勝山海百合『さざなみの国』が電子書籍で再刊
第23回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した勝山海百合の『さざなみの国』が、Kindleを含む電子書籍で惑星と口笛ブックスから再刊された。
『さざなみの国』は古代中国を舞台にしたファンタジー小説。村の危機を察知した少年さざなみは、猫の黄鶴 (おうかく) と共に旅に出る。馬を愛する甘橘 (かんきつ) や剣の使い手の桑折 (そうせつ) との出会いをはじめ、さざなみの数奇な運命が描かれる。今回再刊された電子書籍版は、第23回日本ファンタジーノベル大賞受賞作に加筆修正を加えたものになる。
装画を手掛けたのは大谷津竜介。大谷津竜介は、勝山海百合が「あれは真珠というものかしら」で大賞を受賞した第一回かぐやSFコンテストでは、「二時限目のチャイム」でHonorable Mention (選外佳作) 入りを果たしている。
『万象ふたたび』『kaze no tanbun 2』も発売中
『さざなみの国』の電子書籍版は「オルタナキュレーション 惑星と口笛」オープン記念として刊行された三作品のうちの一つで、飯野文彦『幻視の本1 悪七夜』と総勢20名の作家による巨大アンソロジー『万象ふたたび』と共に刊行された。『万象ふたたび』には勝山海百合の掌編「あねさまのくつ」も収録されている。
また、西崎憲がプロデュースする短文集シリーズ『kaze no tanbun 移動図書館の子供たち』にも、勝山海百合の「チョコラテ・ベルガ」が収録されている。
勝山海百合は、2006年に「軍馬の帰還」で第4回ビーケーワン怪談大賞、2007年に「竜岩石」で第2回『幽』怪談文学賞短編部門優秀賞、2011年に『さざなみの国』で第23回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した。勝山海百合が第23回日本ファンタジーノベル大賞に応募するまでの経緯は、Kaguya Planetで先行公開しているこちらのインタビュー記事「勝山海百合が語る、てのひら怪談・かぐやSFコンテスト・期待の作家」(Kaguya Planet会員向けに先行配信中)に詳しい。
勝山海百合は2020年に「あれは真珠というものかしら」で第1回かぐやSFコンテストの大賞を受賞すると、同年中にToshiya Kameiによる英訳を中心に10編以上の作品が翻訳され、海外の媒体に掲載された。てのひら怪談作品を中心に英訳が次々公開されており、2月にはInsignia StoriesでToshiya Kameiによる勝山海百合と”てのひら怪談”の紹介記事「Umiyuri Katsuyama, Queen of Tenohira Kaidan」が公開されている。
「Umiyuri Katsuyama, Queen of Tenohira Kaidan」Insignia Stories
また、2月刊行のホラーアンソロジー『Home: An anthology of dark microfiction』には、紅坂紫、大木芙沙子と共にToshiya Kameiによる英訳作品が掲載されている。
今や海外でも活躍を見せる筆者の10年前の名作を今一度楽しもう。
勝山海百合『さざなみの国』の電子書籍版は、惑星と口笛ブックスより2021年2月21日(日)発売。
Kaguya Planetでは勝山海百合へのインタビュー第1弾「『海外の読者は実在する』勝山海百合、2020年を振り返る」を無料公開中。