ボ=カターンには「大きな罪悪感」『マンダロリアン』シーズン3での変化を俳優が語る アーマラーの裏の顔も | VG+ (バゴプラ)

ボ=カターンには「大きな罪悪感」『マンダロリアン』シーズン3での変化を俳優が語る アーマラーの裏の顔も

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ドラマ『マンダロリアン』シーズン3配信中

「スター・ウォーズ」シリーズに実写ドラマの新たな地平を切り拓いた『マンダロリアン』は2019年に配信を開始し、2023年3月からシーズン3が配信されている。マンダロリアンのディン・ジャリンと、ヨーダと同じ種族のグローグーによる「クラン・オブ・ツー(二人の氏族)」の旅が描かれる。

ドラマ『マンダロリアン』の魅力の一つは、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 』(2008-2020) といった過去シリーズからのキャラクターが合流し、それぞれの人物に深みを与えていくという点だ。中でも『マンダロリアン』シーズン3でスポットライトが当たっているのはボ=カターン・クライズである。

これまでのボ=カターン

ボ=カターンは、好戦的なマンダロリアンの一派デス・ウォッチのメンバーとして、2012年にアニメ『クローン・ウォーズ』シーズン4で初登場を果たした。王位にあった姉のサティーンとは違い、名家のクライズ氏族の出身でありながらヴィズラ氏族のプレ・ヴィズラの右腕になる戦士としてリーダーシップを発揮していた。

その後、ダース・モールによって乗っ取られたマンダロアをアソーカ・タノらが解放し、ボ=カターンは一時はマンダロアを統治する立場になっている。しかし、ボ=カターンは帝国に従属することを拒否して失脚、『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018) ではサビーヌ・レンからダークセーバーを託されて帝国に抗うマンダロリアン・レジスタンスを率いた。

ドラマ『マンダロリアン』とドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022) では、その後、惑星マンダロアは帝国による大粛清によって荒廃した不毛の地になってしまい、ボ=カターンのダークセーバーもモフ・ギデオンの手に渡ってしまったことが語られている。

『マンダロリアン』シーズン2におけるボ=カターンは、ダークセーバーを手に入れてマンダロアを復活させようと意気込んでいたが、結果的にダークセーバーはディン・ジャリンの手に渡ることになる。そして、シーズン3では再びボ=カターンにスポットライトが当てられることになるのだが、ボ=カターン・クライズ役のケイティー・サッコフが『マンダロリアン』シーズン3におけるボ=カターンの心境について語っている。

ボ=カターン役ケイティー・サッコフが語る

失意のボ=カターン

ケイティー・サッコフはアニメ『クローン・ウォーズ』と『反乱者たち』でボ=カターン・クライズの声優を務めている。ドラマ『マンダロリアン』でも自ら実写版を演じることになったケイティー・サッコフは、スター・ウォーズ公式のインタビューに登場。シーズン3のボ=カターンについて、制作の裏側を明かした。

シーズン3第1話では、ボ=カターンはカレヴァラの根城で一人で過ごしている。ダークセーバーを手に入れられず、仲間を失ったボ=カターンが失意の中で玉座に佇むこのシーンについて、こう話している。

ジョン(・ファヴロー、シリーズを指揮している)と私にとっては、とても重要なシーンでした。彼は私に座らせたり、歩かせたり、座らせてまた歩かせて、戻らせて、というのを繰り返させました。(慣れさせて)少し無礼な感じに見えるようにしたかったんですね。王族がそんな風に玉座に座る姿は、あまり見られるものではないですよね。それが彼女自身が抱える問題のメタファーだったのかもしれません。

シーズン3第1話のボ=カターンは、自分以外には執事ドロイドしかいない城で、片足を上げて玉座に腰掛けている。まるで自宅のリビングでソファーにでも座るかのような体勢であり、第2話においてはブランケットのようなものも持ち込んでいる。

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王族であり、マンダロアを率いる立場に立った経験もありながら、常に戦いに身を投じてきたボ=カターン。統治者というよりも、リーダーとしてマンダロリアンを牽引してきたが、仲間のいない玉座で心が晴れるはずもない。玉座に腰掛ける失意のボ=カターンの姿は、ジョン・ファヴローとケイティー・サッコフによって入念に作り上げられたものだったのだ。

