世界66カ国で1位
2019年10月4日(金)に封切りとなった映画『ジョーカー』は、オープニングの週末を終え、アメリカと日本を含む世界66カ国で興行収入1位を記録。アメリカでは10月公開映画のオープニング興収記録を樹立するなど、“ジョーカー旋風”を巻き起こしている。
🃏全世界週末興行収入No.1
🃏全米週末興収10月度
歴代新記録樹立(10/4~6)<悪のカリスマ>が、映画史を塗り替える‼
『#ジョーカー』大絶賛上映中🤡 pic.twitter.com/TbhZxlvp2p
— DC公式 (@dc_jp) October 10, 2019
リピーターも続出し、SNSが様々な考察で溢れる中、トッド・フィリップス監督や主役のアーサーを演じたホアキン・フェニックスらの口から徐々に『ジョーカー』の隠された設定が語られている。ホアキン・フェニックスはアーサーの幼少時代について触れ、地下鉄のシーンとの関連を明らかにした。
以下の内容は、映画『ジョーカー』の内容に関するネタバレを含みます。
使い分けていた“笑い方”
今回は、アーサーの“笑い方”にスポットライトを当ててみよう。米ロサンゼルス・タイムズのインタビューに答えたトッド・フィリップス監督は、アーサーの笑い方は3種類存在していたと語っている。
映画 (『ジョーカー』) には、異なる笑い方が存在しているんです。一つはアーサーの病気から起こる笑い、もう一つはアーサーが“世間の一部”であろうとする作り笑いです。これは私のお気に入りです。しかし最後に彼がアーカム州立病院の一室で見せる笑い、あれは映画の中で唯一の彼の“純粋な笑い”なんです。
アーサーが笑顔や微笑みを見せるシーンはいくつかあるが、声を上げる笑い方としては、トッド・フィリップス監督が述べた3つの笑い方しか存在していなかったのだという。
病気から起こる笑い
アーサーは笑いが止まらなくなる病気を患っており、ストレス下に置かれた時に、トッド・フィリップス監督が最初に挙げた笑い方が登場する。バスで笑わせていた子供の母親に無下に扱われた時、トーマス・ウェインに母を貶められた時など、笑いたい訳ではないのに笑い声をあげてしまい、状況が更に悪化する。アーサーは自身の病気について説明するカードを持ち歩いているが、いつも他人にこのカードを見てもらえるわけではない。この病気は幼少の頃に受けた虐待の後遺症だが、アーサーの生きづらさの理由の一つとなっている。
“Joaquin Phoenix is astonishing.” – #JokerMovie – in theaters October 4. pic.twitter.com/C2UdEkGT31
— Joker Movie (@jokermovie) September 21, 2019
世間の一部であろうとする笑い
トッド・フィリップス監督が挙げたもう一つの笑い方は、「“世間の一部”であろうとする作り笑い」だ。これはショーパプでコメディアンのネタを聴きながらノートを取るシーンや、ピエロ派遣会社の同僚たちと話すシーンで見られる。劇中には、アーサーがノートに「精神疾患を持つ人々にとって最も辛いものは、“普通のようにしてろ”と訴えてくる人々の目」と綴るシーンも登場する。公衆の場で笑い声をあげていたアーサーは、あくまで周りに溶け込もうと笑い声をあげていたのであり、決して心から笑っていたわけではなかったのだ。
純粋な笑い
そして、トッド・フィリップス監督が映画『ジョーカー』におけるアーサーの「唯一の純粋な笑い」と表現したのが、最後のカウンセリングのシーンにおける笑い方だ。笑いが止まらないといった様子で笑い続けるアーサーは、思いついたジョークを「理解できないさ」と言い、カウンセラーを突き放す。この時のアーサーはメイクをしていないが、中身は完全にジョーカーになっている。ラストシーンで初めて登場した、つまり劇中で唯一見せたというアーサーの“純粋な笑い”——これが何を意味しているかについては、トッド・フィリップス監督は詳細を語っていない。
“笑い”の演技の苦労
また、アーサーを演じたホアキン・フェニックス自身は、Entertainment Tonightのインタビューで、『ジョーカー』での“笑い”の演技について以下のように語っている。
理由が何であれ、自然と良い笑いが出てくることもあれば、苦労したシーンもありました。一回で上手くいったかと思えば、次はダメだったり。つまりそれは、“生きた笑い”になっているかどうか、ということだったのだと思います。
その完成度とは裏腹に、演じたホアキン・フェニックス自身は相当に苦労しながら演じ続けていたようだ。
世界中で様々な議論を巻き起こしている『ジョーカー』。トッド・フィリップス監督、ホアキン・フェニックスらから、製作の意図が徐々に語られているが、その全容が解明される日は来るのだろうか。