ネタバレ考察『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』解説&感想 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』解説&感想

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第1巻発売と共にこれまでの流れを振り返り!

2023年3月17日に一部映画館を除く全国で最速公開がされ、2023年7月21日はAmazon Primeで独占配信される『シン・仮面ライダー』(2023)。庵野秀明監督に密着したNHKのドキュメンタリー『さようなら全てのエヴァンゲリオン~庵野秀明の1214日~』の中でも語られていたように、庵野秀明監督は現代では情報をより多く公開された方が喜ばれることに言及している。それもあってか、『シン・仮面ライダー』は公式アプリや特撮ファンを公言する人気声優の鈴村健一氏と神谷浩史氏がMCを務める公式ラジオ『SHOCKER RADIO-BE HAPPY-』の配信など、多くの情報を公開している。

その中でも、特に注目を集めているのがスピンオフ漫画である前日譚『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』(2023, 漫画脚本:山田胡瓜, 作画:藤村緋二)だろう。『シン・仮面ライダー』本編で森山未來氏が演じる緑川イチローを主人公とし、ショッカーの内部などについて細かく描いている『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』。第1巻発売と『シン・仮面ライダー』公開を目の前に振り返りと考察、解説をしていきたい。

なお、本記事は『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』のネタバレを含むので、本編読了後に読んでいただけるとより一層楽しめると思われる。

ブラッシュアップ&アップデートされた世界観

現代社会に台頭する「SHOCKER」

日本で一番有名な悪の組織といっても過言ではない秘密結社ショッカー。その現代版として登場する組織がSHOCKERだ。テレビシリーズ『仮面ライダー』(1971-1973)では人体実験を繰り返して世界征服を企むナチスの残党組織として描かれ、庵野秀明監督も度々言及している初代『仮面ライダー』のリメイク映画『仮面ライダー THE FIRST』と『仮面ライダー THE NEXT』では「Sacred Hegemony Of Cycle Kindred Evolutional Realm(同種の血統による全体の、神聖なる支配権)」の略称とされていた。

それに対して庵野秀明監督作品『シン・仮面ライダー』におけるショッカーは「Sustainable Hapiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling(持続可能な幸福を目指す愛の秘密結社)」の略称となっており、ナチスの残党組織としての血統にこだわる要素が意図的に抜かれているように思える。

しかし、『仮面ライダー THE FIRST』と『仮面ライダー THE NEXT』、『シン・仮面ライダー』のリメイク作品たちのショッカー像には「改造手術を受けられることは幸福。改造手術によってより優れた人種にしてあげる」という思想が存在している点は共通している。

ナチスはアーリア人の血統による支配にこだわり、純血性の保持のためにレーベンスボルン計画というアーリア人増殖のための収容所をつくるなどしていた。ナチスには「健常者のアーリア人かつシスジェンダー(体の性別と自分の性認識が一致していること)で、ヘテロセクシャル(異性を愛し、異性に性的欲求を持つ性的指向)であることが幸福」という考えがあったと言える。これは今でも散見される意見だ。

それを現代的にアレンジしらのが、「オーグメンテーション(改造手術)であなたを最適化し、幸福にしてあげる」というねじ曲がった幸福の押し付けであり、それを体現しているのが『シン・仮面ライダー』のショッカーなのだろう。しかし、これは危険な考えであり、ナチス政権下のドイツではこれに似た思想の下でユダヤ人だけではなく、障がい者やLGBTQ+の人々も“幸福になるための最適化”の対象となり、被害にあっている。

『仮面ライダー』のナレーションといえば「仮面ライダー本郷猛は改造人間である。彼を改造したショッカーは世界制覇を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは人間の自由のためにショッカーと戦うのだ」というのが有名だ。