ボ=カターンの「大きな罪悪感」

『マンダロリアン』シーズン3のボ=カターンは、シーズン2とは違う新しい姿を見せる。ボ=カターンに起きた変化について、ケイティー・サッコフはこう話している。

(ボ=カターンは)人生の中で多くの試練に直面し、心痛と失望を経験した女性です。彼女は常にマンダロリアンの人々にとって正しいと思うことをしてきましたが、その過程で多くの間違いをおかしてきました。彼女はその全てを一身に受け、大きな罪悪感と混乱の中にあります。シーズン3ではそれが少し出ていますよね。

シーズン2で彼女がダークセーバーを奪おうとしなかったことは、とても重要なモーメントでした。何かが違うんです。彼女がそうしなかったことには理由があって、それによって彼女がどうなったか、そしてこれからどこへ向かっているのかということに繋がると思うんです。

シーズン2のラストでは、モフ・ギデオンに勝利したディン・ジャリンがダークセーバーをボ=カターンに渡そうとするが、ギデオンはダークセーバーは戦って勝ち取らないと真の力を発揮しないと指摘する。加えて、「ダークセーバーがなければ王位を継承してもそれは偽り」というギデオンの言葉にも同意し、結局ディン・ジャリンからダークセーバーを奪い取ろうとはしなかった。

その理由は、「マンダロリアンの人々のため」と考えて動いてきたが、その中で繰り返してきた過ちをボ=カターン自身が自覚しているから、ということなのだろうか。ボ=カターンはこれ以上の過ちをおかせないと考え、ディン・ジャリンから不正にダークセーバーを受け取ることも、同じマンダロリアンのマンドーを倒すこともできなかったのかもしれない。

実は罪悪感と混乱の中にあることが明かされたボ=カターン。しかし、シーズン3では、チルドレン・オブ・ザ・ウォッチの教義やコミュニティに対して心を開き、協調性を持って他のマンダロリアンと接しているように見える。口にはしないけれど、ボ=カターンの中にある罪悪感がその動機になっているのかもしれない。

アーマラーとの出会い

ドラマ『マンダロリアン』シーズン3では、ボ=カターンはついにチルドレン・オブ・ザ・ウォッチのリーダーであるアーマラーと対面する。ドラマ『ボバ・フェット』では、アーマラーはボ=カターンのことを「道を踏み外した」と軽蔑するような発言をしていたが、『マンダロリアン』シーズン3では、二人は徐々に距離を縮めていく。

アーマラー役を演じているのは、ドラマ『スーパーナチュラル』(2005-2020) のアマラ/ダークネス役などで知られる俳優のエミリー・スワロー。二人は『マンダロリアン』シーズン3にてようやく共演を果たしたが、エミリー・スワローは現場でたくさんのジョークを言って場を和ませる存在だったとボ=カターン役のケイティー・サッコフは明かしている。

私たちは皆、多くの時間を一緒に過ごして、この作品に心血を注いでいます。膨大な時間です。正直なところ、1日16時間もスーツを着ていることが快適かというとそんなことはありません。ですから、士気を落とさないために色んなことをします。クルーは本当に懸命に働いています。そして、(アーマラー役の)エミリーはいつも皆を笑わせてくれる人なんです。

特にシーズン3では複数のマンダロリアンが画面上に映るシーンが長く、どの演者もスーツを着てヘルメットを被った状態で撮影に臨むことになる。待ち時間のことも考えれば相当にタフな撮影現場になっていることが予想できるが、アーマラー役のエミリーは画面外でもチームの士気を保つ役割を担っているようだ。

アーマラーとボ=カターンという新たな名コンビ/カップルが生まれる予感と共に進んでいく『マンダロリアン』シーズン3。全8話の最後まで目が離せない。

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ドラマ『マンダロリアン』シーズン3は2023年3月1日(水) より、ディズニープラスで独占配信。

『マンダロリアン』(Disney+)

Source
StarWars.com

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シーズン3第5話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

 

アニメ『バッド・バッチ』シーズン2第15話のネタバレ解説はこちらから。

同時配信のシーズン2最終回第16話のネタバレ解説はこちらの記事で。

 

高い評価を受けている「スター・ウォーズ」ドラマ『キャシアン・アンドー』シーズン1の解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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