ローグ・ワン』はBlu-rayセットが発売中。
トニー・ギルロイが語ったシーズン2についての情報はこちらから。
俳優のジェネヴィーヴ・オーライリーが語ったモン・モスマの孤独についてはこちらから。
アンディ・サーキスが語る「スター・ウォーズ」再出演の理由とキノ・ロイのバックグラウンドについてはこちらの記事で。
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