白人シス女性としてトランス・黒人作家を応援する理由——SFファンタジー作家ショーニン・マグワイアが語るVG+ (バゴプラ) | VG+ (バゴプラ)

白人シス女性としてトランス・黒人作家を応援する理由——SFファンタジー作家ショーニン・マグワイアが語る

SFWAが黒人作家への支援策を発表

黒人に対するへの抗議運動が全世界に拡大する中、アメリカSFファンタジー作家協会 (SFWA) も黒人作家をサポートするための行動を開始している。2020年5月末に開催されたネビュラ賞大会における収益の全額を黒人SF作家の団体へ寄付し、黒人作家の来年度の会費を免除するなど、具体的な行動を提示し、更にこれらの対応を「最初の一歩」としている。

一方で、相変わらず著名人によるトランス差別の言説も世間を騒がせている。そんな中、『不思議の国の少女たち』(2016)でネビュラ賞・ヒューゴー賞・ローカス賞の中長編小説部門で三冠を達成した作家、ショーニン・マグワイアのツイートが注目を集めている。

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「黒人作家、トランス作家を後押しすることがなぜ重要か」

ショーニン・マグワイアは2020年6月14日、「よく聞かれる質問」として、以下のように投稿した。

よく聞かれる質問です:

黒人の作家、有色人の作家、そしてトランスの作家を後押しし、地位を高め、具体的にサポートしていくことが、なぜそんなに重要なことなのでしょうか。その作家達がよい本を書いていれば、自然とファンがつくのではないでしょうか。

ショーニン・マグワイアは、この質問は「時に誠意と共に聞かれる」とする。悪意からではなく、ただ無理解によって聞かれるこの質問に対し、ショーニン・マグワイアは以下のように答える。

私は白人でシス女性の作家です。ジャンル小説の分野では、私のデビュー当時は、私にとってはまだまだ不利な状況でした (今はマシですが、それでも確かに不利な状況です)。人々は、私が若い女性だから、私が官能作品を書いていると思い込んでいました。他の同業者のことは認めるのに、私のリサーチは疑われていました。

ある有名な男性SF作家とパネルに参加した際には、その男性作家がリサーチの内容について喝采を浴びる中、ショーニン・マグワイアはリサーチ内容に関する敵意のある質問を投げかけられたという。それ以外にも、「女性だから読まない」「太った女性の本は買わない」と言われたこともあるという。

ショーニン・マグワイアが見せる連帯の姿勢

そして、ショーニン・マグワイアはこうした状況を「大きな出版社がついている白人シス女性」である自分ですらこうした仕打ちを受ける、トランスの作家や有色人種の作家であればどれほどひどい扱いを受けると思うか、と問いかける。ショーニン・マグワイアの答えは、「相当にひどい扱いです」。

“誰が話しているか”ということを理由にして、その声を聞くことを拒む人々は常に存在します。だから、私たちはこうした作家達の声を後押ししなければならないのです。

ショーニン・マグワイアは、「みんなで持ち寄った料理の90%にチーズが入っていたら、チーズが入っていない10%の料理を探し出し、賞賛する必要がある」と例える。そもそもフェアな条件に置かれていない人々がいることから目を逸らすことなく、少しでも状況をよくしようとする努力が必要なのだ。

マーケティングの予算は白人男性に向けられています。女性、有色人種、黒人、トランスジェンダーなど、これらのカテゴリーを横断する人々は皆、”過剰な自己宣伝”を行なっているとして批判されます。

私たちは、特に黒人の作家やトランスの作家の作品を取り上げ、読み、推薦し、批評する必要があります。そうしなければ、それらの本は読まれないかもしれないからです。そうするべきなのです。私たちの文学は、人間の経験の全範囲に及ぶべきです。そうあることができれば、皆にとって、より良い状況になるでしょう。

白人男性中心の社会で差別され、虐げれられる痛みを知るショーニン・マグワイアが示したのは、有色人種の作家たち、トランスジェンダーの作家たちへの連帯の姿勢だった。

もちろん、優位な状況にある男性たちがどのように行動するかも問われる。椅子取りゲームではなく、よりマシな世界を目指し、自分たちの手で作り出すこと——SFWAがその積極的な取り組みを「最初の一歩」と形容するように、私たちは一歩ずつ前に進んでいかなくてはならない。

Source
Seanan McGuire Twitter

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