『ジョーカー』監督「映画は社会の鏡」 作品の定義は観客にゆだねる

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映画『ジョーカー』が10月4日 (金) 公開

大道芸人として暮らすアーサ・フレックが、狂気に満ちた“ジョーカー”に変貌していく姿を描く映画『ジョーカー』が、2019年10月4日 (金) に日米で同時公開される。『ジョーカー』の公開を巡っては、過去に起きた事件の影響からアメリカ社会全体が敏感になっている。

『ダークナイト ライジング』(2012) 公開時にコロラド州オーロラで発生した銃乱射事件において犯人が「ジョーカー」を名乗っていたとの報道があった (その後、警察側はこの供述があった自体を否定している) ことから、同事件が発生した劇場での公開が見送られた他、ワーナー・ブラザースに改めて支援を求める遺族の声明も発表されている。ロス市警は「明らかな脅威はない」としながらも、公開時には「映画館周辺の警備に注意を払う」としている。

「映画は社会を映す鏡」

「映画は暴力を誘発するのか」という表現をめぐる論争にまで発展しつつある映画『ジョーカー』。観客はどのようにこの映画を楽しむことができるのだろうか。『ジョーカー』の監督を務めたトッド・フィリップスは、同作が最高賞の金獅子賞を受賞した第76回ヴェネツィア国際映画祭で臨んだ会見で、以下のように自身の映画論を述べている。

映画は社会を写し出す鏡になりますが、社会を形作るものではありません。この映画の舞台が70年代や80年代であっても、脚本が執筆されたのは2017年です。必然的に、映画で扱われるテーマは現在存在しているものになります。

確かに、2012年に公開された映画『ダークナイト ライジング』は、2010年頃から中東で広がった一連の市民革命を指す「アラブの春」や、リーマンショック後にニューヨークのウォール街から世界に広がった「ウォール街を占拠せよ」ムーブメントが登場する中で製作され、ゴッサムの街が市民によって占拠される様子が描かれた。映画は現代社会の空気感を如実に映し出すのだ。

『ジョーカー』という作品の“定義”

更にトッド・フィリップス監督は、『ジョーカー』という作品の“見方”について、以下のように続ける。

(『ジョーカー』で扱われるテーマは) 皆が共感できるものではないかもしれません。ただのジョークとして見る人や、ジョーカーの新作映画、ジョーカーのオリジン・ストーリーとして見る人もいるでしょう。
見る人のためにこの映画を定義することはしたくないんです。これ (『ジョーカー』) は政治的な映画ではありません。いや、そう感じる人もいるでしょう (笑)
あなたがこの映画をどのようなレンズを通して見るかによって、それは決まるのです。

『ジョーカー』も他の多くの映画と同様、観客個々人が持つフィルターによって見方が変わり、受け止め方も変わるということだ。主役のジョーカーを演じたホアキン・フェニックスとトッド・フィリップス監督は、映画『ジョーカー』は暴力を煽動する作品ではないと繰り返し述べている。また、ホアキン・フェニックスは、かねてからジョーカーというキャラクターを「定義し難いこと」と述べてきた。『ジョーカー』という映画の評価と、ジョーカーというキャラクターの定義は、観客の手に委ねられた。私たちは一体、どんな作品を目撃することになるのだろうか。

映画『ジョーカー』は、2019年10月4日 (金) より全国の劇場で公開。

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