『シン・仮面ライダー』ではそのナレーションは「Kamen Rider Takeshi Hongo is an augmented human being. He was upgraded by SHOCKER, an all-loving secret society that pursues happiness for humanity. Kamen Rider has pledged to fight against SHOCER to ensure human stay human. (筆者訳:仮面ライダー本郷猛は改造人間である。彼を改造したショッカーは人類の幸福を追求する秘密結社である。仮面ライダーは人間が人間であり続けるために戦うのだ)」へと変更されている。

漫画『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』に登場するショッカーの構成員たちは世界に絶望し、幸福な世界を夢見た結果、「〇〇であれば幸福」という一つの型に他者を押し込めてしまっている。仮面ライダーたちはそれに対して、自由な幸福の形、そしてオーグメンテーション(改造手術)を強制されない人間の多様性を守るために戦っているように考察できる。

首領なきショッカー

昭和の「仮面ライダー」シリーズのショッカー及びその系譜の組織では、首領が壁に掛けられたエンブレムから怪人や幹部に指示を下すなど、明確な黒幕の存在が描かれてきた。それに対して、『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』では既にショッカー創設者は死亡しており、組織に明確なリーダーがいないことが明言されている。

それによって組織内はショッカーのフロント企業「ファウスト」を中心に軍事産業や人身売買で利益を上げようとする旧体制派と、世界に絶望したことでショッカー創設の理念に心酔している絶望派の二つに分断されている。

主人公の緑川イチローと仮面ライダーを生み出した科学者であり、『シン・仮面ライダー』本編で塚本晋也監督が演じる緑川弘博士はこの絶望派に属している。他にもクモ/クモオーグやサソリといった『仮面ライダー』にも登場した怪人のリメイク・キャラクターたちの多くは絶望派に属しており、彼らが組織の中核にいることによってショッカーをカルト教団のようなものにしている。

緑川イチローは母親の死などで世界に絶望し、旧体制派の攻撃による大怪我の治療のためのオーグメンテーションで超人的な力を手に入れると絶望派に参加しはじめる。『シン・仮面ライダー』に登場することが決定しているクモオーグは愛する人を救えず、その愛した“彼”を裏切った罰として自分の顔を溶かしている。サソリはマゾヒズムを持った女性として描かれるなど、絶望派のメンバーは自罰的な精神の持ち主が多いのが特徴だ。

残された謎

「アイ」とは何者か

『シン・仮面ライダー』のショッカーに首領はいないと書いたが、『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』ではショッカーという組織の方向性を決定するアイという存在が旧体制派のクラークという人物から明言されている。アイに接触するためには8つの鍵が必要であり、その鍵の中には緑川弘博士や綾小路などが含まれている。また「しつけが必要」と称されるなど非人間的な存在として扱われているのが特徴だ。

アイはその名前から、「AI」を想起させ、漫画版『仮面ライダー』の最終章「仮面の章」に登場したビッグマシンと「10月計画(オクトーバープロジェクト)」も連想させる。「10月計画(オクトーバープロジェクト)」はショッカーの系列企業であり、日本政府にパイプを持つ日ノ下電機を利用し、国民に通常の10分の1の価格で10倍の性能を持つ電子機器を販売し、そこから発する命令電波で洗脳するという計画だ。

この計画の恐ろしいところは「10月計画(オクトーバープロジェクト)」の原型はショッカーではなく、日本政府の国民を番号で管理するという計画で、ショッカーはそれを洗脳計画へ流用しただけという点だ。漫画版『仮面ライダー』ではビッグマシンを仮面ライダーが倒し、本郷猛が「日本政府のせめても良心」と評した自爆装置で電子頭脳を破壊するも国会では無意味な討論が続くという「ショッカーを倒しても平和は訪れるのか」という問いを残している。

庵野秀明監督がシン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースで単純な善悪で分けられないものや、明確な黒幕のいない戦いを描くなどしていることを考えると、アイというAIの下で持続可能な幸福を目指す愛の秘密結社を運営しており、アイによって緑川イチローに本郷猛や一文字隼人、緑川ルリ子たちの考える正義が揺らぐ展開の可能性もあり得る。

