続編構想『シン・仮面ライダー』は石ノ森章太郎の漫画原作に回帰? ネタバレ解説&考察 | VG+ (バゴプラ)

続編構想『シン・仮面ライダー』は石ノ森章太郎の漫画原作に回帰? ネタバレ解説&考察

©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

波紋広がる『シン・仮面ライダー』

『ドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション 挑戦の舞台裏~』がNHKで放送され、その内容にファンの中に波紋が広がる中、2023年4月14日にはMX4Dの公開も控えている『シン・仮面ライダー』。その中で2023年4月9日には大ヒット御礼舞台挨拶&全国同時生中継が実施された。

舞台挨拶には主演の仮面ライダー/本郷猛役の池松壮亮氏、緑川ルリ子役の浜辺美波氏、一文字隼人/仮面ライダー第2号役の柄本佑氏に加えて緑川イチロー/チョウオーグ/仮面ライダー第0号役の森山未來氏、そして庵野秀明監督が登壇した。和やかな雰囲気の中、庵野秀明監督の口から衝撃的なことが発表された。本記事はその内容について解説と考察していこうと思う。

なお、本記事には『シン・仮面ライダー』のネタバレが含まれるため、本編視聴後に読んでいただけると幸福である。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『シン・仮面ライダー』の内容に関するネタバレを含みます。

『シン・ジャパン・ヒーロー・ユニバース』の明日

庵野秀明監督の考える展望

庵野秀明監督がゲストスピーカーではなく、メインMCとして登壇するという衝撃的な幕開けとなった舞台挨拶。舞台挨拶には明確な段取りはなく、庵野秀明監督と池松壮亮氏、浜辺美波氏、柄本佑氏、森山未來氏の5名で互いに質問をし合うという形で始まった。

そこでは池松壮亮氏に対して森山未來氏が「まだ追撮している?」と冗談めいた質問をし、それに「配信用に撮影している」と本気か冗談かわからないような返答を、笑みをこぼしながら池松壮亮氏が返すなど和やかな雰囲気で始まった。

ライダースーツは汗をかくが皮膚呼吸ができない上にすぐ冷えるので動きに難い、スーツのミリ単位の調整は庵野秀明監督らが50年前に抱いた印象をもとにしている、最初の池松壮亮氏が仮面ライダーとしてアップされる場面が一番撮り直しをしたなど撮影の裏話で盛り上がる中、森山未來氏から庵野秀明監督に「シン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースの今後の展望について」というファンなら誰もが聞きたかった質問がぶつけられた。

庵野秀明監督の返答は現在すべての企画が白紙であるというものだった。『シン・ウルトラマン』(2022)のデザインワークスの中では『シン・ウルトラセブン』や『続ウルトラマン』の企画を考えていると書いていたものの、『シン・ゴジラ』(2016)、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)、そして『シン・ウルトラマン』と4作品も続けて企画や脚本、監督を行っていたため、かなり疲れてしまったのとことだった。

しかし、それに続けて「構想はある」と語り、あとは東映次第とも語ったのだ。そして、なんと『シン・仮面ライダー』の続編タイトルとそのストーリーについても細かく語りはじめた。

シン・仮面ライダーの世界

『シン・仮面ライダー』の続編タイトルは『仮面の世界(マスカーワールド)』で、これは石ノ森章太郎氏が描いた原作とも言うべきメディアミックス作品の漫画版『仮面ライダー』(1971)の最終章と同じタイトルだ。庵野秀明監督は『シン・ウルトラマン』の際にも語っていたが、『シン・仮面ライダー』も続編制作できるように撮影しているとのことだ。庵野秀明監督の考えている構想とストーリーは要約すると以下のようなものだった。

『シン・仮面ライダー』の終盤では、柄本佑氏演じる一文字隼人/仮面ライダー第2号がコブラオーグの出現を斎藤工氏演じる情報機関の男・滝と竹野内豊氏演じる政府の男・立花から知らされた。一文字隼人は池松壮亮氏演じる本郷猛と浜辺美波氏演じる緑川ルリ子の遺志を継ぎ、「人類の味方、そしてショッカーの敵」として仮面ライダーを名乗りながら戦い続けていた。

