ネタバレ解説 『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』 40年分の愛 ラスト考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説 『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』 40年分の愛 ラスト考察&感想

ソニー・ピクチャーズ

Who you gonna call? 『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』

1984年に公開された第1作『ゴーストバスターズ』からはじまり、リメイクや正統続編である『ゴーストバスターズ/アフターライフ』などが創られ続けてきた「ゴーストバスターズ」シリーズ。第1作と第2作で監督を務めたアイヴァン・ライトマンは鬼籍に入ってしまったが、その意志は息子のジェイソン・ライトマンに受け継がれた。

第1作から続くゴーストバスターズの意思を継いだスタッフたちによる「ゴーストバスターズ」シリーズ最新作の『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』が2024年3月29日(金)に公開された。本記事では『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』のネタバレ解説と考察、感想を述べていこう。なお、本記事は『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』の内容に関するネタバレを含みます。

新旧ゴーストバスターズそろい踏み

40年という歳月

オクラホマ州サマーヴィルでの破壊神ゴーザとの戦いの経験を経て、イゴン・スペングラー博士の意志を受け継ぎ、ゴーストバスターズとして活動する道を選んだスペングラー一家とゲイリー・グルーバーソンたち。新生ゴーストバスターズはニューヨーク州マンハッタンに引っ越して下水龍〈ゴーストドラゴン〉の捕獲など活躍するが、それに比例するように街に損害も出してしまっていた。

その損害の被害額は『ゴーストバスターズ2』(1984)で起きたヴィーゴ大公の亡霊による動く自由の女神像以来の規模に達している。『ゴーストバスターズ/アフターライフ』では第1作『ゴーストバスターズ』の正統続編であることを描いていたが、『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』は『ゴーストバスターズ2』の正統続編でもあることが考察できる。

市長になっていたのはゴーストバスターズを目の敵にする環境保護局の小役人のウォルター・ペックだった。ペックはフィービーの年齢が15歳であることから、ゴーストバスターズにフィービーが参加することは児童労働か、搾取だと言う。このことからも『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』のテーマの1つが年齢だと考察できる。

レイモンド・“レイ”・スタンツ博士はかつての仲間であるウィンストン・“ゼド”・ゼドモアから、もう老後の身だと言われてしまう。最初のニューヨークでのゴーストバスターズの活躍から40年が経ち、世界は変わった。それでもレイはフィービーの友人のポッドキャストと共に呪物集めのインフルエンサーを行なっていた。

フィービーとトレヴァーは大人扱いしてほしい年頃だが、ゴーストを捕まえるという危険な仕事も相まって子供扱いのままだ。ゲイリーは大人だが、スペングラー一家ではないという微妙な立場から2人をうまく注意できない。誰もが皆、年齢の変化に伴う社会との向き合い方に悩んでいた。一番うまく向き合えたのはゼドだと考察できる。

ゴーストバスターズ本部は老朽化し、屋根裏にはスライマーが巣を作っている有り様だった。それに対してゼドは私財を投げ打ってニュージャージー州の水族館を新たなゴースト研究所に改装し、後進の育成に努めていた。そこではレイの集めた呪物からゴーストを抽出する装置荷電陽子バリアによるゴースト専用の檻を使ったゴーストの捕獲などが行なわれていた。更にはゴーストバスターズ本部よりも巨大な保管庫まで完備しており、ゼドは前線を退き、監督者の立場に就いていた。

ゴーストオーブとメロディ

70歳を越えても超常現象研究を続けるレイのもとに、ナディームという人物が真鍮製でメゾアラビア系の文字が彫られた球体“ゴーストオーブ”を持ち込む。ナディームは祖母から譲り受けた遺産を手っ取り早く金に換えたいようだった。それを安値で買い取るレイだったが、ゴーストオーブはPKEメーターを破壊するほどの反応を示していた。レイはそれをゼドのもとに持っていくことを決める。