プラーナとは何か

緑川弘博士の研究しているもので、これを用いれば今までとは異なる機序で生命を守れると称されているのがプラーナだ。緑川イチローには大怪我の負った際に蘇生のために大量に注入され、プラーナ注入以降は顔に漫画版『仮面ライダー』の本郷猛のようなあざが浮かび上がり、超人的な身体能力を得ている。

プラーナとは原義ではサンスクリットで呼吸、息吹、気息を意味し、インド哲学では風の元素も意味している。更には人体を構成する要素であり、生命力そのものとされている。テレビシリーズ『仮面ライダー』でベルトに当たる風によってファンを回し、風力エネルギーで変身していた仮面ライダーにプラーナという単語が用いられている興味深い。

その一方でサソリからプラーナには大きな犠牲が支払われていると指摘されているものでもある。それを裏付けるように池松壮亮氏が演じる本郷猛/仮面ライダーの変身ベルトの正式名称は「タイフーン プラーナ強制排出補助機構付初期型」とされ、柄本佑氏演じる一文字隼人/仮面ライダー第2号の変身ベルトの正式名称は「タイフーン 開閉式安全装置付初期改良型」となるなど、プラーナを危険視するような安全装置が存在している。

シン・仮面ライダー 玩具特集 | バンダイ公式サイト

そういった安全装置としての変身ベルトを着けず、大量のプラーナを注入されてしまった緑川イチロー。他にもイワン博士は緑川弘博士にオーグメンテーションによる精神破綻を防ぐための技術について語り、クモをクモオーグへと強化する際にはクモオーグが暴れる姿を見て「駄目だな」と評価するなど、精神面にも悪影響を及ぼす可能性が考察できるプラーナ。プラーナの大量注入と予告映像で森山未來氏が演じる緑川イチローが虚ろな目で多数のチューブやケーブルに繋がれていることに何か関係はあるのだろうか。

緑川ルリ子は何者か

浜辺美波氏が演じることが発表されている主人公の一人の緑川ルリ子。『シン・仮面ライダー』における主人公の一人である緑川ルリ子なのだが、『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』を読み進めていくと謎が深まってくるキャラクターである。

『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』では緑川一家は三人家族として描かれ、緑川ルリ子が一切登場しないまま母親の緑川硝子は通り魔によって殺害されてしまうのである。父親の緑川弘博士が別の女性と子供をもうけたとすれば緑川ルリ子の存在も納得できるが、緑川弘博士は妻の死後に研究に没頭し、研究以外がおろそかになり、女性と関係を持つ状態とは思えない。更に息子に対してプラーナを躊躇なく使用するなど、今残された家族を喪うことのみ恐れるマッドサイエンティストとなっている。

そのため『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』を読んでから予告映像を見ると、浜辺美波氏演じる緑川ルリ子は降ってわいてきた存在のように思えてしまうのだ。そこに緑川弘博士がプラーナという生命の神秘に迫る新技術の研究をしていることを考えると、緑川ルリ子というキャラクターがその出自も含めてより興味深い存在になってくる。

『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』に登場するリメイク・キャラクターたち

最後にスピンオフ漫画『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』の主要人物と、そのリメイク元につて解説と考察していきたいと思う。『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』ではテレビシリーズ『仮面ライダー』だけではなく、他の石ノ森章太郎原作作品のリメイク・キャラクターが多いため、それについても解説し、リメイク・キャラクターとしての登場理由についても考察したいと思う。

緑川イチロー/十字仮面(クロスファイアー)

『シン・仮面ライダー』で森山未來氏が演じ、『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』で主人公を務める緑川イチローはおそらく十字仮面(クロスファイアー)のリメイク・キャラクターだと考えられる。十字仮面はファイヤー十字(クロス)、十字仮面、クロス火面などの仮題のあった仮面ライダーの前身のキャラクターである。

