『キャシアン・アンドー』第7話はどうなった?
「スター・ウォーズ」ドラマ最新作『キャシアン・アンドー』は、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) で反乱軍の情報将校だったキャシアン・アンドーを主人公に据えた物語。『ローグ・ワン』と『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) の5年前という帝国軍の時代を舞台に、キャシアンが反乱軍に合流していく様子が描かれる。
全12話で構成される『キャシアン・アンドー』シーズン1は、第7話から早くも後半戦に突入。既にシーズン2の制作も進められているが、シーズン1の物語はどのような形でクライマックスへ向かっていくのだろうか。今回は第7話をネタバレありで解説していく。
以下の内容は、ドラマ『キャシアン・アンドー』第7話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『キャシアン・アンドー』第7話「声明」ネタバレ解説
「茶色のスーツ」のシリル・カーン
第6話までで帝国1宙域の給与資金4半期分=8,000万クレジットを奪うことに成功したヴェルとキャシアンたち。キャシアンは反乱に加わることなく、約束の報酬2,000万クレジットをもらいヴェルの元を離れている。
『キャシアン・アンドー』はここまでは3話ごとの構成になっているように見え、第7話からはまた仕切り直しで新たな展開が待っている。なお、脚本は第1話〜第3話を『ローグ・ワン』を手がけたトニー・ギルロイが、第4話〜第6話をその弟のダン・ギルロイが手がけた。そして、今回の第7話のみスパイドラマ『ジ・アメリカンズ』(2013-2018) のステファン・シフが脚本を担当している。
第7話は2話ぶりの登場となるシリル・カーンの姿から幕を開ける。就活をするのに少し派手目な服を着て襟を伸ばすシリルは、お母さんに「茶色のスーツだ」と言い張る。第1話の登場時にも、部長にユニフォームを自分で仕立て直したことを指摘されていた。単にオシャレだとか、ファッションに気を遣っていると言うこともできるが、母イーディはその意味を見透かしている。
イーディは、個性的なファッションは自己主張であり、「僕を見て」というメッセージの表れだと指摘するのだ。イーディは「標準局は個性なんか求めちゃいない」と言うが、それは何も帝国の時代のパブリックセクターに限ったことではなく、この日本に住む私たちにとっても耳が痛い。
なお、過保護でずっと息子の世話をしようとするイーディは、この後、第7話で見事な決断を下すマーヴァと対照的な立ち位置に設定されているように見える。
監視社会ディストピアへ
アルダーニでの大強盗は銀河中のニュースになっていた。帝国の決定を伝えるのは帝国保安局 (ISB) のウルフ・ユラーレン大佐だ。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』ではモブキャラとして登場。その後、アニメ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』(2008-2020) と『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2020) では主要なキャラクターとして再登場している。
ユラーレン大佐は今回の件を機に、一気に帝国による管理を強化することを宣言。帝国の全ての宙域で反乱者を匿った宙域からは奪われた額の5倍の税を徴収し、各地の祭りなどの伝統に対して締め付けを強めることを示唆する。ファシズムは決して保守ではなく、他者の伝統を破壊するものだ。
そしてここでパルパティーンの名前に言及される。ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) にも登場した皇帝パルパティーンは、言及も含めればほとんどのシリーズで存在感を示している。パルパティーンは、帝国軍ではなく帝国保安局がこの締め付けを進めるよう指示を出し、保安局は軍部の資源を自由に利用できるという。資源については「Army(兵士)」にも言及しており、保安局はストームトルーパーも使えるようになっている。
