『オビ=ワン・ケノービ』音楽はナタリー・ホルト 「スター・ウォーズ」実写シリーズ初の女性作曲家に | VG+ (バゴプラ)

『オビ=ワン・ケノービ』音楽はナタリー・ホルト 「スター・ウォーズ」実写シリーズ初の女性作曲家に

© 2021 N. Holt

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』音楽はナタリー・ホルト

2022年5月27日(金)からDisney+で配信を開始するドラマ『オビ=ワン・ケノービ』は、「スター・ウォーズ」シリーズ最新作にしてドラマシリーズでは初めて『エピソード6』以前を描く作品になる。

舞台は『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005) から10年後、ルーク・スカイウォーカーをタトゥイーンに匿ったオビ=ワン・ケノービと、ジェダイ狩りを続けるダース・ベイダーの姿が描かれる。オビ=ワン・ケノービを演じるユアン・マクレガーとアナキン・スカイウォーカー/ダース・ベイダーを演じるヘイデン・クリステンセンが17年ぶりの共演を果たす。

そんな重要な作品の音楽を手がけるのは、MCUドラマ『ロキ』(2021-) でも音楽を手掛けたナタリー・ホルト。ミステリアスでありながらゴージャスなムードを醸し出す『ロキ』のエンディングテーマが印象に残っているという方も多いだろう。

「スター・ウォーズ」の実写シリーズで女性が音楽を担当するのは、『オビ=ワン・ケノービ』のナタリー・ホルトが初めて。本作の監督を務めるデボラ・チョウもまた、ユニット監督やエピソード監督を除いて、シリーズ全体を指揮する初の女性監督だ。

ナタリー・ホルトは、デボラ・チョウ監督との共同作業について、米Vanity Fairで以下のように語っている。

デボラはロンドンまで会いに来てくれて、二日間かけて一緒に映像素材を視聴しました。その時点で完全には編集は終わっていなかったので、一緒に時間を過ごして、全てのキャラクターの旅路と何が起こるのかを話し合ったんです。まずは二日間、集中して入り込むことから始めました。

デボラは本当に素晴らしい仕事をしてくれましたよ。もちろん、ユアンも彼のキャリア通りのパフォーマンスを提供してくれています。皆さんに見ていただくのがとても楽しみです。

ナタリー・ホルトはイングランド出身の作曲家で、元はバイオリニストでもある。映画『ヘル・フロント 地獄の最前線』(2017) では、チェリストで後に『ジョーカー』(2019) でアカデミー賞作曲賞を受賞したヒドゥル・グドナドッティルと共同で音楽を担当している。『ロキ』でも弦楽器を効果的に使用したメロディを提供しており、『オビ=ワン・ケノービ』の音楽にも期待がかかる。

この点について、ナタリー・ホルトは今回も自身の演奏を取り入れていると話す。

実は、声も入れていますし、ビオラも弾いています。バイオリンも弾いてますよ。自分の楽譜で演奏してるんです。

また、『オビ=ワン・ケノービ』の音楽は、ルドウィグ・ゴランソンが手掛けた『マンダロリアン』(2019-) よりも、伝統的な「スター・ウォーズ」の色は残っているとも話している。一方で、管楽器は250種類のホルンとフルートを用い、オーケストラにシンセ音を取り入れた新しい要素も取り入れているという。

『オビ=ワン・ケノービ』の特徴は、ジェダイがほとんど滅びた後の暗黒の時代が舞台という点だ。特にダース・ベイダーは31歳前後と全盛期を迎えている。アニメシリーズからは大尋問官も登場。ここに尋問官の一人でライトセイバーを操る新キャラのレヴァも加わる。

ナタリー・ホルトは、ダークサイドを表現するのに適した楽器についてこう話している。

狩猟用ホルンですね。あの音は……聞いただけで何かが起こり、内臓をかき回されるようです。だから印象に残るんですね。パーカッショニストのブライアン・キルゴアと作業をしたんですが、彼は信じられないような珍しい楽器をもっていました。嫌な感じだけどテンポの良い音楽になっていて、それは私たちが遊び心とともに作ったものです。

“卵投げ”で注目の的に

ナタリー・ホルトは、2013年にイギリスの有名番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』で人気音楽プロデューサーに生卵を投げつけた事件でも知られる。ビオラ奏者として同番組で演奏を務めていたホルトは、一回だけの演奏で音楽家を消費するオーディション番組への抗議としてこの行動を起こした。

この事件で音楽家が長期的に才能を発揮できる機会を求めたナタリー・ホルトは、それから8年後の2021年に“悪戯の神様”を主人公に据えたドラマ『ロキ』で音楽を手掛けた。そして、「スター・ウォーズ」実写シリーズ初の女性作曲家としてドラマ『オビ=ワン・ケノービ』の音楽を務めることになったのだ。

先の事件の経緯とナタリー・ホルトの経歴は、こちらの記事で詳しく紹介している。

ジョン・ウィリアムズはテーマのみ作曲

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) から「スカイウォーカー・サーガ」の音楽を担当してきたジョン・ウィリアムズは、『オビ=ワン・ケノービ』ではテーマ曲のみを手がける。

実は「スター・ウォーズ」シリーズのメインキャラクターでは、これまでオビ=ワン・ケノービだけがテーマ曲を持っていなかった。ジョン・ウィリアムズがオビ=ワン・ケノービのために作った曲はフォースのテーマに変更され、オビ=ワンは旧三部作では早いタイミングで退場してしまうため、そのままテーマ曲が作られなかったのだ。

一方で、ジョン・ウィリアムズは『オビ=ワン・ケノービ』配信時点で90歳を迎える。Disney+配信の「スター・ウォーズ」実写シリーズでは、『マンダロリアン』(2019-) と『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021) の音楽を『ブラックパンサー』(2018) で知られる若手作曲家のルドウィグ・ゴランソンが手掛けた。

音楽の面でも世代交代が進む「スター・ウォーズ」シリーズ。ナタリー・ホルトは『オビ=ワン・ケノービ』でどんな音楽を奏でているのだろうか。

全6話で構成されるドラマ『オビ=ワン・ケノービ』は、2022年5月27日(金) に第1話と第2話をDisney+で独占配信。

Disney+

Source
Vanity Fair

「スター・ウォーズ」のアニメシリーズで音楽を手掛けてきたケビン・カイナーは、全編オーケストラ使用の許可が出た“特別なアニメシリーズ”の制作が進んでいると話している。詳しくはこちらから。

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』監督が語ったダース・ベイダー復活の理由はこちらから。

ルーカス・スタジオのトップが語ったダース・ベイダー復活の難しさについてはこちらから。

『オビ=ワン・ケノービ』のダース・ベイダーは「強力なベイダー」になるとヘイデン・クリステンセンは語っている

『オビ=ワン・ケノービ』予告の解説と考察はこちらから。

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