『第五の季節』N・K・ジェミシンが提示する主人公像——ヒーローとして描かれない人物に焦点VG+ (バゴプラ) | VG+ (バゴプラ)

『第五の季節』N・K・ジェミシンが提示する主人公像——ヒーローとして描かれない人物に焦点

※画像はイメージです。

『第五の季節』は6月12日発売

SF作家のN・K・ジェミシンがヒューゴー賞3連覇を成し遂げたSFシリーズの第一弾『第五の季節』(小野田和子 訳)が2020年6月12日(金)に発売される。小説『第五の季節』は、〈季節〉と呼ばれる天変地異が数百年ごとに到来する世界を舞台に、その災害を抑える力を持つ主人公・エッスンの旅路が描かれる。詳しいあらすじは以下の記事を参照していただきたい。

今回は、N・K・ジェミシンが米PBSに語った内容から、その主人公像に迫ってみよう。N・K・ジェミシンはどのように主人公を設定しているのだろうか。

N・K・ジェミシンの主人公像

PBSのインタビュアーから「この本 (『第五の季節』) で読者にどのような影響を与えたいと考えていましたか?」と問われたN・K・ジェミシンは、以下のように答えている。

私は、すべての作品において、冒険譚や世界を変えるような物語で普通見られないような主人公の姿を探求したいと思っています。ですから今回は、40代の太ったドレッドヘアの黒人女性を中心に据えたいと思ったんです。

誰をモデルにしたんでしょうね (笑)

とにかく、普通は主人公やヒーローとして描かれないような人物を主人公にしたかったんです。

『第五の季節』の主人公であるエッスンは40代の女性で、描写されるその見た目はN・K・ジェミシンとそっくりに設定されている。N・K・ジェミシンはその理由を「普通見られないような主人公の姿を探求したい」と説明する。他の冒険譚では見られない主人公の姿を提示することで、読者に新たな主人公像を提案してくれているのだ。

N・K・ジェミシンは『第五の季節』を皮切りに、ヒューゴー賞3連覇という前人未到の偉業を達成。現在も新たな主人公像を提示し続けている。N・K・ジェミシンが原作を手がけたDCコミックスの「グリーンランタン」シリーズ最新作『Far Sector』(2020-)では、元ニューヨーク市警の黒人女性が主人公に据えられている。2020年3月にOrbitから発売されたN・K・ジェミシンの新たな三部作の第一段『The City We Became』は、“寄せ集めのニューヨーカー5人組”が主人公に据えられた。

『第五の季節』で提示された主人公像については、ぜひその目で確認していただきたい。

N・K・ジェミシン『第五の季節』(小野田和子 訳)は東京創元社より2020年6月12日(金)発売。

東京創元社
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Source
PBS

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