2023年7月21日、『シン・仮面ライダー』Amazon Prime独占最速配信決定
2023年3月17日に一部映画館を除く全国で最速公開がされ、2023年7月21日にAmazon Primeで独占最速配信されることが決定した『シン・仮面ライダー』。その劇中へと繋がる前日譚として「となりのヤングジャンプ」で連載されている山田胡瓜漫画脚本、藤村緋二作画『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』(2023-)の第2巻が2023年7月19日に発売された。
緑川イチローを主人公とした『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』では、如何にしてSHOCKERが『シン・仮面ライダー』で描かれる形になったのかを描くスピンオフ漫画になることが発表されている。本記事では『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』第2巻を振り返り、そして『シン・仮面ライダー』Amazon Prime独占最速配信に備えていきたい。
なお、本記事では『シン・仮面ライダー』及び『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』第2巻のネタバレを含めた、本編読了後、もしくは本編視聴後に読んでいただけると幸福である。
以下の内容は、漫画『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
オーグメントたちの過去
絶望派と創業派の戦い
山田胡瓜漫画脚本、藤村緋二作画『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』第2巻はより一層、『シン・仮面ライダー』に近づいていく内容となっており、現在のSHOCKERを形作るオーグメントたちの過去が深掘りされている。その中でも顕著なのがクモオーグとサソリオーグだ。
2人の過去は創業派と呼ばれるSHOCKERのフロント企業ファウスト・ネットワークとの戦いの中で語られる。ヘルマン率いるファウスト・ネットワークは軍需産業で利益を上げている企業で、SHOCKER創設者の石神大造によるAI「アイ」をコントロール下に置こうとしていた。
SHOCKER創業者の名前は『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』で初めて明かされた。この名前の由来は『仮面ライダー』(1971-1973)の企画案の中で、ショッカーに資金援助をしていたという設定で登場予定だった悪徳実業家の石神大造から来ていると考えられる。
オーグメントへと至る人格形成
絶望派と創業派の戦いの中でクモオーグがかつて浩介という名前の大学生だったこと、そしてアウティング(本人の了解を得ずに他の人に公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動のこと)された友人を救えなかったばかりか、自分自身のセクシャル・アイデンティティを知られたくないためにアウティングに加担してしまったことが語られる。このことに関しては以下の記事で詳しく考察している。
また、サソリ(のちのサソリオーグ)の過去についても絶望派と創業派の戦いの後に語られており、DV加害者の父親からの逃亡とその父親に見つかる絶望、母親の死の暗喩など、絶望的な日々から逃れるためにクモオーグと同様に半ば別人格に近いものを生みだしたと考えられる。
映画『シン・仮面ライダー』へとつながるキーポイント
また、絶望派と創業派の戦いでクモオーグは『シン・仮面ライダー』で緑川ルリ子が指摘していた多幸感による洗脳により、ヘルマンを殺害。さらには止めに入ったサソリの右腕をもぎ取っている。のちのエピソードでサソリは生身と見分けのつかないほど精巧な義手を与えられているが、おそらく『シン・仮面ライダー』でサソリオーグの右腕がサソリの鋏状だったのは、これが原因だったと思われる。
他にも『シン・仮面ライダー』で登場したコウモリオーグの素体となったと思われる科学者が登場し、緑川弘博士との間に険悪なムードを漂わせている。他にも死神博士/イワン・タワノビッチがモデルになったであろうイワン博士が日本国内を掌握したことも語られており、これがK.Kオーグ(カマキリ・カメレオンオーグ)所属していた死神派の原形と思われる。
更には創業派側の技術として人型の戦闘兵器「ガーディアン」が登場した。これは『シン・仮面ライダー』にて人間を信用しないと形容されたコウモリオーグが、自身の研究所の警備に使用していた「ヒト型等身大対人兵器」の原形だと考えられる。
『仮面ライダー』リスペクトと深まる謎
『仮面ライダー』リスペクトの登場人物たち
山田胡瓜漫画脚本、藤村緋二作画『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』第2巻ではコブラ男を改造し、調教していた綾小路律子をモデルにしたと考えられる綾小路が本格的に登場している。そして、インパクトを残したのがゾル大佐/バカラシン・イイノデビッチ・ゾルをモデルにしたと思われるSHOCKERアメリカ支部のウルフソンであろう。
名前こそ違うものの、ゾル大佐/バカラシン・イイノデビッチ・ゾルの正体は狼男であるため、そこから転じてウルフソンという名前になったことが考察できる。また、ウルフソンは「カイ」の天使たちと呼ばれる双子の少女と共にいる。この「カイ」というのは順当に考えればジェイやケイ、アイと同じようにアルファベット由来である可能性が高く、ギリシャ文字の「Χ」から来ている可能背も高い。
しかし、『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』が『仮面ライダー』の企画案に至るまでリスペクトしていることを考えると、タイトル案の候補の一つ「仮面天使(マスクエンジェル)」や石ノ森章太郎のデビュー作『二級天使』(1954)から来ている可能性も考えられる。また、ウルフソンとの戦いに備えて緑川イチローが同じく『仮面ライダー』の企画案の一つである「十字仮面(クロスファイヤー)」の姿になっている。
緑川ルリ子の登場
とうとう生体電算機として緑川ルリ子も『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』の中で誕生し、登場した。緑川ルリ子は人工子宮から誕生後、なかなか目が覚めなかったことが語られるほか、成長スピードも速いように見受けられる。
この時点では緑川ルリ子が人工子宮生まれであることを緑川イチローは知らず、あくまでも研究員の遺児として、義理の妹として扱い、行動を共にしている。そうなると謎になるのがヒロミ/ハチオーグとトオル/サラセニアンオーグとの関係性だ。
緑川ルリ子は幼少期にヒロミ/ハチオーグとトオル/サラセニアンオーグと共に過ごし、特にヒロミ/ハチオーグは友人に最も近い存在と評している。しかし、ヒロミ/ハチオーグとトオル/サラセニアンオーグはまだ登場しておらず、そのままウルフソンとの戦いに緑川ルリ子が参戦していくため、いつ友好を深めたのか気になるところだ。
最新刊が発刊され、ますます謎や考察の余地が深まる『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』。『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』第2巻は山田胡瓜、藤村緋二、森山未來の鼎談も掲載されているため、ファン必読の一冊に仕上がっている。
山田胡瓜漫画脚本、藤村緋二作画『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』第2巻は2023年7月19日発売。
映画『シン・仮面ライダー』は2023年7月21日(金)よりAmazon Primeにて独占配信開始。
『シン・仮面ライダー デザインワークス』は4月28日(金)発売で予約受付中。
庵野秀明監督が明かした『シン・仮面ライダー』続編構想の考察はこちらから。
3月23日(木)に発表されたシークレットキャストとそのキャラについての解説はこちらの記事で。
公開前に発表済みだったキャストとキャラクターについてはこちらの記事で。
『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』ネタバレ解説&考察はこちらの記事で。
『シン・仮面ライダー』のネタバレ解説&考察はこちらの記事で。
ラストの本郷猛と緑川イチローの対決の解説と二人の対比はこちらの記事で。