中国のSF市場は1兆円規模に
北京で開催された2020年の中国SF大会にて、中国のSF産業についての年次報告が行われ、2019年の市場規模 (国内生産額) が明らかになった。新華社通信や中国科普作家協会が具体的な数字を掲載している。これによると、2019年の中国SF全体の市場規模は658.71億元に達したとされている。日本円で約1兆円にのぼる数字で、2018年の456.35億元から44.3% (約3,163億円) 増という驚異的な伸びを記録している。中国に到来している“SFバブル”が改めて具体的な数字として提示されることになった。
SF小説を含む書籍市場については、紙の本と共にデジタル版とオーディオブックも順調に成長を記録。SF書籍の市場規模は20億元 (約314億円) で、2018年から13%の増加となった。これには、2019年2月に公開された中国初のSFブロックバスター映画『流転の地球』の記録的ヒットも貢献したが、その効果は限定的とされている。SFの電子書籍だけで見ると前年比40%、オーディオブックは33%の増加率で、ウェブ小説市場も成長を続けている。2019年に発売されたSFの新刊は385タイトルだという。
2019年のSF映画の興行収入は195億元 (約3,000億円) で、これは中国の年間興業収入総額の約30%を占める額だが、2018年と比べると6.67%の減少となっている。一方で、国産SF映画だけでは2.12倍の興収増となった。全体の数字を牽引したのはSFゲーム市場で、430億元 (約6,721億円) の生産額を記録。『和平精英』は1日平均のアクティブユーザーが5,000万人を記録する人気コンテンツとなっている。ロボット玩具など、12歳以下の子ども向けのおもちゃを含む周辺市場でも約8.5億元 (約133億円) を記録しており、まだまだ伸び代を感じさせる。
なお、2020年10月30日(金)に中国で公開された日本のアニメ映画『デジモン LAST EVOLUTION 絆』は、公開から5日間で興行収入12億円を記録。245万人の観客動員を記録しており、日本のSFコンテンツにとっても、中国は引き続き重要な市場となっていくだろう。
今回の発表が行われた2020年の中国SF大会では、北京にSF産業を集約した“SFシティ”を建設することが発表されたばかり。2021年中にはSFテーマパークの設置も予定されている。中国のSF産業はどこまで成長を続けるのか……そして日本はどこまで追随できるのだろうか。