帝国保安局は、帝国成立直後にパルパティーン自らが設立した秘密警察で、帝国崩壊時には保安局は帝国軍の情報部よりもはるかに巨大な規模になっていた。ドラマ的には、ダース・ベイダーら帝国軍の人間を出さずに物語を進めることができる。一方で、『キャシアン・アンドー』の5年前にあたる『オビ=ワン・ケノービ』でダース・ベイダーと尋問官がオビ=ワン・ケノービを捕らえられず、パルパティーンがベイダーの中の弱さを指摘した件も今回の決定に影響を与えているのかもしれない。
パルパティーンが出す法案により、保安局は監視・捜索・逮捕を独断で行えるようになるという。そして、間接的であっても帝国に影響を与える犯罪は全てが第1級犯罪に。未納の罰金と税金も即座に徴収されるといい、第6話まではスパイSFの要素が強かった『キャシアン・アンドー』が、一気に監視社会ディストピアSFへと変貌していく。それだけ第6話におけるキャシアンたちの作戦は帝国に衝撃を与えたのだ。
デドラ・ミーロは、今回の判断を「反乱者の思うつぼ」と不満を抱いている。締め付けを強化すれば強化するほど、帝国に対する人々の反感は強まっていく。何より、帝国がなりふり構わず規制を強めることで、反乱分子が帝国にとって脅威であることが広く宣伝されることになる。デドラは「あれは宣言」と、今回の英題である「宣言 (Announcement)」という言葉を使い、今回の事件が反乱分子が世界の人々を鼓舞するメッセージであると断言するのだった。
ルーセンの言葉の意味
ルーセンはアルダーニの情報を傍受している。134人のアルダーニ人が共謀容疑で拘束されたという。アルダーニ人に共謀者はいないはずで、帝国の焦りが透けて見える。そこに現れたモン・モスマ議員は、黙って大胆な行動に出たルーセンに不満を抱いている様子だ。だが、ルーセンは「もう十分待った」と言い、パルパティーンを本気にさせることこそが狙いだったと話す。
モスマは人々が苦しむと主張するが、ルーセンは、緩やかな抑圧が続いても人々は慣れてしまうと大衆の特徴をよく理解していた。「強く締めさせねば」「良心を守りたけりゃ抜けることだ」と、ヴィラン顔負けの強硬な主張を繰り広げる。革命とは血が流れるもので、決して綺麗事では済まない。この辺りは「自由のためには血も流す」という歴史を踏まえたアメリカ的な考えが根底にあり、「平和が最も大切」という日本的な考えとは少々ズレを感じるかもしれない。
第5話ではルーセンよりも落ち着いた態度を見せていたクレヤはモン・モスマの適性を疑うが、ルーセンは「いずれ分かる。表に出た時にな」と回答する。英語では「We can’t hide forever.(永遠に隠れることはできない)」と言っており、ルーセンは地下活動を行うばかりでなく、いずれ政府を作らなければならないということまで見通していることが分かる。ルーセンの見立て通り、モン・モスマは後に新共和国の初代議長に選出されることになる。
標準局で就職面接を受けるシリル・カーンも第7話の注目ポイントの一つ。モーラーナ1での一件が面接官にバレたシリルだったが、無事に過去を消して再出発を果たせることに。おじの権力だろうか。空きができた燃料純度部での仕事が始まる。
第7話でアルダーニに置き去りになっているシンタの頭上では、帝国の主力艦スター・デストロイヤーが飛んでいた。一方、任務を遂行したヴェルは首都コルサントにいる。赤い服でフードを被っているのはルーセンの元で働いているクレヤだ。
ヴェルは潜伏用の、クレヤは任務用の格好をしており、二人ともすっかり違う見た目になっている。多くの死者を出しながらもルーセンが現れないことに不満を持っているヴェルだが、クレヤからはパートナーであるシンタに連絡を入れないように釘を刺される。そして、キャシアンを見つけて殺すという新たな任務が下される。「これが革命」。それがクレヤとルーセンの考え方だ。
モン・モスマの「嘘」
一方のモン・モスマは会食で、テイ・コルマに声をかけていた。旧友で帝国に不満を持つ銀行家のテイ・コルマを仲間に引き入れることを画策する。自分は「少し過激な思想の持ち主かも」と言い、モスマを侮っていたコルマだが、モスマは優柔不断で中途半端な立場にある議員としての自分の姿は「嘘」であることを明かす。かつてのパルパティーンと同じやり方で、「イラつく女」だと思わせておくことが作戦なのだという。
