『インデペンデンス・デイ』監督がSF映画を語る、上海国際映画祭が開催
中国で第22回上海国際映画祭が開催され、世界中から映画関係者が集結した。その中には『インデペンデンス・デイ』(1996) で知られるローランド・エメリッヒ監督の姿も。”SFとテクノロジー”をテーマにしたパネルディスカッションに登壇すると、中国初のブロックバスターSF映画『流転の地球』を称賛した。Varietyをはじめとする各誌が伝えている。
『流転の地球』の”中国らしさ”
SF映画界の巨匠として知られるローランド・エメリッヒ監督は、2019年6月時点で年間第3位興行収入を記録している『流転の地球』について、以下のように語った。
(『流転の地球』が) 上手くいった理由はハッキリしていますよ。多彩な映像効果に、高いクオリティ、そしてとても”中国らしい”作品だったからです。一人の人間の物語ではなく、集団としての人々の物語でした。
確かに、これまでのアメリカ内でのレビューでも、『流転の地球』はハリウッドからは生まれない発想でストーリーが展開していく、という意見が多く見られた。非西洋的な発想も成功の要因になったと、エメリッヒ監督は分析しているようだ。
豪華な面々がSFを語る
2019年の上海国際映画祭には、『インセプション』(2010)『インターステラー』(2014)でアカデミー視覚効果賞を受賞した視覚効果スーパーバイザーのポール・フランクリンや、『トゥーム・レイダー』(2001)で知られるサイモン・ウェスト監督も登場。SF映画における視覚効果やポストプロダクションについて議論が交わされている。ポール・フランクリンは『流転の地球』を「素晴らしい映画だった」と称賛。以下のように表した。
西洋で作られる映画とは全く異なるものでしたが、それによって質が損なわれているわけではありませんでした。(中略)SFは世界の共通言語です。しかし、『流転の地球』は中国について私の知らないことを教えてくれました。そうした観点で考えると、中国のSFは非常に力強いものになりそうです。
SF映画はよりグローバルに
そして、ローランド・エメリッヒ監督は『流転の地球』が「SF映画がグローバルに発展していけることを示した」と話す。
中国人にもドイツ人にも、そしてアメリカ人にとっても魅力的なSFのストーリーというものはあります。今後、(SF映画は) ハリウッドだけのものではなく、よりグローバルなものになっていくでしょう。
6月にはNetflixで配信を開始したオーストラリア発のSF映画『アイ・アム・マザー』も注目を集めた。二人の女性と一体のドロイドだけで展開される密室劇は、ハリウッドや中国のように大型の予算を組まずとも質の高いSFが生み出せることを証明している。一方で、2020年にはロシアSF最新作『アトラクション2』が公開される。『流転の地球』を皮切りに、各国のSF映画が注目される流れが生まれつつある。
フラント・グォ監督は次作に向けて…
なお、第22回上海国際映画祭には、『流転の地球』のフラント・グォ監督も登場。同作における「多くの誤り」に対して寛容であってくれた、と観客に謝意を表明した。『流転の地球』の劇場上映が終わり、Netflixで全世界に配信されている現在、グォ監督は調査会社の手を借りて視聴者からの評価を収集しているという。小道具やコスチュームも含め、何が好評で何が不評だったのか、詳細なデータを集めている。すでに次の製作を見据えた”復習”の作業に入っているようだ。
中国初のSFブロックバスター映画『流転の地球』はNetflixで配信中。
Source
Variety / The Hollywood Reporter