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『ソニック・ザ・ムービー』公開!
セガの人気ゲームシリーズ「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を実写映画化した『ソニック・ザ・ムービー』。2019年5月のデザイン変更騒動、2020年2月の米公開後のゲーム原作映画史上最高ヒット、日本での同年3月の新型コロナウイルス感染症の影響を受けての劇場公開延期、日本公開前の続編製作決定と、話題に事欠かない本作だが、遂に2020年6月26日(金)に日本でも劇場公開となった。
日本生まれの #ソニック が
ハリウッド映画になって
ついに日本上陸👍❗️映画『ソニック・ザ・ムービー』
🦔💨💫本日公開🦔💨💫パワーアップ💪したソニックの
大活躍を見逃すな💥#映画ソニック pic.twitter.com/2osAE3L2rH— 『ソニック・ザ・ムービー』公式 (@Sonic_MovieJP) June 25, 2020
ジム・キャリー、ジェームズ・マースデンをはじめとする豪華出演者もさることながら、注目はその音楽だ。今回は、『ソニック・ザ・ムービー』で流れた全曲を解説付きで紹介しよう。
『ソニック・ザ・ムービー』で流れた曲まとめ
ソニックの故郷で流れる「Friends」
ソニックが生まれ育った島を紹介するシーン。原作ゲームのステージを再現したこの場面で流れているのはHyper Potionsの「Friends」(2017)。Hyper Potionsは、Ian “Sushi Killer” Tsuchiura と Kevin Villecco によるEDMユニットで、「Friends」2017年に発売されたゲーム『ソニックマニア』の曲として知られている。冒頭から原作ゲームへのリスペクトを示した選曲だと言える。
ソニックの洞窟で「Don’t Stop Me Now」
ソニックが自宅である洞窟を紹介するシーン。一人で「フラッシュ」のコミックを読んだり、卓球をしたり、地球での生活を満喫するソニックの様子と共に、クイーンの「Don’t Stop Me Now」(1979)が流れている。
「Don’t Stop Me Now」では「光の速さで駆け回る」「スーパーソニックマン (超音速人間) を生み出そう」と、ソニックというキャラクターにぴったりの歌詞が並んでいる。だが、このシーンで重要なのは、「止めないで、楽しんでるんだから」という箇所だろう。追われないように身を隠して生活しているが、ソニックは地球での生活を楽しんでいるのだ。
なお、クイーンの「Don’t Stop Me Now」は、映画『シャザム!』(2019)でも、シャザムが自分のスーパーパワーを試していくシーンで使用されている。
ロードハウスで「All Fired Up」
トムとソニックの旅が始まった夜、“ロードハウス” (日本で言うところのサービスエリア) に立ち寄ったシーン。車で待つソニックがバイク乗りたちの集まりを見つけるシーンで、The Lazysの「All Fired Up」(2010)が流れる。The Lazysはオーストラリアのハードロックバンドで、「All Fired Up」では「我を忘れる準備はいいか」と、この後ハメを外すソニックの行動が示唆されている。
バーから流れる「White Lightning」
バーから流れているのはTennessee River Crooksの「White Lightning」(1976)。「ガソリンはキレそう、エンジンも悲鳴を上げている」「追い剥ぎが追いかけてくるよ」と、追われる身となった二人の状況を表現している。ちなみに「White Lightning」とは”密造酒”を意味する言葉だ。
“バケツリスト”のシーンで「Bad News」
ソニックが地球でやりたいことのリスト=バケツリストをトムと一緒に達成していくシーン、ダーツにロデオに興じる二人のバックで流れているのはGhost Houndsの「Bad News」(2019)。「悪い噂を聞いただろう」「ママは私を問題児だと呼んだ」「そう、私はすぐに伝わるバッドニュース」と歌われている。
バーの喧嘩シーンで「BOOM」
二人が立ち寄ったバーでは、案の定ケンカが始まる。ソニックが音速で行動し、周囲がスロー再生になる場面、ここではX・アンバサダーズの「BOOM」(2019)が流れている。X・アンバサダーズは2009年に結成されたアメリカのロックバンドで、2015年に発表したファーストアルバム『VHS』で高い評価を得ている。
「BOOM」は2019年に発表したセカンドアルバム『Orion』からのファーストカットシングルで、「私の足はブーン、ブーン、ブーン」「私のハートはブーン、ブーン、ブーン」「ハイスピードで行こう、ズーム、ズーム、ズーム」とスピード感のある歌詞が並べられている。一方で、「ずっと古い靴を履いていても、アティチュードは最新版」と、ボロボロになった靴を履き続けながらも、クールな姿勢を見失わないソニックというキャラクターを表現している。
ロボトニックのダンスシーンで「Where Evil Grows」
映画『ソニック・ザ・ムービー』におけるハイライトのひとつ、ドクター・ロボトニックのダンス (研究) シーンで流れている音楽は、The Poppy Familyの「Where Evil Grows」(1971)。“Evil Lab=悪の研究所”で流れるこの曲では、「悪は暗闇で育つ」「決して日の当たらないところ」「ひびの中や穴の中で育つ」「そして人々の心の中で生きる」と歌われている。
なお、The Poppy Familyはカナダのポップグループだが、ドクター・ロボトニックを演じたジム・キャリーも、カナダ生まれの俳優/コメディアンだ。
ビルからの落下シーンで「Catch Me I’m Falling」
ソニックがトムとマディーをビルから突き落とし、ドローンを倒すシーンで流れているのはKelly Finniganの「Catch Me I’m Falling」(2018)。「私は (恋に) 落ちている」という歌詞と二人が落ちていくシーンを重ね合わせている。更に「こんなに早く起きるなんて」「良い時間は長くは続かない」「私の手を掴んで」と、せっかく友達ができたのに別れが迫っているソニックの心情も表現されている。
エンディングで流れる「Speed Me Up」
映画『ソニック・ザ・ムービー』の主題歌で、エンドクレジットのシーンで流れている曲は、ウィズ・カリファ、タイ・ダラー・サイン、リル・ヨッティ、スエコ・ザ・チャイルドによる「Speed Me Up」(2020)。この映画のために書き下ろされた楽曲で、ミュージックビデオもゲーム版のソニックとコラボした16bitの映像が採用されている。プロデュースを手がけたのはリル・ナズ・X、YBNコーデー、ビッグ・ショーンで構成されるTake A Daytrip。
大スターたちがコラボしたこの曲では、「金のリングとアワードの数々が見えるだろ」「痛みには慣れてる、でも君のことは手放したくない」「だから私は走る、ペースを保ったまま」「やつらのおかげで私のスピードは上がっていくんだ」と歌われている。
「私は六つのリングを指にしている」「私の肌は輝いてる、奴らはモノクロにしてしまおう」「私をレブロン (・ジェームズ) だと思ってリングをはめてよ」と、各ラッパーが“ソニック”をお題にしたワードプレイに勤しむ中、リル・ヨッティは「親友の名前はテイルス」となかなかストレートなリリックを披露している。
なお、『ソニック・ザ・ムービー』の公開前までゲーム原作映画における最高興行収入記録を保持していた『名探偵ピカチュウ』(2019)では、ヒップホップグループHONEST BOYZとリル・ウージー・ヴァートがテーマ曲を担当した。アメリカではゲームカルチャーとストリートカルチャーの距離は近く、ゲーム原作映画のテーマ曲をヒップホップアーティストが担当する流れは今後も続きそうだ。
映画『ソニック・ザ・ムービー』のサウンドトラックはRambling Recordsより発売中。
『ソニック・ザ・ムービー』は2020年6月26日(金)より全国で公開。