レイがゴーストバスターズのECTO-1が走るのを見てかつての栄光を懐かしむ頃、年齢を理由に置いて行かれたフィービーは夜の公園でチェスをしていた。そうすると相手の駒が勝手に動き出す。『ゴーストバスターズ/アフターライフ』ではイゴンの霊がチェスの駒を動かし、フィービーに危険を知らせていた。『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』でチェスの駒を動かしたのはアパート火災で死亡した16歳のゴーストのメロディだった。

持ち物はマッチ箱だけで、永遠に16歳のままで家族にも会えず、現世に留まり続けるメロディに対してフィービーは親近感を覚える。しかし、2人の間には次元の壁という隔たりがあり、メロディは目の前にいるのにもかかわらず、触れることのできない遠い存在だった。この世から去る感覚について尋ねてくるメロディに、フィービーはイゴンが消えたときのことを話す。それは量子が解けて別の宇宙に去るようなものだと語った。

古代のゴーストバスターズ“ファイアーマスター”

ゴーストオーブはゴースト研究所で、封印されたゴーストの抽出を試みられていたが、瞬く間に周囲が凍り付き、ゴーストの檻が解き放たれる。保管庫には凍結でひびが入り、一部のゴーストが自由になった。ゴーストオーブは0ケルビンで、なおかつ不可思議な言葉でゴーストたちをマインドコントロールしていることが明らかになる。

トレヴァーたちはナディームの自宅を訪ねるが、ナディームの祖母が遺した部屋は真鍮で覆われ、数多くの呪物と角、更には真鍮製の鎧が保管されている。その上、ゴーストオーブからの発せられる言葉が漏れないように消音加工まで施されていた。それを見てナディームの血筋に何か意味があると考察する。ナディームの調査を依頼されたのは超心理学の専門家であり、ゴーストバスターズでもあったピーター・ヴェンクマン博士だった。

一方、フィービーたちはゴーストオーブの発する言葉について図書館で働くワルツキー博士のもとを訪ねる。ワルツキー博士はこの言葉が何千年も前に使われなくなった言葉だと突き止め、ゴーストオーブは邪神ガラッカが封印されていると解説した。

ワルツキー博士の解説曰く、邪神ガラッカは恐怖心を利用した“クシャリト・ウモティ”、別名“デス・チル”によってすべてを凍らせる存在だ。しかし、流浪の超能力者たちファイアーマスターによって力の源である角を奪われて封印されたとのことだった。

ナディームはファイアーマスターの子孫であり、ナディームの祖母は邪神ガラッカの呪物を封印し続けていたのだ。ファイアーマスターの血を引いているため、ナディームの感情に周囲の炎が反応している。彼は何も知らず邪神の魂を売り渡してしまったが、ナディームは無自覚な発火能力“パイロキネシス”の持ち主だった。

解散の危機

1904年のマンハッタン冒険者組合が遺したガラッカに関する呪文を録音していた蝋管を再生するが、そのとき逃げ出していた無機物に取り憑くポゼッサーが現われる。ポゼッサーの目的は蝋管だ。フィービーたちはポゼッサーを追いかけるが捕獲に失敗してしまう。

フィービーたちはポゼッサーの捕獲の失敗どころか、白バイにサイドカーの付いた専用車両ECTO-Cのプロトンパックでニューヨーク図書館の前のライオンの石像を破壊してしまった。フィービーは警察に捕らえられ、ペックからゴーストバスターズ解散を言い渡されてしまう。その頃、レイもゼドから年齢を理由に引退を迫られていた。

警察署での出来事でゴーストバスターズだけではなく、スペングラー一家も解散の危機に陥る。ゲイリーはフィービーに自分の経験を踏まえて説教をするが、それも虚しく、フィービーは家族のもとを離れてゴーストバスターズ本部を抜け出し、メロディのもとに向っていた。

