2015年を描いた『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』
1989年に公開された映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』。第1作目では過去へのタイムスリップを描いたが、『PART2』では2015年の当時から見た“未来”が描かれた。ファッションも想像上の2015年に合わせたものが用意されたが、音楽については80年代をコンセプトにした“Cafe 80’s”を登場させることで、マイケル・ジャクソンの「Beat It」を中心に据えた構成を実現した。
『PART2』に登場したマイケル・ジャクソン
「beat it」は「逃げろ」という慣用句であり、挑発に乗ってしまう性分のマーティへのメッセージとなっている。マーティが自分の性格と向き合うことは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズを通したテーマになっており、「Beat It」の選曲は重要な意味を持つ。
それに、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』でのマイケル・ジャクソンの登場は音楽だけではなかった。Cafe 80’sのウェイターとして、テレビモニターにマイケルらしき人物が登場している。これは80年代の著名人たちがバーチャルウェイターとして対応してくれるという設定で、そっくりさんのE・カサノバ・エバンズがマイケル・ジャクソン役を演じている。
マイケル・ジャクソンは『BTTF』ファンだった?
では、マイケル・ジャクソン自身は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』への登場をどう考えていたのだろうか。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のDVDに収録されたコメンタリーでは、脚本を担当したボブ・ゲイルは、「Beat It」の使用とマイケル・ジャクソンの登場について、以下のように語っている。
マイケル・ジャクソンは第1作目の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の大ファンだったので、非常に協力的でした。快く、よく似た人物を登場させることと音楽を使うことを許可してくれました。
当然のことながら、マイケル・ジャクソン本人の許可を得て、そっくりさんの出演と「Beat It」の使用が実現していたのだ。「スクリーム」(1993)はじめ、ミュージックビデオの中でSF的な表現をチョイスすることもあったマイケル・ジャクソン。2002年にはSF映画『メン・イン・ブラック2』への出演も実現している。
だが、マイケル・ジャクソン本人は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で描かれた2015年の世界を迎える前の2009年に逝去した。マイケル・ジャクソンの急死から11年、『PART2』公開から31年、同作を見て改めて生前のマイケル・ジャクソンの姿に想いを馳せるのもいいだろう。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズは、3作品をまとめた30周年記念トリロジー版Blu–rayボックスが発売中。