しかし、SHOCKERこと「Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling(計算機知識を組み込んだ再造形による持続可能な幸福組織)」の根幹であるクローズドのAI「アイ」を模したAI「ブレイン」を日本政府と政治家が生み出し、「ブレイン」を悪用する。オーグメンテーション(改造手術)前からジャーナリストとして悪と戦ってきた一文字隼人は仮面ライダーとしても「ブレイン」と戦うことになるが、情報機関の男・滝と政府の男・立花は政府と仮面ライダーのどちらの側につくのか――

庵野秀明監督は「漫画版を読んでいる方ならピンとくる」と語ったが、ショッカーに日ノ下電子ともに操られて国民を番号で管理する計画を流用されてしまう石ノ森章太郎氏の1971年の漫画版の日本政府と異なり、『シン・仮面ライダー』の続編構想では日本政府がSHOCKER以上に中心になって国民を支配しようとしているという、より現代の社会問題に踏み込んだ内容になっている。それを考えると漫画版で登場した「10月計画」(オクトーバー・プロジェクト)に関わっていた大幹部のビッグマシンの登場が有力視されるだろう。また、政府のAI「ブレイン」の元ネタは『大鉄人17』(1977)に登場した佐原博士率いる科学者チームが天変地異や災害の予測など平和利用のために作り上げた世界最大の人工知能システム「ブレイン」とハスラー教授がそれを悪用した「ブレイン党」だろう。

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ネタバレ注意
以下の内容は、石ノ森章太郎の漫画『仮面ライダー』の内容に関するネタバレを含みます。

シン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースにおける悪とは何か

現実味を帯びるSHOCKERの計画

漫画版では「政府が国民を番号で管理するという政策を推し進める中でショッカーが日ノ下電子という企業を操り、10倍性能の電化製品を10分の1の価格で国民に売り込む。そして、そこから怪電波を放ち、支配下に置く」というのがビッグマシンらショッカーの企てていた「10月計画」(オクトーバー・プロジェクト)の全貌だった。

しかし、現代社会ではそのような怪電波は必要ないように思える。事実、世界規模でフェイク・ニュースによる問題や、それによる社会の分断が問題視されている昨今。日本政府がSHOCKERのAI「アイ」よりも優秀なAI「ブレイン」を創り上げ、「10月計画」(オクトーバー・プロジェクト)を行うとすれば間違いなくその状況を利用するだろう。そして、仮面ライダーとしての一文字隼人ではなく、ジャーナリストとしての一文字隼人が必要とされることが予想できる。

「政府を賛美している」と言われることもあるシン・ジャパン・ヒーロー・ユニバース。だが『シン・ゴジラ』では日本政府の判断の遅れが大規模な被害を招き、最終的にゴジラを倒したのは政府内でも鼻つまみ者や異端児で構成された巨災対と官民一体となって行われたヤシオリ計画だった。

『シン・ウルトラマン』でも日本政府は禍威獣に対する核使用の条約をあっさりと批准し、他国と有利に立ち回るために外星人と奴隷契約に近い条約を結んでしまっている。それを防いだのは永田町の独立愚連隊を自称するような禍特対とウルトラマンであり、日本政府は天体制圧用最終兵器ゼットンによる終末が迫る中でも他国の顔色をうかがってウルトラマンという一個人を国連の管理下に置こうとしていた。

それらを踏まえると巨災対、禍特対、そしてそれらに続く斎藤工氏演じる情報機関の男・滝や竹野内豊氏演じる政府の男・立花の役回りは、庵野秀明監督の「政治家や日本政府にも希望があると信じたい」という願いが込められているのではないだろうか。だとすれば、『シン・仮面ライダー』の続編では、情報機関の男・滝と政府の男・立花は市民を守るか権力に従うかという選択肢の間で悩むことになる。選択肢があることこそ幸福ではないかというのは『シン・仮面ライダー』の中でも語られたテーマの一つだ。

