『キャプテン・マーベル』猫のグースのその後が明らかに? 『ホワット・イフ…?』第7話で分かったこと | VG+ (バゴプラ)

『キャプテン・マーベル』猫のグースのその後が明らかに? 『ホワット・イフ…?』第7話で分かったこと

© 2021 Marvel

『ホワット・イフ…?』第7話で本編のヒント

MCU初のアニメーションシリーズにして、フェーズ3までのあり得た「もしも」の物語を描いていく『ホワット・イフ…?』は、新たな物語を次々と届けてくれている。一方で、注目を集めているのは、その中で語られるMCU本編の知られざる物語だ。

例えば、第6話ではスターク・インダストリーズが兵器開発をやめた本当の理由が明らかになった。映画『アイアンマン』(2008) で語られていた条件が変わっていなくても兵器開発をやめなかったトニー・スタークの姿が描かれたからだ。そのようにして、MCU本編とは異なる歴史を歩む『ホワット・イフ…?』の物語は、写鏡のようにしてMCU本編の事実まで教えてくれる。

今回は第7話の会話の中から見えたキャプテン・マーベルに関する新事実について紐解いてみよう。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『キャプテン・マーベル』およびアニメ『ホワット・イフ…?』第7話の内容に関するネタバレを含みます。

『キャプテン・マーベル』猫のグースはその後どうなった?

『ホワット・イフ…?』第7話は、「マイティ・ソー」シリーズをベースにして、ソーの父オーディンがロキを養子にしなかった世界線の物語が描かれた。ソーはロキと共に育たず、アスガルドが氷の巨人の国ヨトゥンヘイムと平和な関係を築いたことで、成人した頃には奔放な人物になっていた。ソーが地球をパーティ会場にして滅茶苦茶にしてしまう中、S.H.I.E.L.D.はキャプテン・マーベルの援護を要請。第7話ではソーvsキャプテン・マーベルの戦いが描かれた。

第7話で注目したいのは、映画『キャプテン・マーベル』(2018) で登場した猫のグースについて言及される場面だ。物語の中盤、キャプテン・マーベルがソー退治を一旦諦めて帰還したシーンで、ニック・フューリーに代わって指揮をとるマリア・ヒルは「あなたのパンチは核兵器並みで、飼い猫も無敵のはず」とキャプテン・マーベルを責める。そう、映画『キャプテン・マーベル』以来、初めて猫のグースに言及されたのだ。ダーシー・ルイスは「猫飼ってるの?名前は?」と食いつき、キャプテン・マーベルは「グース」と答える。

なお、ダーシーは映画『トップガン』(1986) の主人公マーヴェリックの相棒グースと結びつけ、『トップガン』に登場するスティンガーのセリフ「Your ego is writing checks your body can’t cash.(君の振る舞いは払えもしない小切手を出すのと同じだ)」を引用する形で「Is your ego writing checks that your skills can’t cash?(勝手なことしちゃうタイプ?)」と聞いている。『ワンダヴィジョン』(2021) の時とは違い、まだ博士になっていないダーシーは「インターンはいらない?猫の世話係とか」とファンであるキャプテン・マーベルの下で働こうとする。

『ホワット・イフ…?』第7話でグースについて触れられたのはこの場面だけだったが、それでも“グースのその後”を予想させる重要なやり取りになっている。

『キャプテン・マーベル』でのグースとその後

映画『キャプテン・マーベル』で初登場を果たしたグースは、元々マー・ベルがリーハイ基地で飼っていた猫。ニック・フューリーとキャプテン・マーベルに懐いてついてきたが、その正体は身体の中に四次元のポケットを持つフラーケンであり、スペースストーンを内包する四次元キューブを飲み込むことができた。

最初はキャプテン・マーベルの膝に乗ろうとしたグースだが、ニック・フューリーに溺愛されて二人の旅に同行していた。グースはフラーケンとして迫りくる敵を飲み込んだり、四次元キューブの格納庫になったりと大活躍。ニック・フューリーの左目の傷がグース によるものだったことも明らかになっている。

キャプテン・マーベルは宇宙で人々を助けることを選び、グースはニック・フューリーに引き取られることに。ニック・フューリーのオフィスで暮らすグースは毛玉を吐くようにして飲み込んでいた四次元キューブを吐き出し、スペースストーンはS.H.I.E.L.D.が保管することになった。こうした活躍もあり、『キャプテン・マーベル』公開時にはグースとグースを演じた4匹の猫には大いに注目が集まった。一方で、その後のグースがどうなったのかはMCU作品の中では描かれないままだった。

1995年を舞台にした『キャプテン・マーベル』でニック・フューリーのオフィスにおさまったはずのグース。だがその後ニック・フューリーはS.H.I.E.L.D.を去り、一時は地下生活に入る。『キャプテン・マーベル』ではあんなに近くにいたグースはその後のシリーズで全く姿を見せておらず、どこかのタイミングでニック・フューリーの手を離れたと考えるのが妥当だ。

