ネタバレ考察『ホワット・イフ…?』第3話 ハルク登場で『インクレディブル・ハルク』再評価&シリーズ再興へ道筋 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『ホワット・イフ…?』第3話 ハルク登場で『インクレディブル・ハルク』再評価&シリーズ再興へ道筋

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『ホワット・イフ…?』あの作品に注目

Dinsney+で配信されているアニメ『ホワット・イフ…?』シーズン1は、フェーズ3までの23作品を対象にあり得た「もしも」の物語を描いていく。第1話では『キャプテン・アメリカ/座・ファースト・アベンジャー』(2011) が、第2話では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) がその対象になった。そして、第3話では一気に4つの作品が描き直されることに。

第3話の解説はこちらに詳しいが、今回特に注目したいのは『インクレディブル・ハルク』(2008) についてだ。MCU23作品の中でも、これまであまりフォーカスされてこなかった『インクレディブル・ハルク』は『ホワット・イフ…?』でどのように描かれたのか。そして、今後「ハルク」の続編はMCUで登場するのか。『ホワット・イフ…?』第3話と『インクレディブル・ハルク』のネタバレありで考察してみよう。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ホワット・イフ…?』第3話および映画『インクレディブル・ハルク』の内容に関するネタバレを含みます。

『ホワット・イフ…?』第3話で描かれた『インクレディブル・ハルク』

『ホワット・イフ…?』第3話で描き直されたのは『アイアンマン2』(2010)、『マイティ・ソー』(2011)、『アベンジャーズ』(2012)、そして『インクレディブル・ハルク』だ。ニック・フューリーを中心に据え、アベンジャーズ計画におけるスーパーヒーローのリクルートがうまくいかなかった世界線が描かれた。

アイアンマンことトニー・スターク、ソー、ホークアイことクリント・バートンら後のアベンジャーズが次々と倒れていく中、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフは『インクレディブル・ハルク』の舞台となったカルバー大学を訪れる。ナターシャはハルクを保護しようとするが、結局ハルクもナターシャも何者かにやられ、結果的にアベンジャーズはニック・フューリーを残すのみとなってしまう。

ニック・フューリーは、ソーが殺されたことへの報復として地球を破壊しにやってきたロキの手を借りて犯人のイエロー・ジャケットことハンク・ピムを倒す。だが、アベンジャーズを失った地球ではロキによる支配が始まり、ニック・フューリーはこれに対抗するためにキャプテン・アメリカとキャプテン・マーベルと共に新たなアベンジャーズを結成するのだった。

『インクレディブル・ハルク』が描かれなかった理由

以上の話の流れで登場したハルクは、第3話全体の中では短いストーリーしか描かれていない。それでも、MCUにとって『インクレディブル・ハルク』の物語が描き直された意味は大きい。MCU第2作目として、『アイアンマン』と同年の2008年に公開された『インクレディブル・ハルク』だが、その後、MCUで『インクレディブル・ハルク』の設定や映像はほとんど“再利用”されることはなかった。それには明確な理由がある。

まず、一番大きな理由はハルクことブルース・バナーの俳優交代だろう。そもそも、映画製作の権利が当時のFOXに渡った「X-MEN」、ソニーに渡った「スパイダーマン」と共に、「ハルク」もまたユニバーサルが権利を獲得して2003年に映画『ハルク』として公開されていた。その権利がマーベル・スタジオに戻り、仕切り直しのリブート版として公開されたのが『インクレディブル・ハルク』だ。

リブートと言っても5年しか経過しておらず、『インクレディブル・ハルク』のストーリーは『ハルク』の続きと言っても過言ではない。ただし、主演俳優がエリック・バナからエドワード・ノートンに変更されており、MCUに加わる一作として新たなスタートを切っている。

だが、問題が起きたのは、『インクラディブル・ハルク』の製作中だった。脚本の内容に不満を持ったエドワード・ノートンは自ら脚本を書き換え、最終的には製作の方向性の違いからプロモーションへの協力を拒否するという行動に出る。こうした経緯から、以降のMCUではハルク役はマーク・ラファロへと交代になった。

『インクレディブル・ハルク』の興行成績は、MCUでは最も低い2億6,000万ドル台に。ハルクは『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) では準主役の扱いを受けたものの、MCUでは「ハルク」シリーズの映画は製作されていない。ハルクにとっての過去作がエドワード・ノートン主演の『インクレディブル・ハルク』しか存在せず、以降のMCUではエドワード・ノートン演じるハルクのシーンが別作品に挿入がされることはなかった。