十字仮面(クロスファイアー)はその後、スカルマンという別キャラクター案へと変わり、そして仮面ライダーが誕生した。『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』の冒頭ではクモオーグや緑川弘博士を前にショッカーの基地を破壊する十字仮面(クロスファイアー)の姿をした緑川イチローが描かれている。

そのような緑川イチローがなぜ『シン・仮面ライダー』の予告映像で白い和装で身を包み、ケーブルなどを繋がれて虚ろな目で立つような姿になったのか。『シン・仮面ライダー』への期待が高まる。

 

緑川弘博士

テレビシリーズ『仮面ライダー』では本郷猛の恩師であり、彼が脳改造される前に秘密基地からの逃亡させたことで命を落とした緑川弘博士。『シン・仮面ライダー』では塚本晋也監督が演じることが発表されているが、『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』では妻の死に絶望し、ショッカーの理念に心酔するようになったマッドサイエンティストとして描かれている。

『仮面ライダー』では蜘蛛男によって殺害された緑川弘博士だったが、『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』の冒頭などではクモオーグによって窮地から救い出されている様子が描かれている。ショッカーに拉致されて、娘である緑川ルリ子の命と引き換えに改造手術に加担していた緑川弘博士だったが、『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』では大怪我を負った息子を救うためとはいえ、未完成のオーグメンテーション(改造手術)を行うなど全てが正反対となっているように思える。

クモオーグ/蜘蛛男

クモと呼ばれているクモオーグはその名通り『仮面ライダー』に最初に登場した怪人の蜘蛛男のリメイク・キャラクターだ。彼は人間と蜘蛛の合成オーグメントで、ガスマスクを想起させる仮面に蜘蛛の脚を模した八本のドレッドヘアに似たパーツがついているのが特徴的だ。仮面には蜘蛛男の目と蜘蛛の巣をイメージした六角形の塗装が施され、赤と黒のタズル模様のレザースーツを着ている。

『シン・仮面ライダー』予告映像では派手なアクションに加えて、HIP-HOP的なファッションが目を引くクモオーグ。しかし『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』では紳士的な振る舞いで、森の中で小鳥に餌をあげることが趣味の温厚な人物として描写される。そして緑川イチローからもその温和な性格から慕われている。

クモオーグは大怪我を負ったことで後述のイワン博士によって本格的なオーグメンテーション(改造手術)を受け、その際に「SHOCKER初の『人外合成型オーグメント』の第1号」と名乗っている。今後のクモオーグの性格の変化、そしてクモオーグが受けたオーグメンテーション(改造手術)が『シン・仮面ライダー』にどのような影響を及ぼすのか注目だ。

サソリ/蠍男

テレビシリーズ『仮面ライダー』で本郷猛のライバルのオートレーサーだった早瀬五郎/蠍男は、サソリという官能的な女性にリメイクされている。その性格はマゾヒズムとサディズムを兼ね備えており、自分への罰として自らの顔を溶かしたクモオーグとは互いに変態と呼び合う間柄だ。

現時点では本郷猛との関係性は不明だが、テレビシリーズのことを踏まえると何らかの関係性が存在してもおかしくない。現時点ではサソリオーグとしての姿も登場しておらず、親に裏切られる辛さを匂わせるものの、絶望派に属する理由がはっきりしない謎多い女性だ。『シン・仮面ライダー』の予告映像にもわずかに彼女らしき登場したので、本編での活躍に期待したい。

イワン博士/死神博士

緑川弘博士をショッカーに勧誘し、旧体制派と対立する人物として描かれるイワン博士はその容姿と死神というあだ名から、テレビシリーズ『仮面ライダー』に登場する天本英世氏演じるショッカーの大幹部の死神博士/イカデビルことイワン・タワノビッチのリメイク・キャラクターだろう。

イワン博士は旧体制派の基地に特殊装備を与えたクモやサソリを差し向けるなど、絶望派の中心人物として描かれている。更には旧体制派から真っ先に対処すべき存在とされるなど、ショッカー内部での重要度も高い。

