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『ホワット・イフ…?』の小ネタに注目
2021年8月より配信を開始した『ホワット・イフ…?』は、MCU史上初のアニメシリーズ。「もしも」の物語が展開されるが、本シリーズで進むマルチバース化はMCUのその他の作品同様に重要なものになるとされている。
『ホワット・イフ…?』第1話では、「もしも…キャプテン・カーターがファースト・アベンジャーだったら?」と題し、ペギー・カーターの新たな物語が描かれた。MCUフェーズ3までの各作品のあり得た展開を提示していく本シリーズは、過去作からのオマージュがふんだんに取り入れられている。また、今後の『ホワット・イフ…?』およびMCUに繋がるヒントも第1話には散りばめられている。今回は、そんな“小ネタ”をまとめて紹介していこう。
以下の内容は、アニメ『ホワット・イフ…?』第1話、ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム 』の内容に関するネタバレを含みます。
『ホワット・イフ…?』第1話の小ネタまとめ
声優
俳優たちが演じてきたMCUのキャラクターをアニメ化した『ホワット・イフ…?』は、多くの場合は俳優本人が声優を務めている。今回の主人公ペギー・カーターもヘイリー・アトウェルが声を担当。バッキー・バーンズもセバスチャン・スタンが、ニック・フューリーもサミュエル・L・ジャクソンが声優を務めている。
ただし、スティーブ・ロジャースはクリス・エヴァンスではなく、声優のジョシュ・キートンが声を当てている。一方で、ちょい役だったヒドラのゾラ博士の声をトビー・ジョーンズ本人があて、吹き替え版もこれまで通りの佐々木睦が担当する嬉しいサプライズもあった。
血清投与シーン
ペギーが超人血清を打つシーンは、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファーストアベンジャー』(2011) のキャプテン・アメリカ誕生シーンが完全再現されている。カットの切り替わりやカメラワーク、そしてペギーの表情に至るまで、クリス・エヴァンスが実写で演じた映像がそっくりペギー・カーターに生まれ変わっているのだ。
採血の行方
何気なく過ぎていくシーンだが、キャプテン・カーターが大量の血を採血されているシーンは見逃せない。フリン大佐が「本物のスーパーソルジャーを作る」と言い放つこのシーンは、ペギーの血清を元に正史では誕生しなかった新たなスーパーソルジャー誕生のオリジンになる可能性がある。
ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』では実験に成功したあるイザイアの血が別のスーパーソルジャー誕生に悪用されたことが明かされていた。映画『ブラック・ウィドウ』ではロシア版キャプテン・アメリカであるレッド・ガーディアンも登場したが果たして……。
サンドバッグとツアー
こちらの解説記事でも示したが、ペギーがサンドバッグを殴り飛ばすシーンは映画『アベンジャーズ』(2012) からのオマージュだ。その後スティーブは正史で自分が行かされるはずだった慰問ツアーについて触れている。
キャプテン・カーター万歳
スティーブがヒドラ・ストンパーに乗って援護した戦闘シーンの後、スティーブは「キャプテン・カーター万歳!(Let’s hear it for Captain Carter!)」とペギーを褒め称える。実はこのセリフ、原作映画ではバッキーがスティーブに言う「キャプテン・アメリカ万歳!」の引用である。スティーブのサイドキックであったバッキーの役回りを、『ホワット・イフ…?』ではペギーのサイドキックになったスティーブが担う場面は少なくない。
バイクアクション
キャプテン・カーターが見せるバイクアクションも、原作映画でキャプテン・アメリカが見せたもののオマージュになっている。バイクの前方に盾を挿して突入するシーンもしっかり再現されている。
荒鷲の要塞作戦
列車に突入する場面で、キャプテン・カーターは作戦名を「荒鷲の要塞作戦」と宣言する。『荒鷲の要塞』は1968年に公開された映画のタイトル。ドイツ軍の捕虜になったアメリカの将軍を、リチャード・バートン演じる英軍のスミス少佐と、クリント・イーストウッド演じる米軍のシェイファー中尉が共闘する物語だ。『ホワット・イフ…?』でもまさに英米による混成部隊のミッションを実行しようとしている。
バッキーの腕と転落
こちらの記事でも解説した通り、列車への突入シーンで落ちそうになったバッキーは、「腕がもげるかと」と、正史で失った左腕をかばいながら漏らしている。更に、その後谷底に落ちていくのはバッキーではなくスティーブに。やはりサイドキックとしてのバッキーの役割がスティーブに回ってきているということが分かるシーンになっている。
タコはシュマゴラス?
