ラスト&ポストクレジット解説『アクアマン/失われた王国』最後の意味は? DCU作品に繋がる? | VG+ (バゴプラ)

ラスト&ポストクレジット解説『アクアマン/失われた王国』最後の意味は? DCU作品に繋がる?

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『アクアマン/失われた王国』公開

映画『アクアマン/失われた王国』が2023年1月12日(金) より日本の劇場で公開された。DCEU (DCエクステンデッド・ユニバース) 最後の作品になることが予告されていた本作は、前作『アクアマン』(2018) と同じくジェームズ・ワン監督が指揮を執る。前作同様、ホラーを得意とする同監督らしい演出が盛り込まれた作品に仕上がっている。

今回は、DCEUのフィナーレにもなった映画『アクアマン/失われた王国』のラストからポストクレジットシーンを解説&考察していこう。DCEUのラストにはどんな展開が待っていたのだろうか。なお、以下の内容は映画『アクアマン/失われた王国』の結末に関する重大なネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『アクアマン/失われた王国』の結末に関するネタバレを含みます。

『アクアマン/失われた王国』ラストはどうなった?

狙われた王家の血

映画『アクアマン/失われた王国』は、前作でアトランティスの王となったアクアマンことアーサー・カリーが王としての職務と子育てに奮闘する状態から幕を開けた。一方でアーサーに復讐を誓っていたブラックマンタことデイビッド・ケインは7つの王国のうちの“失われた王国”であるネクラスに眠るコーダックスに精神を乗っ取られる。

ブラックマンタはコーダックスを復活させるために奮闘する一方、アーサーはこれを止めるために前作のヴィランで弟であるオーシャンマスターことオーム・マリウスを脱獄させるのだった。新たに兄弟コンビを組んだアーサーとオームは、甲殻類の王であるブライン王と、メラの父で海底国ゼベルの王であるネレウス王と協力し、ブラックマンタに誘拐されたアーサーの息子を助けるためにネクラス王国の跡地へと向かう。

かつてコーダックスは権力を欲してブラックトライデン(黒いトライデン)を創造し、国民と自らをモンスターに変えた。コーダックスは初代アトランティス帝国の王であるアトラン王の弟で、アトラン王の“血の呪い”によって氷の中に封印されていた。ブラックマンタはブラックトライデンを手にしたことでコーダックスに操られ、この封印を解くために王家の血をつぐ者=アーサーの息子をこの場所に連れてきていたのだ。

オームの試練

アーサーの息子はすんでのところでシン博士や母のメラに助けられるが、最後にコーダックスがブラックトライデンを通して支配したのは他でもないアーサーの弟オームだった。コーダックスもオームと同じく“権力を求めた弟”であり、オームの心根が試される展開だ。オームがアーサーを殴り、アーサーが吐いた血によって王家の血が捧げられてコーダックスは復活し始める。

さらにブラックトライデンを握るオームはまだコーダックスから支配されており、アーサーはオームに語りかけてなんとかオームを呼び戻そうとする。オームは『アクアマン/失われた王国』でのアーサーとの冒険を通して、アーサーが玉座を求めていたという誤解が解けたり、助け合ったりすることでアーサーとの距離を縮めていた。

それが二人のホームである海底王国ではなく、ビジターの地上で行われたことにも意味があった。二人にとって着飾る必要もない、弱点を曝け出した状態で様々な困難を乗り越え、その方法を教え合っていく様子は仲睦まじい兄弟そのものだった。

最後の最後にオームはアーサーの呼びかけに応えてコーダックスに完全に支配されることを拒み、ブラックトライデンを手放す。アーサーがブラックトライデンをコーダックス目掛けて投げるも、コーダックスはこれをキャッチ。完全復活かと思われたが、オームがトライデンをアーサーにトスすると、アーサーはこれをコーダックスに投げてブラックトライデンごと破壊。コーダックスの復活は阻止されたのだった。

オームの処遇

ネクラス王国が崩壊する中、アクアマンことアーサーは崖から落ちそうになっているブラックマンタことデイビッド・ケインに手を差し伸べる。これは前作でブラックマンタがアクアマンを恨むようになった理由として、海賊だった父ジェシーとデイビッドが潜水艦で窮地に立たされた時にアクアマンが手を差し伸べなかったから、という設定を踏襲したものだ。

アーサーは今度こそはとデイビッドに手を差し伸べたが、デイビッドは「ナメんな」と言って自ら手を離して海底へと落ちていくのだった。ちなみにこのシーンのデイビッドのセリフは、英語では「Never.」と言っているのだが、アンゼたかしによる見事な字幕翻訳で、デイビッドのプライドが表現されている。

崩れゆく“失われた王国”から逃げ延びたアーサー、メラ、オーム、ネレウス王、ブライン王。オームはネレウス王も助けたし、ブライン王のハサミ欠損もしばらくした復活する程度の“あるある”みたいだったし、これでようやく許される……かと思いきや、意外にも「俺はいいけど周りが何て言うか……」という非常に日本的な理由で恩赦とはならず。

その代わり、オームは今回の件で死んだことにして自由の身となることが保障される。事実上の追放っぽくもあるが、さらにアーサーはこっそり助言はしてくれと頼み、表舞台には出ずに貢献してくれとなかなかわがままなことを言う。けれど、オーム自身は前作でのことを反省しているみたいだし、本人が納得しているのならいいだろう。オームは海へと飛び込んで久しぶりの自由を謳歌するのだった。

アーサーの呼びかけ

そのオームから、率先して人々を率いることを助言されたアーサーは、評議会を通さずにアトランティス王国を国連加盟国とし、その存在を地上の人々に知らしめる。アトランティスの技術を提供し、地上の人々と協力してこの星の気候危機に対処しようと言うのだ。

