『ホワット・イフ…?』配信開始
マーベル・シネマティック・ユニバース (MCU) 初のアニメシリーズとしてDisney+で配信される『ホワット・イフ…?』は、2021年8月11日(水)より第1話が公開された。『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011) のあり得た「もしも」を描いた第1話では、ペギー・カーターが“キャプテン・カーター”になっていた世界の物語が描かれた。
そして、『ホワット・イフ…?』の配信開始に合わせて、製作陣が本作がどのような立ち位置にあるのか、そして第1話に登場したウォッチャーとキャプテン・カーターの繋がりについて言及している。米マーベル公式サイトのMarvel.comでは、『ホワット・イフ…?』第1話の配信と同時に公開された製作陣へのインタビューで重要な発言を確認できる。
「極めて重要な意味を持つ」
まず、『ホワット・イフ…?』の製作総指揮を務めるブラッド・ウィンダーバウムは、本作をアニメシリーズとして制作した理由を「MCUのロケーション、セット、キャラクターなど、すべての要素を再び描くには、アニメーションにする必要があることは明らかでした」と話す。アニメを「無限の可能性を秘めたメディア」とも表現している。
では、そのアニメーションを使ってどのようなシリーズを作ろうとしているのだろうか。ウィンダーバウムは以下のように話している。
多元宇宙/マルチバースは今、ありとあらゆる方向に向かって発生しています。そして『ホワット・イフ…?』はそれを探究するチャンスを与えてくれるものです。このサーガにおいては、マルチバースは極めて重要な意味を持つことになります。
詳細を述べずに説明すると、MCUの中に存在する物語としての『ホワット・イフ…?』は、他の作品と同様に重要です。それは同じタペストリーの中に織り込まれているからです。そのいくつもの楽しい糸には、多くの可能性があるのです。
曖昧な表現ではあるが、アニメという手法を使っているものの、「他のMCU作品と同様に重要」であると認めている。ブラッド・ウィンダーバウムは、以前より、『ホワット・イフ…?』が実写版へ移行する可能性があることも認めている。『ホワット・イフ…?』の各ストーリーがそれだけで完結するものではないということを示唆しているのだろうか。
キャプテン・カーターとウォッチャーに繋がりが?
続いて、謎多き存在であるウォッチャーについて解説しているのは、『ホワット・イフ…?』のヘッドライターを務める脚本家のA.C.ブラッドリーだ。まずこのシリーズで探究したものを「ヒーローの背後にあるハートの部分、盾の裏側、これまでに語られたことのない物語」と表現。そして以下のように続けている。
キャラクターたちは象徴的な存在で、私たちは彼女ら・彼らの輪郭やメッセージの部分は知っているかも知れません。しかし、重要なのは彼女ら・彼らとどう繋がるかということです。ペギー・カーターやソー・オーディンソン、ドクター・ストレンジと繋がる新しい方法を見つけるということです。
幸運にも、私たちには案内人を務めてくれるウォッチャーがいて、彼もまた繋がりを求めています。キャラクター——それがすべての始まりであり、そこから「もしも (what if)」を考えていきました。
製作総指揮のブラッド・ウィンダーバウムもまた、「このシリーズはアンソロジーですが、常に楽しい繋がりが生まれるチャンスがあります」と話す。また、キャプテン・カーターは当初はシーズン2のために用意されていたキャラクターだったことも明かし、更に『ホワット・イフ…?』の案内役を務めるウォッチャーとの関係について言及している。
制作の初期の段階で、A.C.の脚本を基にシリーズの構成を考えていると、沸き上がってきてより重要な存在になるキャラクターがいることに気づきました。他のキャラクターよりも重要という意味ではないのですが、シリーズを押し進める役割を果たすウォッチャーと強い繋がりを持っています。それが、キャプテン・カーターです。
ここでも詳細は語られていないが、「見守るだけ」であることを公言しているウォッチャーと、第1話で新たなタイムラインを生み出したキャプテン・カーターには「強い繋がり」があるとしている。そして、ウォッチャーの声を担当した俳優のジェフリー・ライトは以下のように補足する。
A.C.のスクリプトにおける“繋がり”の話をすると、彼(ウォッチャー)はある意味で彼女ら・彼らによって定義されています。彼女ら・彼らの持つヒロイズムや欠点を観察し、繋がりを見出すことに、彼は情熱を傾けているのです。彼女ら・彼らがいなければ、彼は何もできません。彼は彼女ら・彼らのことが大好きで、彼女ら・彼らによって突き動かされ、彼女ら・彼らは彼の人生に意味をもたらしています。
ウォッチャーは、MCU世界に干渉しない/できないと発言しているが、その立場は決して神のようなものではないようだ。ジェフリー・ライトは、ウォッチャーの視点を私たちファンの立場と重ね合わせ、「ファンにとって、(ヒーローとの)繋がりの深さはとても強いものです。それはウォッチャーにとっても同様です」と解説している。
確かに第1話におけるウォッチャーの語りは、キャプテン・カーターの選択や作り出した歴史に対して肯定的なスタンスをとっていたように受け取れる。一方で、ブラッド・ウィンダーバウムがどのような意味で、特にキャプテン・カーターがウォッチャーと「強い繋がり」を持っていると話したのかは、現時点では分からない。第2話以降のストーリーを見ることで、見えてくるものなのだろう。
ウォッチャーはただのヒーローファンなのか……? それともこれから大事な役割を果たすのか? 『ホワット・イフ…?』から引き続き目が離せない。
アニメ『ホワット・イフ…?』はDisney+で独占配信中。
Source
Marvel.com
第1話のネタバレ解説&あらすじはこちらから。
第1話の小ネタはこちらにまとめている。
監督と脚本家が求めるキャプテン・カーターの実写化については、こちらの記事に詳しい。
第2話に登場するキャラクターについてはこちらの記事で。
ウォッチャーのポスターと設定についてはこちらの記事で。
『ホワット・イフ…?』の吹き替え声優キャストの紹介はこちらから。