マンガ『メカ・サムライ・ジェネレーション』製作決定
『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』(2016) 『メカ・サムライ・エンパイア』(2018) 『サイバー・ショーグン・レボリューション』(2020, いずれも早川書房, 中原尚哉 訳) からなる“USJ三部作”で知られるピーター・トライアスが、マンガ『メカ・サムライ・ジェネレーション』を、日本のイラストレーターumegrafix (ウメグラフィックス) と共同制作することが分かった。1月5日(火)、ピーター・トライアスが画像と共に自身のTwitterで発表した。
僕は以前から@umegrafix のアートの大ファンなので、超嬉しい報告です…このたび、二人でマンガを正式に共同制作することになりました!!グリゼルダと久地樂の冒険に焦点を当てたそのマンガは題して「メカ・サムライ・ジェネレーション」! 続報にご期待ください! pic.twitter.com/j2VyLHHjnL
— Peter Tieryas (@TieryasXu) January 5, 2021
『メカ・サムライ・ジェネレーション』は、『メカ・サムライ・エンパイア』でも特に人気の高いドイツ人留学生グリゼルダと天才メカパイロット久地樂を描くストーリーになるという。umegrafixは、「MSEシリーズらしく、アメコミじゃない日本スタイルのマンガを作ります」と表明。
【ご報告】ピーター・トライアス氏(@TieryasXu)の『メカ・サムライ・エンパイア』シリーズのファンアートを描き続けたら、その外伝マンガを彼と一緒に創れることになるなんて!MSEシリーズらしく、アメコミじゃない日本スタイルのマンガを作ります。乞うご期待! https://t.co/mhglsiMGp7
— umegrafix(ウメグラ) (@umegrafix) January 5, 2021
umegrafixはこれまで、グリゼルダをはじめとする『メカ・サムライ・エンパイア』のファンアートを描き続けてきた。ピーター・トライアスもまた「以前から @umegrafix のアートの大ファン」と述べており、両者と、そしてそのファンにとっても夢のコラボレーションになった。
星雲賞連続受賞の傑作SF
マンガ『メカ・サムライ・ジェネレーション』を生み出した『メカ・サムライ・エンパイア』は、『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』に続くUSJシリーズの第二作目。USJ三部作は、第二次世界大戦で枢軸国が勝利した世界という設定や一部のキャラクターは共有しているが、それぞれの作品は独立して楽しむことができる。
2016年に発表された『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』と2018年に発表された『メカ・サムライ・エンパイア』 は二作連続で星雲賞海外長編部門を受賞。同一シリーズの二作連続受賞は、星雲賞では1995年と1996年のダン・シモンズ「ハイペリオン」シリーズ以来の快挙となった。2020年9月には第三作目のとなる『サイバー・ショーグン・レボリューション』が発売され、USJシリーズもこれで完結……かと思われたが、『メカ・サムライ・ジェネレーション』ではマンガという形でカムバックを果たす。
ピーター・トライアスは『メカ・サムライ・エンパイア』の星雲賞受賞の際に「(ゲームクリエイターの) 小島秀夫監督の存在なしにはこの『メカ・サムライ・エンパイア』は存在し得なかった」と語っている。日本のカルチャーから大きな影響を受けて完成された同作が、マンガという形で生まれ変わることは決して偶然ではないだろう。小島作品のミームを引き継いだSF小説がマンガとしてどのように生まれ変わるのか、『メカ・サムライ・ジェネレーション』の完成を楽しみに待とう。
ピーター・トライアス『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』『メカ・サムライ・エンパイア』『サイバー・ショーグン・レボリューション』(中原尚哉 訳) は、いずれも早川書房から発売中。