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『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』に繋がる平次と和葉のラブコメディー
2024年4月12日（金）に全国公開された『名探偵コナン 100万ドルの五稜星（みちしるべ）』では、西の高校生探偵こと服部平次と怪盗キッドの対決が目玉となっている。しかし、この映画の目玉はそれ1つだけではないだろう。観客の期待する『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』の目玉とは、服部平次と遠山和葉のラブコメディーではないだろうか。
東の高校生探偵である工藤新一と毛利蘭の恋愛が成功しているのに対して、もどかしい状況が続いている平次と和葉の恋路。『名探偵コナン から紅の恋歌（ラブレター）』（2017）で大岡コンツェルンの令嬢である大岡紅葉も参戦し、平次と和葉の恋路は混迷を極めるものになっている。それでは、和葉の初登場から現在に至るまで、平次と和葉はどのような恋路を辿って来たのだろうか。
本記事では『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』に至るまで、平次と和葉がどのような恋路を辿って来たのかを振り返ってみよう。記事の最後には、映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』のラストで平次の告白がどんな結末を迎えたのかについても解説する。重大なネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読むようにしていただきたい。
以下の内容は、映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』とアニメ『名探偵コナン』の放送済みエピソードの内容と結末に関するネタバレを含みます。
『名探偵コナン』の平次と和葉の恋の道のり
和葉の初登場と工藤新一への疑い
平次と和葉の関係は、付き合ってそうで付き合っていないというもどかしい幼馴染からはじまった。遠山和葉の初登場エピソードである「浪花の連続殺人事件」（第118話）では、和葉は自分のことを「いつも平次の面倒を見ているお姉さん役」と評しており、蘭に対して恋心に由来した嫉妬はあったが告白など明言はしなかった。
また、和葉は最後まで新一を「東京で平次をたぶらかした工藤という女」だと勘違いしていた。その勘違いが解けるのは「命がけの復活 第三の選択・黒衣の騎士」（第192話）まで待たなければならなかった。このとき、蘭に正体が発覚しかかっていたコナンはAPTX4869の解毒剤で一時的に新一の姿に戻ることで、蘭からコナンと新一は同一人物という真実を隠そうとしていた。新一の姿を見て、和葉は「ほんまに男やったんや」と内心思っている。
最初の告白
平次と和葉は幼馴染という関係性が続くが、平次が何度か和葉に想いを告白しそうになったことはあった。その1つが「服部平次絶体絶命！（前編/後編）」（第323～324話）であり、監禁されて銃を突きつけられた平次は和葉に対して「後ろの女に一言遺したろ思てな。前からこいつに言おう思てた大事な話や」と告白しそうになった。
しかし、この告白は平次が照れたことで失敗に終わる。平次たちはコナンに送った暗号によって助かり、和葉から「背中で震えるあたしに何べんも言おうとしたこと」について尋ねられ、「飽きるほど聞かせたる」という言質を取られたこともあり、問い詰められる。
そのときに想いを告げればよかったのだが、平次は「震えるたんびに馬の尻尾みたいな後ろ髪が首にチクチクあたりよるから、こそぼうてこそぼうて」とごまかしてしまう。これには電話越しに聞いていたコナンも呆れていた。
恋の軍略「風林火山」
「コナン平次の推理マジック（仕掛編/館編/解決編）では平次は和葉に対して無自覚な嫉妬をするが、その原因を「（和葉のことを）子分やと思ってんねん」と言ってしまうなど、関係性は思うように進展しない状況が続いた。その状況に変化が訪れたのは「風林火山 迷宮の鎧武者/陰と雷光の決着」（第516～517話）でのことだった。
2025年の劇場版『名探偵コナン』にも繋がる重要なエピソードの「風林火山（迷宮の鎧武者/陰と雷光の決着）」（第516～517話）だが、平次と和葉の関係性においても重要なエピソードである。このエピソードで和葉は平次に告白しようとするのだ。
大和勘助と上原由衣の関係性に触発された和葉は、風林火山を恋の軍略として平次に告白しようとする。蘭も新一に告白しようとするのだが、蘭も和葉もあと一歩のところで勇気が出ず、告白するに至らなかった。平次は和葉に呼び出された理由もわかっておらず、片方が告白しようとすると、もう片方が鈍感になってしまうというラブコメディー状態がここから続いた。
告白のチャンスを逃す平次
その後の「恥ずかしいお守りの行方（前編/後編）」（第573～574話）では、和葉がお守りの中に平次の写真を入れており、それを平次が見てしまうという急展開をみせた。だが、そのお守りを借りていた和葉の幼馴染の大学生が嫉妬心から写真に落書きしてしまい、平次は馬鹿にされたと怒ってしまった。
「毒と幻のデザイン（EYE/S/Poison/Illusion）」（第652話～655話）で和葉はようやく平次に告白することを選ぶ。「前からあんたのこと、め、めっちゃ好っきゃねん！」と和葉は想いをぶつけるが、その場に平次はおらず、すべてを聞いていたのは高木刑事だけだった。その理由は非常に単純なもので、和葉が告白しようと思ったきっかけの「ロンドンで新一が蘭に告白した」という話を聞いた瞬間、平次がコナンを茶化しに行ってしまったのである。
しかし、このロンドンでの告白は平次の胸に残ることになり、平次は『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』で、ビッグ・ベンの前での告白と100万ドルの夜景の前での告白のどっちがロマンチックかと蘭に尋ねている。告白という恋愛沙汰でも新一と張り合うのが平次らしいが、実は「毒と幻のデザイン（EYE/S/Poison/Illusion）」（第652話～655話）で平次は告白のチャンスを知らぬ間に逃してしまっているのだ。