別次元から召喚されたタコの足だけが登場するが、この怪物はシュマゴラスではないかと噂されている。シュマゴラスはマーベルのコミックに登場する一つ目のモンスターで、次元と時間を移動する強力な敵だ。シュマゴラスは原作ではドクター・ストレンジと戦うことになっており、2022年公開予定の映画『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』への登場が噂されているが、果たして。
「We don’t have all day.」
ヒドラ・ストンパーで復活したスティーブに対してバッキーが「時間がないぞ」と声をかける場面、英語では「We don’t have all day.(一日中やってられないぞ)」と言っており、正史におけるスティーブの名言「I can do this all day. (一日中やってられるぞ)」へのカウンターとなっている。
ヘディ・ラマー
ハワードが「へディ・ラマーにドイツ語を習いそびれた」と漏らす場面、ここで名前が挙がっているへディ・ラマーとは、私たちの現実世界で第二次世界大戦中に科学者として、そして俳優として活躍した実在の人物だ。共同発明者のジョージ・アンタイルと共に通信システムに関する特許も取得している。オーストリアのウィーン出身だったため、交流があったと思われるハワードはヘディ・ラマーにドイツ語を習っていなかったことを悔いたようだ。
2015年にはヘディ・ラマー生誕101年を祝い、Googleが特別映像を公開している。
ダンスは「次の土曜に」
『ホワット・イフ…?』第1話のクライマックスでは、その身を捧げてモンスターを異次元に押し返そうとするペギーが、「ダンスの約束は?」と聞くスティーブに「次の土曜に」と答える。このやり取りは『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』で、飛行船を自分ごと沈めようとするスティーブにペギーが言った言葉と同じだ。立場と歴史が変わっても、この言葉をかけるのはペギーだったのだ。
正史では、スティーブはタイムスリップを利用してペギーと再会するまでダンスを踊ることはできなかった。70年後に召喚されたペギーは、スティーブとダンスを踊ることができるのだろうか。
「剣を置け」
最後にニック・フューリーが登場したラストシーンでの小ネタを紹介しよう。飛び出してきたキャプテン・カーターに対して「剣を置いてくれ (Please, put down the sword.)」と声をかけるニック・ヒューリーだが、映画『アベンジャーズ』ではロキに対して「槍を置け (Put down the spear.)」と指示している。どこのユニバースにおいても、相手に武器を置かせがちなニック・フューリーなのだった。
以上が、『ホワット・イフ…?』第1話で見られた主な小ネタ集だ。だが、実際には細かく指摘するとキリがないほどの小ネタが散りばめられているのが『ホワット・イフ…?』。皆さんも気づいた小ネタはどんどんシェアしていただきたい。
アニメ『ホワット・イフ…?』はDisney+で独占配信中。
なお、製作陣がキャプテン・カーターとウォッチャーのつながり、『ホワット・イフ…?』のMCUにおける立ち位置についても語った内容はこちらから。
第2話に登場するキャラクターについてはこちらの記事で。
『ホワット・イフ…?』の吹き替え声優キャストの紹介はこちらから。
映画『ブラック・ウィドウ』のポストクレジットの解説はこちらから。
ドラマ『ワンダヴィジョン』で残された12の疑問はこちらから。
ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のネタバレ解説はこちらから。