凍結する真夏のニューヨーク

ガラッカの目的

フィービーはメロディのもとに向い、メロディと触れ合うためにゴースト研究所へと赴く。フィービーの計画とは、呪物からゴーストを抽出する装置を使って自分の魂を体から抜き取り、それによって幽体離脱して一時的にゴーストになるというものだった。ゴーストとなり、メロディと触れ合おうとするフィービーだったが、そこにはガラッカの計画が絡んでいた。

かつてゴーストの軍団を操ったガラッカはファイアーマスターによって封印された。その封印を解くためには人間の言葉で呪文を唱える必要があるが、ガラッカが操れるのはゴーストだけだった。そのため、生きてはいるが魂の無い幽体離脱した人間が必要だった。フィービーが狙われたのは、幽体離脱に挑むような勇気と知識を持った人物が彼女ぐらいしかいなかったためだと考察できる。

ガラッカに操られて呪文を唱えてしまうフィービー。それによってゴーストオーブが解放されてしまう。ラッキー・ドミンゴが危機一髪のところ助けに来るが、それも無駄だった。邪神ガラッカは復活し、プロトンパックのレーザーを凍らせ、ラッキーを凍死寸前にまで追い込む。

『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』の原題は『Ghostbusters: Frozen Empire』であり、“凍った帝国”というのは邪神ガラッカの復活とゴースト軍団による帝国の再建を意味していたと考察できる。ガラッカはナディームの家から角を奪い、完全復活を果たしてニューヨークを凍結させていく。

ニューヨークにはエンパイアステートビルといった名所も存在している。そのため、“凍った帝国”はニューヨークの凍結のダブルミーニングだと考察できる。ガラッカの計画はゴーストバスターズが40年かけて捕まえてきた保管庫のゴーストで軍団をつくることだった。

新旧ゴーストバスターズ

邪神ガラッカが解放されたことを知るゴーストバスターズだったが、ガラッカにはプロトンパックのレーザーが通用しない。頼みの綱であるナディームのパイロキネシスは、ライターの灯を蝋燭に移動させる程度だ。新型プロトンパックでも対抗できるかどうかはわからない。フィービーは伝承をもとに小型の原子炉を真鍮製のものに作り替えていた。

真鍮は太古の昔より聖性を持つとされている。『ランプの魔人』などの伝承に登場するアラブの精霊ジンを閉じ込めていたのも真鍮製のものだったとされているほどだ。日本でも真鍮は仏具に用いられ、ヨーロッパでは教会に送られるプレートの材料に用いられている。

真鍮は融点が比較的低く、水気に強いため多くの場所で使われた。また、火花が出にくいため火気厳禁の場所で用いられた。フィービーがプロトンパックの材料に使ったのはゴーストバスターズの歴史的な象徴でもある消防署の滑り棒だった。

フィービーが準備をしている間、消防署のドアを誰かが叩く。レイ、ゼド、ジャニーン・メルニッツは身構えるが、その音の主はヴェンクマンだった。レイ、ゼド、ジャニーン、ヴェンクマン、キャリー、ゲイリー、トレヴァー、フィービー、ラッキー、ポッドキャストと新旧ゴーストバスターズが揃い踏みした瞬間だった。

ファイアーマスターのへの覚醒

ポルターガイストのポゼッサーがECTO-1に取り憑き、ゴーストバスターズ本部で暴れまわる。ポゼッサーは紙飛行機に取り憑いて2階まで上がるとトレヴァーたちが持っていたプロトンパックに取り憑き、レーザーを乱射させた。レーザーが人々を襲うが、その瞬間にレーザーが曲がって窓の外に飛び出していく。レーザーを操っていたのはナディームだった。

ナディームのパイロキネシスが目覚め、プロトンパックのレーザーを操ったのだった。パイロキネシスに目覚めたファイアーマスターのナディームには流石に分が悪かったのか、ポゼッサーはピザに取り憑いて逃げようとする。しかし、選んだものが悪かった。ピザはスライマーの大好物で、ポゼッサーはスライマーにピザごと食べられてしまった。

