2023年の世界SF大会は中国で
2021年で第79回目を迎えた世界SF大会(ワールドコン)が、2023年に中国の四川省成都市で開催されることが決まった。米時間2021年12月15日から12月19日まで米ワシントンD.C.とバーチャルで開催中の第79回世界SF大会で、ワールドコン参加者による投票結果が発表され、カナダのマニトバ州ウィニペグを破って成都が2023年の開催地に選ばれた。
2023, see you in Chengdu! pic.twitter.com/N7B5Ad0wJs
— 科幻世界SFW (@sfw_china) December 18, 2021
世界SF大会(ワールドコン)は1939年から続く、WSFS (World Science Fiction Society=世界SF協会) 主催の国際イベント。米国とヨーロッパ、英語圏で開催されることがほとんどで、2021年はワシントンD.C.で開催され、2022年はシカゴ開催が決まっている。2020年はニュージーランドのウェリントンでの開催だったが、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響で全面オンラインで実施された。
ワールドコンは有志のSFファンの手によって運営されており、SFファンが選ぶSF最高賞であるヒューゴー賞の投票資格もワールドコンの参加資格者に付与される。世界から集まった作家、翻訳家、ファン、編集者、SF関係者らによる様々なパネルが数日に渡った開催される他、ヒューゴー賞の授賞式も開催される。
中国 成都へのワールドコン誘致は、成都を拠点に置き、世界で最大規模の読者数を誇る中国のSF誌・科幻世界が中心になって実施されていた。ワールドコンが東アジアで開催されるのは2007年に日本の横浜で開催された第65回大会以来となる。第65回大会のスタッフは現在も日本に2回目のワールドコン招致を目指し、毎年春に海外ゲストも招く“はるこん”を開催している。
第81回大会の開催が決定した中国は、2015年に劉慈欣の『三体』(英訳 ケン・リュウ) でアジアから初のヒューゴー賞長編小説部門の受賞者を輩出した地域でもある。日本でも中国SFの書籍が次々刊行され、『三体』はNetflixドラマ化が決定するなど、中国SFへの注目度は日増しに高まっている。2023年には自由に移動できるようになっていることを願おう。