『ワンダヴィジョン』CG製作の裏側
Disney+のオリジナルドラマ『ワンダヴィジョン』は、ドラマ史を塗り替える驚愕のクオリティで全8話を完走。CGをたっぷり使用したアクションシーンも話題になり、MCUファンを“魔法の世界”に引き込み、続くMCUドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』にしっかりバトンを繋いだ。
その『ワンダヴィジョン』から、VFX (視覚効果) に焦点を当てたメイキング映像が公開された。
以下の内容は、ドラマ『ワンダヴィジョン』の内容に関するネタバレを含みます。
ヴィジョンの“メイク”が問題に
マーベル公式YouTubeチャンネルは、「マーベルスタジオ『ワンダヴィジョン』VFXの秘密!」と題した英語の動画を公開。視覚効果監修のタラ・デマルコが登場し、製作の苦労と工夫について語った。
タラ・デマルコ曰く、大変だったポイントは白黒の映像作品でCGを活用するという点。ヴィジョン役のポール・ベタニーは青塗りのメイクで演技をして、その後にヴィジョンの特徴的な頭部のパーツと模様をCGで合成するというのがこれまでのやり方だった。だが、『ワンダヴィジョン』では第1話と第2話の完成映像は白黒になる。ここで、CG合成の土台となるヴィジョンの青塗りメイクに修正を加える必要が生まれたのだという。
(ヴィジョンの顔に合成する) 赤色は、白黒映像だと非常にダークな色になってしまい、ヴィジョンの特徴が判別できなくなってしまいます。そこで、二日間かけてメイクのパレットテストを行いました。あらゆる色合いの“青”と、何段階もの光沢を試したんです。
現場ではカラーで見えていても、白黒になった時にどのような色合いに見えるか、という製作ノウハウは、セットや衣装については蓄積があった。だが、“CG合成を前提としたメイク”にはその前例がなく、二日間を要して絶妙な青塗りの色合いを見つけ出したのだという。白黒×CGというVFXの新境地を、地道な試行錯誤で乗り切ったのだ。
往年のシットコム製作における工夫については、こちらの記事でも詳しく紹介している。
ワイヤー演出にヴィジョン対決の裏話も
第1話で見られたワイヤーを使ったクラシックな映像効果については、動画ではお皿やロブスターを手動で動かしている様子が収められている。また、宙を舞う調理器具の一部は後からCGで追加されているが、これらも白黒になった時に映える色合いを選んでいったという。その他にも、第2話のラストシーンで世界に色が付いていく演出や、第3話でCGアニメで登場させた蝶々の演出、最終話のヴィジョン対決の裏側が語られている。
実は白いヴィジョンはオリジナルのヴィジョンとは顔のパーツの柄が異なるらしい。また、このシーンの撮影は二回行われ、両方のヴィジョンをポール・ベタニーが演じたことも紹介されている。このシーンの撮影秘話については、こちらの記事に詳しい。
そして、決戦の場となった図書館については、撮影に使える場所を捜したものの、実際の図書館を傷つけずに二人のヴィジョンを高く吊り上げる撮影を行うのは難しいと判断。気に入った図書館の写真を撮ってスタジオに持ち帰り、その図書館の4分の3を“作り直して”再現したのだという。これにより、二人のヴィジョンが空中で旋回しながら議論を交わすシーンを撮影することに成功。図書館の残りの4分の1はCGで補完されている。動画には、ヴィジョンvsヴィジョンのワイヤーアクションの様子も収められている。
ポップでどこか奇妙なストーリーを届けてくれたドラマ『ワンダヴィジョン』。その裏側では高い技術力と地道な工夫を駆使した製作が行われていた。『ワンダヴィジョン』が第1弾として好スタートを切ったDisney+オリジナルのMCUドラマに今後も期待しよう。
ドラマ『ワンダヴィジョン』はDisney+で全話配信中。
MCUドラマ最新作『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』はDisney+で2021年3月19日(金)より配信中。
『ワンダヴィジョン』のネタバレ解説はこちらの記事で。
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のネタバレ解説はこちらから。
Source
Marvel Entertainment YouTube