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映画『ジョーカー』公開!
2019年10月4日(金)、映画『ジョーカー』が公開された。「ハングオーバー」シリーズなどのコメディ作品で知られるトッド・フィリップス監督が指揮を執り、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(2005)、『ザ・マスター』(2012) などの作品で知られるホアキン・フェニックスが主演を務めた。
「バットマン」シリーズに登場する稀代のスーパーヴィラン・ジョーカーのオリジンを描く作品とあって、『ジョーカー』には公開前から大きな期待と不安が寄せられていた。しかし、蓋を開けてみれば、公開前夜の興行成績は10月最高を記録。2019年10月6日現在、IMDbでは10万人を超えるレビューで10点中9.1点というハイスコアを記録している。
音楽で魅了
映画『ジョーカー』では、数々の往年の名曲が使用され、その音楽でも観客を魅了している。そして、何よりも印象的なのは、その音楽に合わせて踊るホアキン・フェニックスの姿だ。
ダンスのモデルはレイ・ボルジャー
『ジョーカー』で振付を担当したのは、振付師のマイケル・アーノルド。彼はホアキン・フェニックスに大量の動画を見せ、ホアキン・フェニックスはそれを参考にジョーカー像を作り出していったのだという。中でも『オズの魔法使』(1939) でカカシのハンクを演じた歌手で俳優のレイ・ボルジャーからの影響が大きく、1957年にボルジャーの「The Old Soft Shoe」でのパフォーマンスは、ホアキン・フェニックスが「そのまま参考にした」と話すほど。
ほとんどのシーンでは即興で踊っていた
一方で、ダンス経験者でもあるホアキン・フェニックス。映画『ジョーカー』の多くのダンスシーンは即興で踊っていたという。劇中でハッキリと振付が設定されていたのはアーサーが“ピエロとして踊るシーン”と“階段のシーン”だけ。“トイレのシーン”は、もともとは凶器を隠す場所を探すだけのシーンだったが、ホアキン・フェニックスの提案で踊りを取り入れることになっている。トッド・フィリップス監督はカメラマン以外はトイレを出るよう指示し、このシーンはたった3人で撮影されたのだという。
このシーンで流れる音楽がどのように生まれたのかについては、以下の記事からご確認いただきたい。
バックグラウンドにはブレイクダンス
もちろんこのシーンの踊りもホアキン・フェニックスの即興だったのだが、彼のダンスのバックグラウンドにはブレイクダンスの経験がある。有名司会者ジミー・キンメルのコメディショー『ジミー・キンメル・ライブ!』に出演したホアキン・フェニックスは、ダンス経験を聞かれ、「まぁね」とはぐらかしつつも、「得意分野は、多分ブレイクダンスだと思います」と話している。
ストリート仕込みのダンススキル
俳優一家に育ったホアキン・フェニックスは、幼少の頃から歌とダンスに慣れ親しんでいた。だが、大家族だった一家は裕福な方ではなく、後に俳優として活躍するリバー・フェニックスやレイン・フェニックスら兄弟姉妹と街頭でパフォーマンスを行い、日銭を稼いでいた。この時、ホアキン・フェニックスはブレイクダンスを熱心に練習し、ストリート仕込みのダンススキルを身に付けたのだ。
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— Joker Movie (@jokermovie) October 4, 2019
ブレイクダンスは自己表現
一方で、『ジミー・キンメル・ライブ!』では、ブレイクダンスに取り組むことは「自分のため」だったと話している。気が乗らないことや周囲の声から自分を守るために一人で踊り、自己表現することもあったのだとか。同番組ではジミー・キンメルがこの話を茶化し、観客が笑い声をあげる場面も。ホアキン・フェニックスは「あなたは笑うかもしれませんが、私にとっては大事な時間でした」とつぶやいている。
ホアキン・フェニックスにとって、ダンスは自己表現の手段として特別な意味を持っていたことが分かる。そして、彼のダンスなしには『ジョーカー』という作品は成り立たなかったと言っても過言ではないだろう。
Source
Vanity Fair / AP News / Jimmy Kimmel Live