『ハルク』でも『インクレディブル・ハルク』でもブルース・バナーの恋人として重要な役割を担ったベティ・ロスは“いなかったこと”にされ、ブルースはナターシャ・ロマノフとのロマンスが描かれることになる。

ベティ復活が意味すること

1977年には『超人ハルク』としていち早くテレビドラマ化されるなど、マーベル作品の中でも人気キャラだったハルク。『インクレディブル・ハルク』はストーリー的には映画『ハルク』の続きでありながらMCUとしては「ハルク」シリーズ1作目という微妙なポジション、さらに俳優交代という憂き目にあい、MCUでは不遇な存在だった。

『インクレディブル・ハルク』が忘れ去られたが故に、特に割りを食ったのがベティだったと言える。ご都合主義的な設定が加えられるでもなく、しれっといないことにされたのだからやり切れない。そして、そのような状況下にあったからこそ、『ホワット・イフ…?』第3話でベティ・ロスが13年ぶりの再登場を果たしたことには驚きを隠せない。

それも、ブルースを“奪った”形になっていたナターシャがベティを頼るという演出で、アニメになったブルースはマーク・ラファロの顔と声で登場した。アニメで表現される『ホワット・イフ…?』で、『インクレディブル・ハルク』を描き直すという判断をマーベルが下したことは、同作をMCUフランチャイズのレガシーの一つとして捉えているという意思表示に他ならない。

ベティをいなかったことにしない……この決定は、今後のMCUにどのような影響を与えるのだろうか。実は、ベティは2022年配信を予定しているMCUドラマ『シー・ハルク(原題)』での登場が噂されている。これは米CBRがフリージャーナリストのダニエル・リチャードマンによる報告として伝えたもので、『インクレディブル・ハルク』でベティを演じたリヴ・タイラーが『シー・ハルク』でもベティを再演するとしている。

『インクレディブル・ハルク』蘇らせるフェーズ4

この報道の真偽は定かではないが、ベティの父でスーパーソルジャー計画を復活させようとしてブルースをハルクに変えてしまったロス将軍も『シー・ハルク』に登場すると報じられている。ロス将軍はと言えば、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) で憎まれ役のお偉いさんとして登場。映画『ブラック・ウィドウ』(2021) にも登場してナターシャを追うなど、登場のペースを早めている。

ロス将軍は原作コミックでヴィランチームの“サンダーボルツ”を率いることになっている。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) 最終話の流れからも、MCUにおけるサンダーボルツ結成、その中心にロス将軍が立つ可能性は十分にあるだろう。

そして、『インクレディブル・ハルク』からの“復活”は、ロス親子だけではない。2021年9月3日(金)から劇場で公開される映画『シャン・チー テン・リングスの伝説』ではアボミネーションが登場することが判明している。アボミネーションは『インクレディブル・ハルク』のメインヴィランで、ロスの部下であるエミル・ブロンスキーがブルースの血液サンプルを取り込んで変化した姿である。

このように、『ブラック・ウィドウ』でロス将軍、『シャン・チー テン・リングスの伝説』でアボミネーション、『ホワット・イフ…?』第3話でベティと、MCUフェーズ4では『インクレディブル・ハルク』に登場したキャラクターが次々と登場している。

とりわけ『ホワット・イフ…?』第3話は、映画『インクレディブル・ハルク』自体を無かったことにしない“和解”の作品とも言える。今後、ドラマ『シー・ハルク』から再び「ハルク」フランチャイズが拡大していく可能性もあるだろう。その意味では、『ホワット・イフ…?』第3話は、過去の「もしも」を描きながらも未来に新たな可能性を与えた重要回と言えるだろう。

なお、『キャプテン・マーベル』(2019) の続編『ザ・マーベルズ(原題)』には、人気韓国俳優のパク・セジュンの出演が噂されている。アメリカでは、パク・セジュンが韓国系アメリカ人のキャラクターであるアマデウス・チョウ役として新ハルクを演じる予想も出ている。詳しくはこちらの記事で。

MCUにおける「ハルク」再興に期待しよう。

アニメ『ホワット・イフ…?』はDisney+で独占配信中。

『ホワット・イフ…?』(Disney+)

『ホワット・イフ…?』監督が本作を「正史」と認めた発言はこちらの記事で。

『ホワット・イフ…?』ドクター・ストレンジ回の情報はこちらの記事で。

マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが語った『ホワット・イフ…?』シーズン2の情報はこちらから。

『ホワット・イフ…?』第3話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

 

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告編の解説はこちらから。

『エターナルズ』予告編の解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。 お問い合わせはコチラから
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