恋心を自覚する平次
「コナンと平次 恋の暗号（前編/後編）」（第763～764話）では潜入捜査していた和葉と話していた麻薬取締官に対して、「俺の和葉に何さらしとんのじゃ！」と平次は叫び、自身の恋心に気付くことになる。この告白はコナンに茶化され、少年探偵団は携帯電話の着信音にしていた。
「かまいたちの宿（前編/後編）」（第808～809話）では和葉が以前、平次が自分のことを子分だと思っているといったことがきっかけで、「俺の和葉」の意味が「俺の（子分の）和葉」という意味ではないかと考察していることが明らかになった。
平次が告白を決心したとも言えるのが、紅葉の執事である伊織の初登場回である「謎解きは喫茶ポアロで（前編/後篇）だ。そこでは、平次が告白に躊躇しているのを安室が見越して助言をするなど、物語が進んでいく。
恋愛は勝負事？
そして、平次は剣道大会で優勝して告白をすることを決心する。それが「恋と推理の剣道大会（前編/後編）」だ。そこで平次は、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』でも登場する五段突きの名手である沖田総司を倒して告白するというプランを立てる。
平次は何かとコナンと張り合う傾向が強く、その後の「紅の修学旅行（鮮紅編/恋紅編）」（第927～928話）では新一が蘭との関係性を進めていくことに焦り、「キッドVS高明 狙われた唇（前編/後編）での平次が怪盗キッドにキスしかけるという事態に陥るのである。
この頃の平次は和葉が絡むと推理が鈍るだけではなく、何か勝ち星をあげて告白しようと計画するようになる。「大岡紅葉の挑戦状（前編/後編）」（第1024～1025話）ではコナンに推理対決で勝って告白しようとした。
ロマンチックな場所選びと勝ち星に執着し、和葉に最高のシチュエーションで告白しようとする平次。そのシチュエーションづくりのために誰かとの勝負に勝とうとするのが、何ともティーンエイジャーらしいところだ。そして、その平次の執着は、映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』でも続くことになる。
『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』での告白
平次の告白の行方は…
映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』では、平次が剣道大会が行われる函館を舞台に和葉への告白を試みる。やはり平次は絶景ポイントを探しており、前述の通り蘭に「100万ドルの夜景」が見られるよう函館山頂展望台での告白を勧められている。平次は和葉に展望台で自分を待つように言い、蘭もこれをサポート。先に恋愛を成就させている蘭には余裕がうかがえる。
『100万ドルの五稜星』のラストでは、平次は（偶然ではあるが）パラシュートで和葉の前に登場。流石に蘭も驚きの声をあげている。ここで平次は恋敵の福城聖（ひじり）を抱えているが、和葉の意識が聖に行かないように、蘭は聖を気絶させて手当てを装い連れ去るファインプレーを見せている。蘭がここまでやる背景には、蘭と新一の恋の進展によって平次の告白のハードルが上がり続けていることへの罪悪感があるのかもしれない。
そして、ついに平次は和葉への告白の時を迎えるが、上空にいた大岡紅葉と伊織無我が乗る飛行機からスタングレネードが二人の足元に落ちてしまう。平次に恋心を寄せる紅葉は、『100万ドルの五稜星』ではなんとか平次が選ぶ告白スポットを見つけ出そうとしていたが、ここでは事故で偶然にも二人の告白シーンを邪魔することになっている。
和葉が平次を庇う形で倒れこみ、二人は難を逃れることに。そして平次は、人を好きになった動機を説明できないと言いながら、「それくらい好きでたまらんのや、和葉、お前のことが！」とついに和葉に告白する。和葉は涙を流してハッピーエンド……と思いきや、エンドロール後には和葉はスタングレネードの影響で目から涙が溢れ、一時的に耳が聞こえないようになっていたことが発覚する。この告白もなかったことになってしまったのだ。
思えば平次は、スタングレネードが炸裂したあと、和葉の「平次、無事でよかった」という言葉を聞いて安心し、和葉への告白に入ってしまっていた。和葉の無事を確認するという初歩的な気遣いを欠いてしまった背景には、やはり平次の「告白したい」という強い焦りがあったのだろう。
『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』のラストを迎えても、平次と和葉の関係には進展なし……。それでも、これで平次と和葉一回ずつお互いに告白したことになる。互いの気持ちを知る日もそう遠くはなさそうだが、平次を追いかける大岡紅葉の存在が今後も二人の間に立ちはだかることになりそうだ。引き続き、平次と和葉の恋路の行く末を見守っていきたい。
映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』は、2024年4月12日(金) より、全国の劇場で公開。
『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』のサントラは発売中。
ノベライズ版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』も発売中。
平次と和葉のNEWセレクションコミックも発売中。
『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』ラストのネタバレ解説＆感想はこちらから。
『100万ドルの五稜星』の展開を踏まえたコナンとキッドの関係についてのネタバレ解説＆考察はこちらの記事で。
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