マーベルドラマ『ロキ』完結
MCUきっての人気キャラクターであるロキを主役に据えたドラマ『ロキ』は、2021年7月14日(水) にシーズン1最終話となる第6話の配信を開始した。相変わらずの驚愕のラストは、SNSを中心にロキファンとMCUファンに衝撃を与えている。
様々な意見と憶測が飛び交う中で、早速マーベル公式サイトにて、監督、脚本家、そして主演のトム・ヒドルストンが第6話ラストシーンへのコメントを発表した。一体どのような思いを込めてこのラストが用意されたのだろうか。
以下の内容は、ドラマ『ロキ』最終話 第6話の内容に関するネタバレを含みます。
まさかのラスト
ドラマ『ロキ』シーズン1の最終話となった第6話では、全ての黒幕であった在り続ける者/カーンをシルヴィが殺し、マルチバースが解き放たれた。ロキはシルヴィによってTVAに送り返され、シルヴィを止めることができなかった。絶望に沈むロキだったが、もう一度立ち上がり、メビウスとB15を頼りにこの混沌に対応しようとする。だが、ようやく見つけたメビウスの反応は「君は誰だ?」という衝撃的なものだった。
そして、これまでTVAに飾られていた三体のタイムキーパー像は一体のカーン像に置き換わっており、ロキがこれまでと異なるタイムラインにいることが明らかになる。エンドクレジットの後に『ロキ』シーズン2が公開されることが明かされ、『ロキ』シーズン1の最終話は幕を閉じる。
なかなかハードな終わりを迎えたこのラストシーンについて、製作陣とロキを演じたトム・ヒドルストンはどのように考えているのだろうか。それぞれが、Marvel.comに語っている。
様々な選択肢の一つだった
まず脚本家のマイケル・ウォルドロンは、様々なエンディングを考慮した上でこのラストシーンが選ばれたことを明かしている。
(ラストシーンには)様々なバージョンの案がありました。制作が止まっている間に発展させていったんです。最終的には、この形が最も正しいと感じました。物語としては一つのチャプターを終え、同時に、次に何が起こるかわからないスリリングさと(シーズン2への)推進力をもたらすことができました。
『ロキ』最終話のラストには様々なバージョンを検討していたというのだ。その内容は明かされていないが、脚本としては最初からこのラストに向かって進めていたわけではなく、最終的に最も正しいと感じられた案を選んだことを明かしている。
次に、監督のケイト・ヘロンは、TVAの中でもタイムシアターに送り返されたロキの感情について語っている。
あの(タイムシアターの)シーンを見ると、こみ上げてくるものがあります。どうやってこの状況を乗り越えればいいのかわからない、そんな弱った彼の姿がありました。
そしてロキは息を吸い込みます。「いや、私にはまだ戦いがある」と。私にとっては、彼の心にまだ戦う意志があることを観ている方々に示すことがとても重要でした。“希望”の瞬間を見せたかったんです。安っぽく感じるかもしれませんが、愛して、失う。その方が良いと思ったんです。
マーベル公式は、このシーンは「ロキが初めて失恋を経験している瞬間」と解説する。自分で乗り越えなければならない状況に立たされたロキは、再び目を見開いてまずはマルチバース化が進むこの状況に対応することを決意する。
トムヒが解説するロキの心情
実は、このタイムシアターにおけるシーンは、パンデミックによる制作中断が明けた一発目に撮影されたシーンだという。「強烈なリスタートだった」と振り返るトム・ヒドルストンは、最後のロキの心情についてこう話している。
(シルヴィの決断は)彼の魂を打ち砕きました。彼の人生の中で、おそらく初めてにして唯一の機会だと思いますが、彼は勇気を持って行動し、そして失ったのです。勇気ある決断を下したけれど、うまくいかなかった。前例のない混乱に陥り、彼の心はバラバラになりました。彼は自分が感じていることに対してどう向き合えばいいかを知らない。だからショックなんです。
それでも、彼にはまだできることがあると決意を固め、メビウスやハンターB15のもとへ行き、協力してもらおうと考えました。しかし、あの(タイムシアターの)階段に座っている間に、何かが変わってしまったことに気がつきます。何かが現実を、TVAの現実をも変えてしまったんです。タイムキーパーの彫像はもうありません。その代わりにカーンの像がある。そして、ロキの友人であるメビウスはロキを認識しておらず、彼が誰であるかを知らない。この場面でのロキの不安定さは深刻なものになっています。
“ロキ専門家”のトム・ヒドルストンをしても、ロキにとっては、なんとも救いようのないラストだったということが分かる。ロキ自身の物語はシーズン1では決着には至らなかった。では、『ロキ』シーズン1で描かれたものとは何だったのだろうか。
『ロキ』シーズン1の意義
やはり、『ロキ』シーズン1はMCUに新たな物語をもたらすということに重点がおかれていたように思える。ケイト・ヘロン監督は、最終話にこのラストを用意したことの意義について、カーンの存在を挙げている。
この作品は、彼女ら/彼らの未来に(物語を)つなげるためのものです。カーンをスクリーンに登場させることは、大きな責任と特権が伴うことでした。サノスとは全く異なるヴィランです。最初に(監督として)プレゼンをするために物語のアウトラインを見た時のことを覚えています。もしこれが実現できれば最高だと思っていましたが、物事には変更がつきものです。もしかしたら許可されないかもしれないと思っていましたが、そうはなりませんでした。このようにドラマと映画が大きな物語で結びつくということは、とてもワクワクすることです。ファンとしてだけでなく、映画監督としても。
『ロキ』シーズン1はMCUの中で大役を担い、次に繋ぐという意識で作られたシリーズとなった。一方、兄ソーとの和解を経験していない“2012年のロキ”は、旅の中で様々な出会いを経て、また変化も経験した。『ロキ』シーズン2では、生まれ変わったロキ自身の物語に一つの結論が出されることを願って、配信開始を待とう。
なお、最終話におけるシルヴィの決断については、俳優のソフィア・ディ・マルティーノがその心情を解説している。詳細はこちらの記事で。
ドラマ『ロキ』シーズン1は全6話がDisney+で独占配信中。
Source
Marvel.com
“在り続ける者”について製作陣が解説した内容はこちらから。
在り続ける者/カーンについて、監督・脚本家・俳優が語った内容はこちらの記事で。
最終話のポストクレジットと映画『マイティ・ソー』(2011) の繋がりはこちらの記事で解説している。
クラシック・ロキを演じたリチャード・E・グラントが語ったトムヒとの撮影秘話はこちらから。