アーサーは偏見を捨てて同じゴールを目指すことを呼びかけると、自由になったオームがハンバーガーを食べる姿も映し出される。オームは今回の冒険の中でアーサーから地上の食べ物としてハンバーガーを勧められており、“偏見を捨てて”これに挑戦したということが表現されている。

アーサーは、自分は「父であり、兄弟であり、戦士であり、友人だ」と、自分に関わる様々な人を想起させる言葉で自分自身を定義する。そして、マーベルのアイアンマンの「私がアイアンマンだ (I am Ironman.)」を想起させる「私がアクアマンだ (I am Aquaman.)」という言葉がアーサーの口から放たれ、映画『アクアマン/失われた王国』は幕を閉じるのだった。

ミッドクレジットシーンの意味は?

映画『アクアマン/失われた王国』にはミッドクレジットシーンが用意されている。それは先ほどハンバーガーを食べていたオームがテーブルの上にゴキブリを見つけ、これを捕まえてハンバーガーに入れて食すというものだ。

冒険の途中でアーサーから勧められて食べたゴキブリを疑いながら食べたところ美味しかったことから、オームの世界は開けたのだろう。周りからどう見られようが、オームにとってはゴキブリ食は兄アーサーへの信頼を示す大事な存在。ゴキブリを経たからこそハンバーガーとビールの美味しさに辿り着いたとも言える。

何よりこのシーンは、ホラーやスプラッターを得意とするジェームズ・ワン監督らしい演出でもある。ミッドクレジットシーンにオームを持ってきたというのも、ワン監督のこだわりだったのかもしれない。

加えて、オームを演じるパトリック・ウィルソンは『アクアマン/失われた王国』でジェームズ・ガン監督とタッグは6作目になる。ジェームズ・ガン監督なりのパトリック・ウィルソンに対するトリビュートでもあったのだろう。

ポストクレジットシーンはあった?

『ザ・フラッシュ』『ブルービートル』と同じ?

DCEU最終作となった映画『アクアマン/失われた王国』には、意外にもポストクレジットシーンはなかった。DCEUの前作にあたり配信限定で公開された映画『ブルービートル』(2023) も、シリーズの続編を匂わせるミッドクレジットシーンのみで、DC世界を横断するようなポストクレジットシーンは挿入されていなかった。

だが気になるのは、前々作に当たる2023年公開の映画『ザ・フラッシュ』のポストクレジットシーンでアクアマンことアーサーが登場している点だ。『ザ・フラッシュ』では最後にフラッシュことバリー・アレンが歴史改変を起こしたことで、バットマンがジョージ・クルーニー演じるブルース・ウェインに変わってしまった。

DC世界が大きく変わってしまったことを予感させたが、その後に登場したのは酔い潰れているジェイソン・モモア演じるアーサーで、「変わったもの」と「変わらないもの」があることが示唆されていた。『ザ・フラッシュ』での出来事がDECUのリセットに直結するのであれば、ジェームズ・ガン共同CEOが2024年からリブートするDCU(DCユニバース)は、DCEUから一部の設定を引き継ぐという展開が予想できた。

『アクアマン/失われた王国』にポストクレジットシーンがなかったことは、その可能性を否定も肯定もしないというものであり、2025年7月公開の映画では『スーパーマン:レガシー』から幕を開けるDCUの中身はまだ不透明なままということになる。

DCEUからDCUへ

それでもDCUでは、DCEUから継続となるドラマ『ピースメイカー』(2022-) のシーズン2や、DCEUの名物ヴィランであるアマンダ・ウォラーを主人公にしたドラマ『ウォラー(原題)』の制作が決定している。また、映画『シャザム! 〜神々の怒り〜』(2023) のポストクレジットシーンでは、『ピースメイカー』の主要人物の一人でウォラーの元で働いていたエミリア・ハーコートがシャザムを勧誘しに来るシーンも挿入されている。

これらの要素から考えれば、今後、DCUからのキャラクターとDCEUからのキャラクターが入り乱れることは必至だ。その中にジェイソン・モモア演じるアクアマンは入っているのか、そして自由を得たオーシャン・マスターことオームも消えずに残ることができるのか、その辺りも気になる点だ。

なお、ジェイソン・モモアはアクアマン役での続投について微妙な反応を見せている。歴史改変された世界線らしく、ロボ役でのDCU参戦の可能性も浮上しているが、詳しくはこちらの記事を参照していただきたい。

ひとまずは、『マン・オブ・スティール』(2013) から始まった10年、映画16作のDCEUの歴史に幕が降りることに「お疲れ様でした」と言いたい。その上で、DCUでもDCEUの魅力的なキャラクターたちが生き残ることを願ってやまない。DCEUで輝いたキャラクターたちが今後どのような形で輝きを見せるのか、今後も次の展開を追っていこう。

『アクアマン/失われた王国』は2024年1月12日(金)より全国公開。

『アクアマン/失われた王国』公式サイト

『アクアマン/失われた王国』のサウンドトラックは配信中。

¥1,700 (2024/04/12 08:09:31時点 Amazon調べ-詳細)

映画『ザ・フラッシュ』ラストのネタバレ解説はこちらから。

映画『シャザム! 〜神々の怒り〜』ラストのネタバレ解説はこちらの記事で。

『アクアマン/失われた王国』ラストから読み取るメッセージの解説はこちらから。

『アクアマン/失われた王国』の音楽解説はこちらの記事で。

ジェームズ・ワン監督の過去作から見る『アクアマン/失われた王国』への影響の解説はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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