かつてパルパティーンは共和国時代に一元老議員から帝国を樹立して皇帝の座に上り詰めた。そして、モスマもまたそのやり方から学び、一元老議員から帝国を打倒して後に新共和国の初代議長になるのだ。
平和を訴えはするが、その生活は手放さない、一線は超えないという日和見主義者だと見くびらせ、侮らせることで、モスマは秘密裏に革命のための資金集めに取り組むことができていた。その証拠に第4話で店内までついてきていた監視役の運転手は第7話では外で待っており、モスマとルーセンの会話を聞き逃している。
モスマの作戦の背景には、女性を見くびる元老院や世間の中のミソジニーもあるだろう。「イラつく女」という言葉は英語では「An irritation」と言っており、「女」の要素は入っていないが、元老院に男性が多い状況や夫ペリンの態度も含めて、ジェンダーの要素が絡んでいると行間で示されていることは明らかだ。
モン・モスマは、テイ・コルマをシャンドリラ支援活動の会長にすることでコルサントに出入りできるようにすると提案し、資金移動を手伝うよう要請する。シャンドリラは、モン・モスマとテイ・コルマの故郷の惑星で、後に新共和国の最初の首都惑星になっている。資金の使い道を聞かれたモスマは、言えばコルマが危険に晒されると警告し、「少し過激な思想の持ち主なの」とやり返すのだった。
フェリックスへの帰還
大金を手に入れたキャシアンは母マーヴァとB2EMO(ビー)を迎えに惑星フェリックスを訪れていた。第5話でブレヴィンがホテルを本部に作り変えていたのは、フェリックスでのことだったようだ。キャシアンはマーヴァとビーに一緒に逃げようと誘うが、早朝発つことにしてビックスに会いにいく。
ビックスは、キャシアンの生き方を「だまして、持ち出して、嘘ついて、消える」と非難。その通りではある。ビックスはキャシアンに去るよう言うが、キャシアンはビックスに自分のことを忘れるようにいい、友人たちからの借金12,000クレジットを返しにきていた。ここで挙げられるナーチは第1話で取り立てにきたとビーが言っていた友人だ。ブラッソはその後に街でアリバイづくりに協力してくれた人物である。
ビックスは自分がキャシアンに紹介したルーセンのことを知らないと言うが、ルーセンは自分のことを知ったキャシアンの暗殺命令を出している。ビックスはルーセン側の人間であるか、紹介役として泳がされているのだろうか、それともルーセンはビックスにも刺客を送るのだろうか。
キャシアンは広場を通る際にストーム・トルーパーの姿を見て、少年時代の記憶がフラッシュバックする。それは、義父のクレム・アンドーが帝国のクローン・トルーパーに石を投げる人々を宥めようとして銃を向けられる光景だった。この後、クレムは広場で吊るされたと第3話でルーセンが明かしている。
この回想シーンに登場する帝国の兵士は人間を徴兵したストーム・トルーパーではなく、クローン兵を使ったクローン・トルーパーであり、帝国成立間もなくの出来事であることが分かる。この後、回想は13年前のことだと明かされており、アンドー家は帝国成立2年目にフェリックスにいたことが分かる。マーヴァとクレムはトレジャーハンターだったが、帝国の時代が来て腰を落ち着けることにしたのかもしれない。
マーヴァの決意
父を帝国軍に殺されたキャシアン。それは、マーヴァにとっては夫を帝国軍に殺されたということだ。キャシアンはマーヴァを迎えに行くが、マーヴァはフェリックスに残ることを選ぶ。ここからは『キャシアン・アンドー』屈指の名シーンだ。
帝国の占領下になったフェリックスから逃げようと説得するキャシアンだったが、マーヴァが残る理由は「反乱」だと語る。これまでフェリックスは隠れてきたが、ここから反乱が始まるというのだ。クレムが殺されてから13年間、広場を避けて遠回りしてきたというマーヴァは、アルダーニの襲撃を聞き、13年ぶりに笑顔で広場を横切ったという。
奇しくも父クレムの名前を使ってキャシアンが遂行した作戦を、マーヴァは「勇敢な英雄」による行動だと受け止めていた。デドラが言っていたように、あの行動は帝国に反旗を翻す「声明/宣言」として人々に届いていたのだ。
映像ではクレムが吊るされた広場でクローン・トルーパーに殴りかかる若きキャシアンの姿が映し出されている。第2話ではキャシアンには暴動、帝国施設の損壊、帝国兵の襲撃という前科があることが明かされていたが、少なくとも帝国兵の襲撃については、父クレムが殺された時の行動だったようだ。
