『ベストSF2021』発売
2020年の「ベストSF」11編を集めた大森望編『ベストSF2021』が、竹書房文庫より2021年11月22日(月)に刊行された。竹書房の《ベスト日本SF》シリーズは2020年からスタート。2019年の優れたSF短編小説11編を収録した『ベストSF2020』に続き、編者の大森望が選ぶ2020年の“ベストイレブン”が収録されている。
『ベストSF2021』には、『異常論文』(早川書房) 刊行のきっかけになった柴田勝家「クランツマンの秘仏」や、『S-Fマガジン2020年8月号 特集 日本SF第七世代へ』に収録されて注目を集めた麦原遙「それでもわたしは永遠に働きたい」、『小説すばる6・7月合併号』に掲載された伴名練「全てのアイドルが老いない世界」など、話題作が並ぶ。
そして、SFメディア バゴプラが主催した第一回かぐやSFコンテストより、初代大賞に輝いた勝山海百合「あれは真珠というものかしら」も選出。同コンテストは「未来の学校」をテーマに2,000字から4,000字のSFショートショートを募集し、416編の応募が集まった(第一回目は一人二編まで応募可)。最終審査では、審査員の全会一致で「あれは真珠というものかしら」が大賞を受賞した。
勝山海百合「あれは真珠というものかしら」は、海馬(うみうま)が学校に通う未来の世界を舞台に、主人公の九年母(くねんぼ)の同級生との出会いと学校生活を描く。約3,500字の中で交差する小さな物語と壮大な背景が魅力。かぐやSFコンテストの賞品としてイーライ・K・P・ウィリアムによる英語訳、田田による中国語訳が発表された後、Toshiya Kameiによるスペイン語訳もキューバ誌とアルゼンチン誌に掲載された。
「あれは真珠というものかしら」執筆の経緯はこちらのインタビューに詳しい。
勝山海百合「あれは真珠というものかしら」をはじめ、2020年を代表するSF短編が揃った『ベストSF2021』の収録作は以下の通り。
円城塔「この小説の誕生」
柴田勝家「クランツマンの秘仏」
柞刈湯葉「人間たちの話」
勝山海百合「あれは真珠というものかしら」
牧野修「馬鹿な奴から死んでいく」
斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」
三方行成「どんでんを返却する」
伴名練「全てのアイドルが老いない世界」
麦原遼「それでもわたしは永遠に働きたい」
藤野可織「いつかたったひとつの最高のかばんで」
堀晃「循環」
大森望編『ベストSF2021』は、竹書房文庫より2021年11月22日(月) 発売。
なお、『ベストSF2021』に「それでもわたしは永遠に働きたい」が収録された麦原遼のSF短編「それはいきなり繋がった」は、Kaguya Planetで無料公開中。
「どんでんを返却する」が収録された三方行成は、第一回かぐやSFコンテストで「未来の自動車学校」が最終候補入りしている。