N・K・ジェミシンの新トリロジーがスタート
『第五の季節』から始まる「The Broken Earth」トリロジーで、ヒューゴー賞三連覇を達成したN・K・ジェミシン。早くも新たな三部作「The Great Cities」トリロジーの第一弾がアメリカで刊行される。2020年3月24日にOrbit Booksから発売される『The City We Became』は、近未来のニューヨークを舞台に人種をテーマに扱う作品になるという。
ニューヨークは、普段からN・K・ジェミシンが拠点にする街でもある。2016年から2018年にかけてヒューゴー賞長編小説部門を3年連続で受賞した「The Broken Earth」トリロジーでは、自然災害が激化した地球で、“世界の終わり”と“一人の女性の物語”が同時に描き出された。『The City We Became』から始まる「The Great Cities」トリロジーでは、どのような物語が綴られるのだろうか。
「反人種主義のXメン」
米Publishers Weeklyは『The City We Became』を「反人種主義のXメン」と形容する。アメリカで台頭する白人至上主義を比喩的に描き、寄せ集めのニューヨーカー5人組が街を魔の手から救おうとする物語になるという。N・K・ジェミシンは、現実のニューヨークに溢れる差別感情について、同誌に以下のように話している。
それを無視できる特権を持った人もいます。私はそうではありません。人々がそれに抗い、この街がかつての姿を取り戻すことを望んでいます。私が育った街、私が記憶している街の姿に。しかし、それが実際に起こるかどうかは分かりません。
日本で読めるのは?
3月から新たな三部作がスタートするN・K・ジェミシン。英語版だが「The Great Cities」トリロジーと同じくニューヨークを舞台にした短編「The City Born Great」は、日本のKindleでも購入できる。
また、ヒューゴー賞三連覇を達成した「The Broken Earth」トリロジーの第一弾『第五の季節』は、小野田和子による翻訳で東京創元社から発売される予定。年始に公開された2020年の新刊ラインナップに含まれている。
N・K・ジェミシンは、DCコミックスの「グリーン・ランタン」シリーズの原作を手がける他、2019年には米Essenceが選出する“Woke100”に選ばれている。SF界、文芸界にとどまらず活躍の場を広げていくジェミシンだが、「The Great Cities」トリロジーは新たなSFクラシックとなるのだろうか。
「The Great Cities」トリロジーの第一弾『The City We Became』は米で2020年3月24日発売。