「声明」を受けて「私だって戦い抜ける」「人々が蜂起してる」と言うマーヴァは、キャシアンのように逃げることをやめた。「負けたって構わない」「死ぬのを待つのはやめた」という言葉は重い。しかもマーヴァは「I’m not judging you.(あなたをジャッジしない)」と、別の道を選ぶキャシアンを責めることもしない。ただ、自分の生き方を選ぶだけなのだ。
どうしても相手を案じてしまう、それは愛であり、どうすることもできないが、今回は二人は違う道を選ぶしかない。それがマーヴァが出した結論だった。母性神話に絡め取られてしまいがちだった“母親”としての側面を持つキャラクターであるマーヴァが、息子に守られるでもなく、息子を見守るでもなく、二人の人間として違う道を歩もうと告げるこのシーンは、「スター・ウォーズ」史に残る名場面だろう。
「スター・ウォーズ」シリーズでは、死ぬまで子どものことを想い続ける母の姿が描かれがちだった。しかし、マーヴァは長く抑圧に耐えてきた生活の末、息子と生きながらえることよりも、革命に殉じることを選んだのだ。そして、人々がそのように立ち上がり始めた理由は、キャシアンたちが恐れ知らずにも帝国の怒りに火をつけたからだった。
マーヴァは最後に、妹捜しをやめるようにキャシアンに告げる。妹を含め、惑星ケナーリの人々は死んだというのだ。第2話でキャシアンは自身がケナーリ出身であることを人に話した理由をマーヴァに言わなかったが、マーヴァにはキャシアンが妹を捜していることもお見通しだったようだ。「また戻る」と言って去るキャシアンの背後で、左手で杖をつくマーヴァは、右手にブラスターを持つのだった。
あれはK-2SO?
保安局の会議ではブレヴィンがデドラ・ミーロが規律を見出していると告発しようとして失敗。デドラは反乱分子の動きを掴み、犯罪報告書を通して機器の盗難と反乱組織の繋がりが証明できたという。パータガス少佐は、規則を優先しようとするブレヴィンよりも、“宙域規則”を破ってでも結果を残したデドラの方を買う。ブレヴィンが感情的になり、公の会議の場でこの件を持ち出したことは悪手である。
意外と進歩的な判断ができるパータガス少佐は、フェリックスの件の管轄をデドラに移すと共に、背後に気をつけるよう助言する。これで第7話にしてようやくデドラとキャシアンが繋がる動線が完成した。
キャシアンはビーチが綺麗な惑星ニアモスで、キーフ・ガーゴという偽名を使って過ごしていた。キャシアンが買ってくるよう頼まれているピーゾス (Peezos) はピザのようなものだろうか。リゾート地に来たキャシアンだが、全宙域で締め付けが強化されており、保安局に追われている人々や監視用と思われるドローンの姿も見られる。
保安兵にいちゃもんをつけられて疑われたキャシアンは、警備ドロイドに首を絞められて逮捕されてしまう。この時登場するドロイドは、『ローグ・ワン』でキャシアンの相棒として登場するK-2SOと同じ型である。
K-2SOはキャシアンにプログラムを改造されて仲間になったのだが、このドロイドがK-2SOになるのかは今のところ不明だ。どちらにせよ、この惑星の保安をK-2SOと同じ型の警備ドロイドが担当しているということは、近いうちに『キャシアン・アンドー』にK-2SOが合流する可能性は大いにある。
速攻で裁判にかけられたキャシアン。判事の後ろには銀河帝国のシンボルが掲げられている。事実と異なる罪状まで読み上げられ、キャシアンは6年の刑を言い渡される。抗議するキャシアンだったが、判事は「指針変更でね」「皇帝に言って」と取り合わない。自らが遂行した作戦が自らに返ってくるという展開に。「ただの観光客だ」と言い張るキャシアンだったが、もうただの観光客でも安全は保障されない時代に突入したのだ。
『キャシアン・アンドー』第7話のラストシーンは、いかにも監視社会ディストピアという職場で大勢の一人として働くシリル・カーンの姿が映し出される。ひたすらにコードをいじる仕事のようだ。そしてその服は、襟を伸ばした「茶色のスーツ」ではなく、他の職員と同じユニフォームになっている。
エンディング曲は、ニアモスのシーンで流れた陽気なサウンド。『キャシアン・アンドー』の音楽を手がけているのは、映画『ムーンライト』(2016)、『ビール・ストリートの恋人たち』(2018) ではアカデミー作曲賞にノミネートされたニコラス・ブリテルだ。