イワン博士は『シン・仮面ライダー』に登場するのかどうか。リメイク元となった天本英世氏演じる死神博士は庵野秀明監督が『仮面ライダー』のリメイクとして高く評価し、言及している『仮面ライダー THE FIRST』と『仮面ライダー THE NEXT』にもライブラリー出演している。平成の「仮面ライダー」シリーズにもリメイク・キャラクターとして出演するなど人気のキャラクターであるため、今後の展開に注視していきたい。

綾小路/綾小路律子

旧体制派が重要人物として接触を試みているのが綾小路は現時点で名前しか出ておらず、絶望派側にいることだけが明らかになっている。おそらく綾小路になったモデルになったのは『仮面ライダー』第10話「よみがえるコブラ男」で仮面ライダーに敗北したコブラ男を復元し、コブラ男(改造)として差し向けた綾小路律子だろう。

綾小路律子は第10話に登場した綾小路生物研究所の所長でショッカーの幹部で、コブラ男の火炎で顔を半分に焼かれると怒りでコブラ男を折檻するなど、その服装も含めて典型的なマッドサイエンティストとなっている。顔の半分を火傷したという点から、もしかすれば予告映像の半分だけ仮面をつけた女性はサソリではなく『シン・仮面ライダー』の綾小路かもしれない。

しかし、『仮面ライダー』ではすぐに首領から用済みを宣告され、コブラ男によって灰にされてしまった綾小路律子。そのような不穏な末路を迎えたかキャラクターのリメイクであるため、既に不穏な雰囲気が漂っている。

外世界観測用自立型人工知能ケイ/『ロボット刑事』K

ショッカー内部で執事のようなことをしつつ、組織内で重要なポジションについているロボットの外世界観測用自立型人工知能ケイは容姿から『ロボット刑事』(1973)に登場する犯罪捜査用ロボットKのリメイク・キャラクターであることは明らかだ。

『ロボット刑事』に登場するKは通常時は通常は黄色いハンチング帽に赤いダブルのブレザー姿だが、戦闘時にはそれを脱ぎ捨てることで戦う。『ロボット刑事』のデザインは公式ラジオ『SHOCKER RADIO-BE HAPPY-』でも言及されている。

デザイナーの出渕裕氏はラジオの中で、庵野秀明監督との話し合いの中で変身時に仮面を被るのならば、ライダースーツだけがどこからともなく現れるわけはずがないという話になったことを語っている。それが『シン・仮面ライダー』の仮面ライダーたちにも反映され、『ロボット刑事』のように本郷猛と一文字隼人は本当の姿のライダースーツを隠すためにロングコートを着ているデザインになった。

また「改造人間=サイボーグ」というイメージの強かった『仮面ライダー』に対し、『シン・仮面ライダー』のオーグメンテーション(改造手術)は脳と繋がる技術やプラーナという生命の神秘に迫る技術を用いている。これらのことから、ケイは生物的な人外合成型オーグメント(改造人間)と対になる存在としてデザインされていることがわかる。

迫る公開日

公式アプリに公式ラジオ『SHOCKER RADIO-BE HAPPY-』、そしてスピンオフ漫画『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』と様々な形で新情報が公開されている『シン・仮面ライダー』。すべての答えが『シン・仮面ライダー』の中で明かさられるのだろうか。それとも『シン・ウルトラマン』の「デザイン・ワークス」の中で庵野秀明監督が『シン・ウルトラマン』続編計画を語っていたように、今後のシン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースの続編で明らかになるのだろうか。

これらすべての真相を劇場でぜひ確かめたい。また、これまで発表されているキャストの情報に関してはこちらの記事から確認していただければ幸福である。

山田胡瓜 漫画脚本、藤村緋二 作画『真の安らぎはこの世になく―シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE―』第1巻は発売中。

映画『シン・仮面ライダー』は一部劇場で2023年3月17日(金)18時より全国最速公開、3月18日(土)より全国で公開。

『シン・仮面ライダー』公式サイト

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鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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