再生怪人の登場

庵野秀明監督は舞台挨拶の中で森山未來氏、浜辺美波氏、池松壮亮氏、柄本佑氏を見ながら「予算の都合もあるし、再生怪人も出そうかな」と笑いながら語っていた。「仮面ライダー」シリーズにおける再生怪人といえば雑兵扱いで弱体化し、人格も描かれずに群れとなって登場することが殆どだ。その意味では「10月計画」(オクトーバー・プロジェクト)で操られ、本来のSHOCKERの理念である“個人の幸福を失った存在”として登場させるのも丁度良いのかもしれない。

しかし、漫画版『仮面ライダー』の「仮面の世界」(マスカーワールド)において、再生怪人は重要な意味を持つ。それは一度死亡した本郷猛の復活だ。石ノ森章太郎氏の描いた漫画版『仮面ライダー』では本郷猛から一文字隼人への交代劇として本郷猛はショッカーライダーの攻撃で脳だけとなり、一文字隼人は本郷猛の脳と繋がりながら仮面ライダーとして戦う。これは脳ではなく心をプラーナとして仮面に固定させたという違いはあるが『シン・仮面ライダー』のラストシーンと同じだ。

漫画版『仮面ライダー』では「10月計画」(オクトーバー・プロジェクト)を止めるべくビッグマシンと最後の戦いを繰り広げる一文字隼人/仮面ライダー2号のもとに飛行機能の付いた機械の体に脳を移植した形で本郷猛/仮面ライダーが登場し、前線に復帰。最後は本郷猛が「日本政府のせめてもの良心」と評した自爆装置が発動し、ビッグマシンと共にすべては瓦礫の下に埋もれていった。

この舞台挨拶で庵野秀明監督が「再生怪人も出そうかな」と言いながらキャスト陣全員を見たのは、池松壮亮氏演じる本郷猛/仮面ライダーの復活を示唆していたのではないだろうか。『シン・仮面ライダー』のラストでは本郷猛の心は仮面/マスクに固定されており、柄本佑氏演じる一文字隼人/仮面ライダー第2号と共にSHOCKERと戦うとシンサイクロン号に乗りながら語っている。

更には浜辺美波氏演じる緑川ルリ子の心も安全なところに保管されており、なおかつ緑川ルリ子の口からSHOCKERは人工子宮などのクローン技術を有していることも明かされている。これらのことから、本郷猛と緑川ルリ子の心がプラーナによって固定されている二人が次回作『仮面の世界(マスカーワールド)』で復活する可能性があり得るのだ。

もしかすれば、漫画版『仮面ライダー』で本郷猛が「日本政府のせめてもの良心」と語った存在として登場するのが斎藤工氏演じる情報機関の男・滝と竹野内豊氏演じる政府の男・立花の二人になってくるのかもしれない。そういった含みを持たせた舞台挨拶だったと言える。

次回作の公開はいつになるのか

『シン・ゴジラ』(2016)の時点から複数の企画が動き出し、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、『シン・ウルトラマン』とほぼ同時期に動いていた『シン・仮面ライダー』。そこに『シン・仮面ライダー』のスピンオフ漫画である漫画脚本:山田胡瓜氏、作画:藤村緋二氏の『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』(2023-)など多媒体での展開も相まって多忙を極めたシン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースでの庵野秀明監督。

それによる疲弊もあってか、本人は今のところ企画はすべて白紙と語っている。波紋を呼んだドキュメンタリーでのアクション部門との衝突などもあったことから一度前線から身を引き、監督業は樋口真嗣監督など信頼のおける監督に任せ、『シン・ウルトラマン』の際の総監修のような立場があっているのかもしれない。MCUにおけるケヴィン・ファイギ氏のような立場に落ち着くのも良いかもしれない。

ここから庵野秀明監督らスタジオカラーや東映、東宝、円谷がシン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースをどのように動かしていくのかはわからないが、今回の舞台挨拶で語った『仮面の世界(マスカーワールド)』の実写映像化には是非とも期待したい。

映画『シン・仮面ライダー』は2023年7月21日(金)よりAmazon Primeにて独占配信開始。

『シン・仮面ライダー』公式サイト

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『シン・仮面ライダー』の本郷猛と緑川イチローの対比はこちらの記事で。

『シン・仮面ライダー』の一文字隼人のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

発表済みキャストとキャラクターについてはこちらの記事で。

3月23日に追加発表されたキャストと全オーグメント解説についてはこちらの記事で。

『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』ネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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