『ザ・バットマン』の世界観は
2022年3月11日(金)より日本で劇場公開を開始する映画『THE BATMAN -ザ・バットマン-』は、「クローバーフィールド」「猿の惑星」シリーズで知られるマット・リーヴス監督が手掛けたDC映画最新作。DCが展開するDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)には属さず、マット・リーヴス監督の世界観を突き詰めた独自の作品となっている。
描き直されるバットマンやキャットウーマン、ペンギンにリドラーというお馴染みのキャラクターに加え、注目したいのはその世界観だ。ティム・バートン監督版やクリストファー・ノーラン監督版、ザック・スナイダー監督版など、それぞれの監督によって異なる色の世界が構築されてきたが、マット・リーヴス監督は『ザ・バットマン』でどのようなゴッサムを作り出したのだろうか。
バットモービルに注目
その特徴が端的に現れているのが、バットマンが乗るバットモービルのデザインだ。ティム・バートン監督版のバットモービルは“羽”の生えた外連味のあるデザインだった。クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト」シリーズでは、ウェイン産業がブルース不在の間に軍需産業に注力していたという設定をベースにしてバットモービルを特殊装甲車に仕立て上げた。
しかし、今回の『ザ・バットマン』のバットモービルは一味違う。今回は1960年代〜1970年代のいわゆる“マッスルカー”のようなデザインで、一眼ではこれがバットモービルなのかどうか判別がつかない。一方で背後からバットモービルを映したシーンでは、赤いライトと尖ったボディがさりげなくバットモービルらしさを演出していることも分かる。
Vengeance equals justice for both the Bat and the Cat. Watch the new trailer for The Batman now. Only in theaters March 4. #TheBatman pic.twitter.com/2WOHg74jbP
— The Batman (@TheBatman) December 27, 2021
『ザ・バットマン』でバットモービルをこのようなデザインにしたことには、どのような意図があるのだろうか。
「戦車ではなかった」
米Varietyでは、マット・リーヴス監督が『ザ・バットマン』の世界観について「自分たちの近くのどこかにあるような世界にしたかった」と語っている。確かにマット・リーヴス監督は、映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008) で等身大の人間の視点で怪獣映画を撮ったし、『猿の惑星:新世紀』(2014) では今現在の現実から猿たちが進化していく物語を描き出した。
優れたSF映画監督でありながら、現実主義のマット・リーヴス監督だからこそ、今回の『ザ・バットマン』ではバットモービルはこれまでのようなデザインにはならなかった。Varietyによると、マット・リーヴス監督は『ザ・バットマン』のプロダクション・デザイナーを務めたジェームズ・チンランドと何度も話し合い、バットモービルを普通の車のようなデザインにすることを決めたという。
マット・リーヴス監督は、少なくとも「戦車や特殊な武器ではなかった」と、クリスファー・ノーラン監督版のバットモービルを念頭に置いたような発言もしている。「バットマン 2年目」という本作のブルース・ウェインの設定を踏まえ、「ジェームズ・ボンドではなく、異質なヴィジランテ」としてバットマンを描くためには、“ウェイン産業の兵器”ではなく、“自分で作り上げた車”を用意する必要があったのだという。
ジェームズ・チンランドは、マット・リーヴス監督の「容赦無く、使命に燃えている」という言葉を土台にしてこのバットモービルを作り上げていった。チンランドは以下のようにも語っている。
この車におけるあらゆるデザインのチョイスは、機能上の要請から生まれたものです。(パンパーの強化部分は)どんな障害物があっても突き進めるものである必要があったからです。
ジェームズ・チンランドは「ブルースはこの街の人間であり、街の一部」と、これまで郊外の基地から“出動”していたバットマンとは異なる存在であることも強調している。マット・リーヴス監督とジェームズ・チンランドが作り上げた、無骨で、徹底して現実的なバットマン/ブルース・ウェイン、そしてゴッサムの街。劇場でその全容を確かめていただきたい。
映画『THE BATMAN -ザ・バットマン-』は2022年3月11日(金)より日本全国で劇場公開。
Source
Variety
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