実写版『リトル・マーメイド』公開
ディズニーが贈る実写映画版『リトル・マーメイド』が2023年6月9日(金)より日本で劇場公開を迎えた。数々の人気キャラが実写化されるとあって大きな注目を集めた『リトル・マーメイド』。主人公のアリエルを演じたハリー・ベイリーは見事な演技と歌声を披露している。
今回注目したいのは、メリッサ・マッカーシーが演じたアースラだ。タコの脚を持ち魔法を操るアースラは“海の魔女”と呼ばれており、ディズニー・ヴィランズの中でも著名なキャラクターの一人である。実写版でも印象的な姿を見せることになったが、アースラのスピンオフ制作はあり得るのだろうか。
なお、以下の内容は『リトル・マーメイド』のネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『リトル・マーメイド』の内容に関するネタバレを含みます。
実写版のアースラ
実写版『リトル・マーメイド』でアースラを演じたのはコメディ俳優としても知られるメリッサ・マッカーシー。『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011) でアカデミー助演女優賞に、『ある女流作家の罪と罰』(2018) でアカデミー主演女優賞にノミネートされた名俳優だ。MCU映画『ソー:ラブ&サンダー』(2022) ではニュー・アスガルドの演劇でヘラを演じる役者としてカメオ出演している。
『リトル・マーメイド』では、アースラ役として圧巻の歌声を披露。自分の触手たちとのやり取りもコミカルで、印象的な演技を見せている。また、実写版のアースラにはトリトン王の妹という原作アニメにはなかった設定も付け加えられている。元王族でありながら追放された過去を持っており、トライデント=力に対する執着により説得力が与えられている。
実は、トリトンとアースラが兄妹という設定は元々アニメ版から削られた設定で、その後、ブロードウェイ版で復活している。実写版でトリトンを演じたのはハビエル・バルデム。こちらも好演を見せており、アースラと重なる部分も持つ強権的な親としてのトリトンを見事に演じている。
スピンオフはある?
そして、アースラを演じたメリッサ・マッカーシーとトリトンを演じたハビエル・バルデムは、二人のスピンオフを希望しているようだ。二人は米The Hollywood Reporterのインタビューに答えたコメントの中で、二人が一緒に撮影できたのは1日だけだったことを明かしながら、以下のように発言している。
ハビエル・バルデム:(メリッサが)非常に重いセリフを言った時に、背筋にくるような感覚がありました。エネルギーを感じたんです。それまでは彼女のアースラの姿を見れていませんでしたが、それで彼女がユニークで象徴的なアースラを作り上げたことを知りました。求めるもの、想像するもの全てを持ってきてくれたんです。ですから、アースラのスピンオフ必要です。私たちのキャラクターは兄妹ということなので、二人で夕食をとるシーンも入れたいですね。
メリッサ・マッカーシー:(スピンオフは)6個か7個くらいにしましょうよ。ね!
二人は互いの演技を称賛しており、ハビエル・バルデムは米ScreenRantのインタビューでも「アースラのスピンオフをお願いしてるんです」と発言。同席したメリッサ・マッカーシーは二人のことを「兄妹」の英語「Siblings」にかけて「イカ兄妹(Squidlings)」と呼んでいる。
アースラのその後は? ヴァネッサにも注目
アニメ映画版『リトル・マーメイド』では、アースラはエリック王子に倒されてしまう。実写版ではアリエルに倒され、生き残っているという描写はなかった。アニメの続編でも第二作目ではアースラの妹モルガナが、過去編となる第三作目ではセバスチャンと同じ宮廷職員であるマリーナ・デル・レイがヴィランとなっており、アースラの再登場はなかった。
一方で、書籍では人間の養父に育てられたというアースラのオリジンを描く『みんなが知らないリトル・マーメイド 嫌われ者の海の魔女アースラ』(2019, 著 セレナ・ヴァレンティーノ, 訳 岡田好恵) や、アースラがヴァネッサの姿でした初恋を描く『もうひとつの『リトル・マーメイド』 アースラの秘密の恋』(2022, 著 ローリー・ラングドン, 訳 岡田好恵) が刊行されている。実写版では兄妹という設定になったアースラとトリトンの幼少期や若年期を描くスピンオフがあっても面白いだろう。
一方で、アースラが変身したヴァネッサも世間から注目を集めている。ヴァネッサを演じた俳優は1999年生まれのジェシカ・アレクサンダー。これまでイタリアのディズニーチャンネルで放送された『Penny on M.A.R.S.』(2018-2020) やBBCとNetflix製作の『Get Even』(2020) といったティーンドラマでメインロールを演じてきた。自身もバイセクシュアルで、セクシュアルマイノリティの権利について積極的に発信していることから、若い人たちの間ではクィアアイコンとしても支持を受けている。
実写版『リトル・マーメイド』では短い時間ながらも印象的な演技を見せて、ヴァネッサ人気も高まっている。上述の『アースラの秘密の恋』の他にも、ディズニーの「もしも」の物語を描く「歪められた世界」シリーズの『パート・オブ・ユア・ワールド 上・下』(著 リズ・ブラスウェル, 訳 池本尚美) では、アリエルがアースラとの戦いに敗れてヴァネッサがエリック王子と結ばれた世界線の物語が描かれている。
なお、日本では“超実写版”と銘打たれたフルCG版『ライオンキング』(2019) からは、その前日譚である『ムファサ:ザ・ライオンキング(原題:Mufasa: The Lion King)』が2024年に公開される。『リトル・マーメイド』と『ムファサ』の興行次第では、アニメ映画版で描かれたなかった物語がスピンオフ映画として制作される可能性は十分にあるだろう。今後の展開を注視したい。
実写版『リトル・マーメイド』からはサントラが発売中。
フェイス・ノエル 著、代田 亜香子 訳のノベライズ版は小学館ジュニア文庫から発売中。
実写映画『リトル・マーメイド』は2023年6月9日(金)より全国の劇場で公開。
Source
The Hollywood Reporter / ScreenRant YouTube
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