【ネタバレ解説】『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』でドクの名言が教えてくれたこと | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』でドクの名言が教えてくれたこと

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「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に込められたメッセージとは

1990年に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの完結編として公開された映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』。1985年公開の第1作目、1989年公開の『PART2』と合わせて、視聴者に確かなメッセージを残してシリーズの幕を閉じた。

では、そのメッセージとはどうのようなものだったのだろうか。ロバート・ゼメキス監督と共同脚本を手がけたボブ・ゲイルは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズを通して何を伝えたかったのか。その答えは、『PART3』のドクのセリフで表現されている。

うまくいかなかったマーティの人生

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(第1作目)『PART2』『PART3』、いずれの作品においても、ストーリーの中心にあったのは、主人公マーティが順風満帆な未来を手に入れられるか (取り戻せるか) ということだった。だが、どんなに時空を飛び回って未来を変えようと、『PART2』の時点では、マーティは事故でギターを諦めていたり、失業してしまっていたりと、問題を抱えた人生を送っている。

『PART3』のラストシーン、1985年に戻ってきたマーティはニードルズから車でのチキンレースを挑まれており、元の世界線では、この挑発に乗ってロールスロイスとの衝突事故を起こす。この事故でマーティはギタリストとしてのアーティスト生命を絶たれる。ここで挑発をしてきたニードルズは、『PART2』の2015年においても社会人になったマーティを「臆病者」と挑発し、不正を行うよう誘導する。挑発に乗って不正を行ったマーティは、これがバレて職を失ってしまう。

ドクがマーティに黙っていたこと

マーティの親友であり、未来を見てきたドクは、挑発に乗って選択を間違えるマーティの性格を確かに理解していた。だから、『PART3』において、ビュフォードに挑発されて決闘を受けたマーティに、挑発を受けるたびに各時代で面倒に巻き込まれているという事実を指摘する。

本来、この事実を伝えることでマーティの未来の行動が変わってしまう可能性があるため、ドクはマーティ本人に言うべきではないと考えていた。マーティの弱さを知りながら、あえてそれを伏せ、マーティが自分で決断を下すように見守っていたのだ。

なお、マーティは先祖であるシェイマス・マクフライからもこの件について忠告を受けている。シェイマスの兄弟、マーティン・マクフライも売られた喧嘩を全て買って、結果殺されてしまっていた。

マーティが縛られていた“男らしさ”

挑発に乗り、人生を棒にふる——『PART2』でこのメッセージが提示されているのは、マーティがビフの孫であるグリフとCafe 80’sで対峙する場面だ。マーティのここでの任務は喧嘩をすることではなく、グリフの誘いを断ること。ここで流れる曲がマイケル・ジャクソンの「Beat It」(1982)なのだ。この曲はひたすらに「逃げろ」という歌詞が歌われており、ドクがマーティに訴え続けた「挑発に乗るな」というメッセージと重なる。

「マッチョマンになりたいなんて思うな」とは「Beat It」の歌詞の一部だが、マーティは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズを通して男らしさに縛られた価値観を生きていた。この兆候は第1作目でジョージにロレインへアタックするよう励ます時から現れている。三作品を通してマーティがこの価値観を乗り越えること、それが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで描かれたストーリーの柱の一つになっている。

マーティへのメッセージ

前述の通り、『PART3』のドクは、ビュフォードの挑発を受けたマーティに対して、思わずマーティの抱える問題いついて口を滑らせる。だが、ドクは「未来はまだ白紙」だということも付け加える。

1985年に帰るため、前夜に出発の準備をマーティとドク。ドクは、墓石の写真に自分の名前が書かれていることについて、「(未来は) まだ変えることができる」「人間は誰でも自分の未来を自分で切り開くべきなんだよ」「こんなちっぽけな一枚の写真にワシの運命を決められてたまるか」「ワシはワシが正しいと思うことに従って生きなきゃならんのだ。それが人生だ」と、自分に言い聞かせるようにマーティに説く。

自分の未来は自分で切り開く——このドクのセリフは外でもないマーティに向けられたものだ。未来で何が起きるかをマーティに伝えて、その行動を変えさせることはできない。だから、ドクはただ自分の信条を話すようにマーティにこの人生訓を伝える。

マーティが選んだ道

そして、このメッセージを受け取ったマーティは、ついに『PART3』でビュフォードの決闘から“逃げ出す”という選択を選ぶ。この時、ドクは気を失っておりマーティは自分自身で判断を下すしかなかった。

そして1985年に戻った後、マーティはレースを挑もうとするニードルズの挑発からも逃れ、ジェニファーが2015年から持ち帰っていたファックスの「お前はクビだ」という文章が消える。マーティはロールスロイスとの衝突事故だけでなく、挑発に乗って不正に手を染める未来からも逃れたのだ。「挑発に乗らない」という選択肢を自分自身で選ぶことによって。

その後、1985年に帰ってきたドクは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ全体を通して、一つの確固たるメッセージをマーティに、いやスクリーンの前の視聴者たちに告げる。

君の未来はまだ決まってないということさ。誰もがそうだ。未来は自分で切り開くものなんだよ。だから頑張るんだ。

未来は、時空を飛び回り、トラブルを解決することで決まるものではない。マーティはいくらタイムスリップをして問題を解決しても、その後の人生で挑発に乗ってしまい、より悪い状況を招いてしまっていた。未来を決めるのは、自分の選択と行動だけ。未来は自分で切り開くもの——それが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作を通してドクが私たちに教えてくれたことだった。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作は35周年記念版Blu-ray&DVDセットが発売中。

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齋藤 隼飛

1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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