『ミズ・マーベル』最終回に異変 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の展開を踏襲 『マーベルズ』の影響も? | VG+ (バゴプラ)

『ミズ・マーベル』最終回に異変 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の展開を踏襲 『マーベルズ』の影響も?

© Marvel

ドラマ『ミズ・マーベル』に変更が

2022年6月から7月にかけて全6話が配信されたMCUドラマの『ミズ・マーベル』。ニュージャジー州のジャージーシティに暮らす16歳のカマラ・カーンが主人公となり、ニューヒーローの誕生が描かれた。『ミズ・マーベル』では、カマラがアベンジャーズの大ファンであることから様々なヒーローの名前が登場し、映画『エターナルズ』(2021) のキンゴにも言及されるなど、ファンにとっては嬉しいサービスが散りばめられていた。

そんな『ミズ・マーベル』の最終話となった第6話に、アベンジャーズメンバーの一人の作品との関連から、2023年1月に入ってから修正が加えられたと話題になっている。『ミズ・マーベル』をはじめとするMCUドラマはディズニープラスで配信されているため、後から修正を入れることが可能なのだが、一体どこに修正が加えられたのだろうか。

自由の女神を修正

修正があったのは『ミズ・マーベル』第6話「ノーノーマル」の冒頭3分20秒あたり。マーベル・スタジオのロゴタイトルが終わった直後、上空から映し出される自由の女神の色が銅色になっている。また、42分5秒あたりのクレジットシーンにも自由の女神が映るのだが、こちらも銅色になっている。編集前は見慣れたグリーンの自由の女神であり、明らかに手が加えられている。

では、配信から約半年が経過して自由の女神の色が修正された理由はどこにあるのだろうか。その理由は、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)との整合性だと考えられる。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、自由の女神像にキャプテン・アメリカの盾を持たせる工事が進められており、同じ時期に設定されているドラマ『ホークアイ』(2021) 第5話でもその件について言及されていた。

結局、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では自由の女神は戦場となり取り付けようとしていたキャプテン・アメリカの盾は落下してしまう。だが、この工事では自由の女神の塗装作業も同時に進められていた。

『ミズ・マーベル』の修正前の映像にはこれまでと同じ自由の女神の姿が捉えられていたが、修正後には自由の女神は銅色に塗り替えられている。つまり、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』での自由の女神の一件を“なかったこと”にしない修正が加えられたということである。

『ミズ・マーベル』の自由の女神は銅色になったものの盾は持っていない。戦いの中で落下した巨大な盾は取り付けが危険だと判断されたのか、「自由の女神にキャプテン・アメリカの盾を持たせる」という計画はただの塗装修正作業に着地した様子である。

ちなみに自由の女神といえば緑がかった姿でお馴染みだが、その表面は銅板で覆われており、フランスから贈られた当時は銅色の姿をしていた。雨や潮風にさらされて酸化した結果、自由の女神は緑色になったのだが、MCUの世界ではアメリカ合衆国独立100周年で自由の女神が贈られた1886年から138年後に本来の姿に戻ったということになる。

時系列も確定

『ミズ・マーベル』に『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と地続きの要素が加わったことで、時系列も確定した。『ミズ・マーベル』は『ノー・ウェイ・ホーム』『ホークアイ』よりも後の出来事ということになる。

『ミズ・マーベル』は作中に描かれる“イード”の時期から2025年6月が舞台である可能性が高い。映画『ソー:ラブ&サンダー』(2022)とドラマ『ミズ・マーベル』までのフェーズ4の時系列については、こちらの記事に詳しい。

なお、今回の修正によって、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』後に自由の女神は銅色になったという設定が確定した。そのため、今後MCUで自由の女神が登場する際には全て銅色に着色するCG処理が施されるものと見られる。スタッフの大きな負担にならなければよいのだが……。

修正は初めてではない

ディズニープラス配信のMCUドラマに後から修正が加えられるのは、これが初めてではない。ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) も3月に配信された最終話のラストシーンが6月になって手が加えられ、CG処理によってワンダが住む山の木を増加させたという例があった。

こちらは映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) でワンダが魔法で理想の世界を作り出してそこに住んでいるという設定が紹介されたことが理由だと考えられる。ワンダが理想の世界が作れるのなら、より緑の多い場所を作るだろう……ということである。テレビ放送ではない配信ドラマならではの変更である。

『ワンダヴィジョン』と『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』と同じ関係にあるのが、『ミズ・マーベル』と2023年11月10日(金)日米公開を予定している映画『マーベルズ』だ。『マーベルズ』は『ミズ・マーベル』から繋がる内容となっており、もしかすると、『マーベルズ』で自由の女神が登場することになったため、時系列の矛盾に気付いたスタジオが今回の修正に踏み切ったのかもしれない。

いずれにせよ、妥協せず修正に取り組むマーベル・スタジオの姿勢には恐れ入る。繰り返しになるが、あとはスタッフの健康を祈るばかりである……。

ドラマ『ミズ・マーベル』はディズニープラスで独占配信中。映画『マーベルズ』は023年11月10日(金)より日米同時公開。

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マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、成功しているスタジオの共通点として、「何度も作り直すこと」を挙げている。詳しくはこちらの記事で。

ドラマ『ミズ・マーベル』最終話のネタバレ解説はこちらの記事で。

『マーベルズ』の展開についてキャプテン・マーベル役のブリー・ラーソンが語った内容はこちらから。

2023年2月17日劇場公開の映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の本予告解説&考察はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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