『キャシアン・アンドー』第7話感想
それぞれの描かれ方
『キャシアン・アンドー』後半戦のスタートとなる第7話は、仕切り直し回ということもあり、それぞれの選択が描かれる非常に濃い回だった。キャシアンは過去を精算し、新しい人生を生きることを選んだが、もはや誰も安全に暮らせない社会になっている。逮捕されたキャシアンは警備ドロイドを改造し、仲間を作って脱走するのだろうか。それとも、キャシアンを捜すヴェルが現れるのだろうか。
相変わらずの冷酷さを見せたのはルーセン。大きな善のためには小さな犠牲もいとわない功利主義的な考えを見せるルーセンは、なぜここまでするのだろうか。そのオリジンが描かれることにも期待したい。そして、以降の「スター・ウォーズ」シリーズを見る限り、ルーセンはどこかで命を落とす可能性は高い。モン・モスマが生き延びて次の時代を率いたのとは対照的に、ルーセンは自分に来たる結末を理解して罪を重ねているのだろう。
モン・モスマの会話シーンも見事だった。息を潜めて牙を磨いてきたという設定は、後に新時代のリーダーとなるモン・モスマだから説得力がある。革命に殉じることも必要かもしれないが、爪を研いで生き延びることも、未来のためには必要なのだ。革命に殉じることを選んだマーヴァのセリフも含め、それぞれのキャラクターから放たれる言葉の重みというのが『キャシアン・アンドー』の最大の魅力だ。
魅力といえば、シリル・カーン。『キャシアン・アンドー』の中では“ダメキャラ”に位置するが、その動向がいちいち気になるので、たまに挿入されるのはありがたい。どこかで物語の本筋に合流するのだろうが、しばらくその様子を眺めていたい気もする。
反乱の現実
「スター・ウォーズ」シリーズでは、これまで「かっこいい」ものとして描かれてきた反乱と革命の現実的な側面を描いているのが『キャシアン・アンドー』の特徴だ。ルーセンたちは、反乱の中で命が失われることを「しょうがない」「そういうもの」と考えている。この作品の中に、ヒーローはどこにもいない。『エピソード4』からは、スカイウォーカー家による劇的な英雄譚が始まるが、その礎には、反乱の中で死んでいった人々のいくつもの死体が埋まっているのだ。
ルーセンが仕掛けた作戦は、帝国を怒らせ、人々はこれを英雄的な行動と捉えた。革命に殉じることにしたマーヴァも、あの作戦がまさかキャシアンがお金のために実行したものだとは思っていない。一方で、キャシアンが命を賭して作戦に参加した背景には、父クレムが帝国に殺されたという理由がわずかでもあったはずだ。そのようにして帝国の圧政は14年にわたり反乱の種を蒔き続けてきた。それを芽吹かせたのがあの強盗事件だったのだ。
キャシアンはまだそのことに気づいていない。14年前を舞台にしたアニメ『バッドバッチ』第12話では、後に反乱運動の中で命を落とすことになるエレニ・シンドゥーラが、反乱分子の組織化を断る傭兵のハンターに「戦争が始まれば戦いは避けられない」と忠告する。キャシアンはいよいよその時を迎えることになる。第8話の展開も注視しよう。
第8話が配信される10月26日(水) は、プリクエルを舞台にしたミニシリーズ『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』も配信されるので、こちらも楽しみに待とう。予告編の紹介はこちらから。
ドラマ『キャシアン・アンドー』はDisney+で独占配信中。
『ローグ・ワン』はBlu-rayセットが発売中。
『キャシアン・アンドー』シーズン2の情報はこちらから。
『キャシアン・アンドー』第8話のネタバレ解説はこちらから。
第6話のネタバレ解説はこちらから。
第5話のネタバレ解説はこちらから。
第4話のネタバレ解説はこちらから。
第3話のネタバレ解説はこちらから。
シリル・カーンのバックグラウンドについて俳優が語った内容はこちらから。
デドラ・ミーロのバックグラウンドについて俳優が語った内容はこちらから。
第2話のネタバレ解説はこちらから。
第1話のネタバレ解説はこちらから。
2023年配信開始のドラマ『マンダロリアン』シーズン3の予告編はこちらから。
ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』最終話のネタバレ解説はこちらから。