「SFが次世代の科学者を育成」——中国科学技術協会幹部が語る

ライター

SFが次世代の科学者を育成

中国科学技術協会幹部がAPSFConで発言

2019年5月25日〜26日に北京で開催されたSFコンベンション、APSFCon (Another Planet Science Fiction Convention) にて、SFが科学技術に与える影響について注目を集める発言があった。新華社通信によると、中国科学技術協会の“科学普及部門”トップであるBai Xiは、同コンベンションで登壇し、中国でSFが科学に対する人々の関心を高め、次世代の科学者育成に貢献しているとして、SFが果たしている役割を称賛した。

SF作家に高い評価

Bai Xiは、アジア初のヒューゴー賞受賞作品『三体』の筆者であるリュウ・ジキン (劉慈欣) をはじめとする中国出身のSF作家が同国の若い世代に熱狂をもたらしていることを指摘し、「サイエンス・フィクションは科学の精神を育み、社会の中で思考することを促す役割を担っている」と述べた。また、中国国内の科学リテラシーを2035年までに世界の先進レベルに引き上げ、2050年までに世界トップにまで引き上げることを目標とするとし、その達成のためには、9,100万人の科学者とともにSF作家とアーティストの力が欠かせないと述べた。

中国の驚異的な“SF熱”

南方科技大学の調査によると、2018年上半期の中国でのSF文学の市場規模は約9億元。日本円にして約140億円にのぼる。2017年の年間の同市場規模が約9.7億元 (約150億元) であったことを考慮すれば、驚異的な伸び率だ。2018年上半期の中国のSF映画市場は約95億元 (約1,500億円)。もちろん海外作品の興収も含めた数字だが、中国の“SF熱”が伝わってくる数字である。2019年にはリュウ・ジキン原作の中国産SF大作『流転の地球』が公開、興行収入は700億円を超え、中国映画史上第二位の大ヒットを記録している。8,000万人とも言われる中国のSFファン人口は、今後さらに増えることになるだろう。

米大学も高く評価

なお、現在の中国における“SF黄金期”の火付け役とも言えるリュウ・ジキンは、5月21日に米ブランダイス大学から名誉博士号を授与されている。授与式の場では、同大学の学長から、「思い込みが誤りであると分かり、新たな事実が突如として明らかになった時に、一体何が起こるのか——思考を巡らせるよう世界中の読者を鼓舞した」と称賛を受けた。2018年にアーサー・C・クラーク賞の“イマジネーション・アワード”を受賞した際には、「集団的な想像力を発展に導いている」との賛辞を受けた。SF作品が現実社会に与える影響を高く評価しているのは、中国だけではないということだ。

共に歩むSFと科学

今回のAPSFConには、リュウ・ジキンをはじめとする多数の中国人作家、アメリカからマイクル・スワンウィック、アレン・スティール、カナダからケリー・ロブソン、日本から藤井太洋など、多くのSF作家とSFファンが参加した。中国では2018年9月に“科学リテラシー世界会議”が開催されたが、こちらは中国科学技術協会が主催し、1,500名以上の科学者らが参加している。同時にリュウ・ジキンやロバート・J・ソウヤー、藤井太洋らSF作家も招待され、SFと科学が手を取りあって歩を進めていく姿勢が示されていた。

リュウ・ジキン/劉慈欣の中国SF最高傑作『三体』は、日本語訳が2019年7月4日 (木) に早川書房より発売される。

リュウ・ジキン原作、中国史上初のブロックバスターSF映画『流転の地球』はNetflixで配信中。

『流転の地球』(Netflix)

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via: Netflix
– Source –
XINHUA NET

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