ガラッカとの対決

ゴーストバスターズ本部にメロディが現われ、ただ家族に会いたかっただけだと釈明する。フィービーは自分の家族はまだ生きていると語り、ガラッカに騙されずに前に進むように説く。角を取り戻して力を取り戻したガラッカがゴーストバスターズ本部に突入してくる。真鍮製の鎧を着たナディームが立ち向かおうとするが、練習のし過ぎで火種のライターが燃料切れになっていた。

ガラッカによって保管庫が破られ、光の柱がゴーストバスターズ本部から天へと上る。そして捕えてきた40年分のゴーストたちがニューヨークに放たれる。氷柱によって動けないゴーストバスターズたちだったが、唯一無事なフィービーが真鍮製のプロトンパックのレーザーでガラッカを食い止める。だが、それも長くは続かない。フィービーへガラッカの手が伸びていく。

そのとき、マッチをこする音がする。メロディが自分の意志でガラッカに反抗したのだ。その火種をもとにナディームが炎を放ち、真鍮製のプロトンパックのレーザーとナディームの炎によってガラッカは取り押さえられる。孤軍奮闘していたフィービーをキャリーとトレヴァー、そしてゲイリーが支える。解散寸前だったスペングラー一家がゲイリーも合わせて再集結した瞬間だ。

しかし、ガラッカを封印しようにも既存のゴーストトラップではサイズが小さすぎる。そこでオリジナルのゴーストバスターズのメンバーは、ガラッカが空にした保管庫をゴーストトラップにすることを思いついた。そして、レイはゼドに自分たちの老後はこれだと言い、全員でスイッチを入れた。それによってガラッカは保管庫の中へと吸い込まれていった。

ガラッカが封印された後、メロディは光になっていく。フィービーに別れを告げるメロディは「いつか宇宙のどこかで会おう」と言い残し、この世を去った。そうして、邪神ガラッカによる一連の騒動は幕を閉じたのである。

Who you gonna call?

邪神ガラッカが封印されたことでニューヨークに猛暑が帰って来た。ゴーストバスターズの偉業に対し、市民たちからゴーストバスターズコールが鳴り止まない。ペックが文句を言おうとしたが、オリジナルのゴーストバスターズに上手いこと言いくるめられ、マスメディアに「ガラッカの封印にはフィービーと新ゴーストバスターズの力無しでは成しえなかった」と言わされてしまう。

平和は一瞬にして終わる。40年分のゴーストが自由になり、スライマーや下水龍〈ゴーストドラゴン〉がニューヨークの空を飛んでいた。このようなとき誰を呼ぶのか。ゴーストバスターズだ。トレヴァーは車の運転を任せられて大人扱いされる。そしてゲイリーはフィービーに父親と呼ばれてスペングラー一家の仲間入りをする。

『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』は第1作『ゴーストバスターズ』から続く遺産を受け継ぎ、オリジナルのゴーストバスターズとの協力する姿を描いてみせた。これは映画外でも同じことであり、脚本と制作を担当するジェイソン・ライトマンは「ゴーストバスターズ」シリーズを、『ゴーストバスターズ』と『ゴーストバスターズ2』の監督である父親のアイヴァン・ライトマンから受け継いだ家業だと評している。

スペングラー一家とライトマン一家が受け継ぐゴーストバスターズという家業が重なる。そうして生み出された『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』は40年分の作品への愛が込められたものとなった。そして若くして挑戦する勇気と、年をとっても何でもできるというメッセージが観客に深く突き刺さるものとなっていると考察できる。

しかし、『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』の世界では40年分のゴーストが解き放たれてしまった。スペングラー一家が再びゴーストと対決することに期待だ。

『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』は2024年3月29日(金)より全国公開。

『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』公式サイト

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』を含めた「ゴーストバスターズ」シリーズは現在配信中

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『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のキャストと吹替声優はこちらから。

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のネタバレ感想と考察はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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