『ホワット・イフ…?』でのヒント

『ホワット・イフ…?』7話で注目したい点は、①グースはS.H.I.E.L.D.内でも周知の存在になっていること、②S.H.I.E.L.D.自体はグースを活用できないこと、③マリア・ヒルがキャプテン・マーベルに「あなたの猫」と言っていること……この三つだ。

①については、ニック・フューリーではなくマリア・ヒルの口からグースの存在が匂わされていることから、グースはニック・フューリー個人のただのペットではなく、S.H.I.E.L.D.が組織としてその力を認識していることが明らかになっている。その上で、マリア・ヒルはグースを活用しないキャプテン・マーベルを責めるのだから、②のS.H.I.E.L.D.にはグースを活用する力がないという仮説が成り立つ。使いたければ自分たちで使えばいいし、これまでのシリーズでもS.H.I.E.L.D.の最終兵器としてその存在に触れられていてもおかしくない。

そして、③にあるように、ニック・フューリーがS.H.I.E.L.D.のオフィスで飼っていたはずのグースをマリア・ヒルは「あなた(キャプテン・マーベル)の猫」と認識している。加えて、ダーシーの「猫飼ってるの?」という質問をキャプテン・マーベルが否定しなかったことからも、グースはキャプテン・マーベルの元にいると考えることができる。

サミュエル・L・ジャクソンが語ったグースのその後

実はニック・フューリーを演じるサミュエル・L・ジャクソンは、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019) 公開に際しての米Fandomのインタビューで「『キャプテン・マーベル』のラストから『アイアンマン』のオープニングまで、グースはどこにいたんですか?」という質問にこう答えている。

ずっと私のオフィスにいましたよ。(作中で)見えなかったとしてもね。ウロウロしてたんですよ。

この発言が公式設定かどうかは微妙なところだが、少なくとも『アイアンマン』(2008) まではグースはニック・フューリーのオフィスに住んでいたそうだ。そして『ホワット・イフ…?』第7話の舞台は『マイティ・ソー』の2011年であり、(本編とは違う世界線とはいえ)この時点でニック・フューリーではなくキャプテン・マーベルがグースの飼い主として扱われている。キャプテン・マーベルの登場をきっかけにしてニック・フューリーが立案したアベンジャーズ計画が始動した2008年から2011年頃の間にグースに何かが起きたようだ。

アベンジャーズやニック・フューリーに色々なことが起きていた間、グースくらいはキャプテン・マーベルのもとで平穏に暮らしていたと思いたいところだが……。

ケヴィン・ファイギが語ったグースのその後

なお、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは2019年に米/Filmのインタビューでの「グースの20年間を描くシリーズをDisney+でやるのはどうですか?」という質問に「いいですね!」と好意的な反応を示している。また、猫の寿命が約15年であることから、グースが既に亡くなっている可能性を問われ、ケヴィン・ファイギは以下のように話している。

猫の場合はね。ですがフラーケンはもっと長く生きるはずです。そしてコミックの設定からも分かる通り、フラーケンは多くの子孫を残します。(「スター・トレック」シリーズの)トリブルではないですが、コミックではたくさん登場する場面がありますよね。ですので、もっとたくさんのフラーケンが存在しているはずです。グースもまだそこにいるかって? そうかもしれませんね。

また、グースはフラーケンが猫の身体を乗っ取った姿ということではなく、フラーケン自体が猫のような見た目をしているということも明かしている。フラーケンの寿命が猫よりは長いことを明言していることから、『キャプテン・マーベル』に登場したグースが本編では30年近く経過した今も同じ姿で生きていることが示唆されている。ケヴィン・ファイギがDisney+でのシリーズ化に好意的な反応を示していることからも、グースの再登場は近いと言っていいだろう。

『ホワット・イフ…?』第7話でグースの名前が2年ぶりに登場したことや、その所在を匂わせるセリフが登場したことには何らかの意味があるはずだ。それでこそMCUというものだろう。『キャプテン・マーベル』続編で2022年11月11日全米公開を予定している『ザ・マーベルズ(原題)』での再登場に期待しよう。

アニメ『ホワット・イフ…?』はDisney+で独占配信中。

『ホワット・イフ…?』(Disney+)

Source
Fandom / /Film

『キャプテン・マーベル』でグースを演じた猫たちについてはこちらに詳しい。

『ホワット・イフ…?』第7話のネタバレ解説はこちらから。

第7話ラストについての徹底考察はこちらから。

第7話でキャプテン・マーベルが見せた一面についての考察はこちらの記事で。

第8話配信直前に公開された第8話のポスターはこちらから。

 

モニカ・ランボー役のテヨナ・パリスが『ザ・マーベルズ』について語った内容はこちらから。

『ザ・マーベルズ』への出演が確実視されているパク・ソジュンが演じるキャラ予想はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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