ネタバレ考察『ロキ』第2話 “変異体”の目的とは その正体とラストシーンを考察&解説 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『ロキ』第2話 “変異体”の目的とは その正体とラストシーンを考察&解説

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ドラマ『ロキ』が熱い!

MCUドラマ最新作『ロキ』は2021年6月9日(金)に配信を開始。全6話が配信される予定で、6月16日(水)に配信された第2話では驚きの展開を見せた。どのMCU作品においてもそうだが、注目が集まっているのは“ヴィランは誰で、何が目的か”という点だ。今回はドラマ『ロキ』第2話ラストの展開を通して、『ロキ』のヴィランについて考察していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ロキ』第2話の内容に関するネタバレを含みます。

『ロキ』第2話ラストの展開と変異体の正体

変異体の目的に行き着くために、まずはこの変異体が何者かということから考察していこう。第2話のあらすじ解説記事でも記したように、第2話「変異体」のラストに登場したのは俳優のソフィア・ディ・マルティーが演じる“もう一人のロキ”だが、第2話では自身の名前は名乗らず、クレジット表記も「変異体」となったままだ。

また、マーベル公式は米時間6月21日(月)にこの変異体ポスターを公開。やはり名前は「変異体ロキ」となっている。

女性版ロキと言えば、ロキが女性キャラクターの身体を乗っ取った原作コミックのレディ・ロキというキャラクターが挙げられる。変異体の片方の角が折れたコスチュームなどは原作コミックのレディ・ロキを想起させるが、これはMCUでおなじみの“引っ掛け”である可能性が残されている。『ロキ』第2話の目玉が「レディ・ロキ登場」ならば、広報の観点からも素直に名乗った方が良いからだ。

では、変異体がレディ・ロキではないとすれば、いったい誰なのか。そもそも、この人物はTVAが追っている“もう一人のロキ”なのか。レディ・ロキ以外のヴィランで候補になるのは、原作コミックでロキと関わりの深いエンチャントレスだ。今回登場した人物の髪の色は、レディ・ロキの特徴の一つである黒髪ではなく、エンチャントレスの金髪の特徴である金髪になっている。

また、変異体がその正体を表す直前、ロキが発言していないにもかかわらず「私をどうするつもりだ」という声が反響して聞こえている。ロキが驚いて振り返ると、指先を緑色に発光させている変異体が立っている。これは変異体が能力を使っていることを描写していると思われる。そして、コミックのエンチャントレスにはテレパシー能力があるため、能力面から見てもその特徴に一致するのだ。

原作コミックでは、エンチャントレスはロキが力を与えた魔女という設定だが、ドラマ版のロキはこの人物とは初対面だった様子。そうなると考えられるのは、TVAが追っている本当の“もう一人のロキ”がこのエンチャントレスに力を与えた人物であり、エンチャントレスのボスであるという可能性だ。コミック版ではエンチャントレスはロキの副官を務めており、ドラマ版でロキの「右腕にならないか」という提案を断った理由は、既にエンチャントレスが別のロキの右腕として働いているからだと考察することもできる。

変異体の目的とは

変異体は何をしたのか

では、この変異体がレディ・ロキであれエンチャントレスであれ、TVAから奪ったリセットチャージを利用して神聖時間軸を「爆破」、無数の分岐を生み出した目的はどこにあるのだろうか。

そもそも、変異体は第2話ラストで何をしたのか。「あなたは眼中にない」とロキに言い放つと、セットされていた大量のリセットチャージが起動し、タイムドアを通って各々の時代へと飛ばされる。TVA本部で映し出される分岐が起きた場所を見ると、『キャプテン・マーベル』(2019) に登場したクリー人の故郷である惑星ハラや、サノスの故郷であるタイタン、1984年の日本に至るまで様々な時代と場所に影響を与えている。

装置が起動した際、画面には「初期化中 (Initializing)」との文字が表示されていた。この「初期化」が、各時代のその場所を文字通り「初期化」することだとすれば、とんでもないことが起こる。タイムキーパーが創り出した神聖時間軸にとっての「初期」とは、タイムキーパーが時間を束ねる前の多数の次元が存在したマルチバースの時代だからだ。

そもそもリセットチャージとは「周囲を破壊しつつ、汚染範囲を剪定して自然治癒させる」という説明がなされていただけで、リセットチャージにそれほどの力があるのかは疑問だ。それでも、世界の各地が神聖時間軸に“束ねられてなかったこと”になったとすれば、現在のMCU世界とは全く異なる世界が立ち現れてもおかしくない。以前のマルチバースに関する考察で、大規模なマルチバース化の条件として「かなり大きな分岐イベント」を挙げたが、それが起きた可能性があるのだ。

① 大義のため?

では、変異体(とそのボスや仲間)がそんなことをする動機はどこにあるのか。本来、時間軸とは自然と分岐するカオスなものであり、それを恣意的に堰き止めていたのがタイムキーパーであり、TVAだったのかもしれない。だとすれば、ロキの提案に対してTVAの乗っ取りが目的ではないと話した変異体の発言にも納得がいく。支配ではなく、リセットと解放が目的なのだとしたら……。

そうだとすれば、この変異体は『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) のヴィランであるカーリのようなアナキストで、大義のために動いているということになる。

② アスガルドの復活?

より具体的で現実的な動機があるとすれば、それはアスガルドの復活だ。仮に変異体がエンチャントレスだったとして、コミック版ではエンチャントレスは過去にアスガルドを追放されたという設定になっている。それでもソーやロキと同じアスガーディアンであることに変わりはなく、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) で失われた元のアスガルドが生き延びた世界線を創り出そうとしているのではないだろうか。

TVAとタイムキーパーは歴史改変を許さない。しかし、新しく生まれた分岐を生き延びさせ、神聖時間軸とされている時間軸を“剪定”してしまえば、アスガルドが生き残っている時間軸が本筋の時間軸となるのではないだろうか。また、TVAが消滅し、剪定する者がいなくなればそのような作業をする必要もなくなり、各々が好きな時間軸で生きれば良いだけ、という話にならないだろうか(TVAが警告している通り、マルチバースにまたがった戦争が起きる可能性は大いにあるが)。

もちろん、この考察/仮説だけでは、変異体がこれだけ大規模な分岐を作り出した理由の説明にはならない。だが、例え変異体の正体がレディ・ロキだったとしても、かつてのアスガルドに対する強い思い入れがあってもおかしくない。個々人の感情や動機と、時空を超えて世界を変えるという大きな物語がどのようにして絡んでいくのか、そして「運命は決まっている」と知らされたロキ自身がどのような選択を取るのか。第3話以降も注視していこう。

『ロキ』脚本家のマイケル・ウォルドロンは第3話以降、これらの謎はすぐに明らかになっていくと語っている。詳細はこちらの記事で。

ミス・ミニッツの正体についての考察はこちらから。

ドラマ『ロキ』は2021年6月9日(水)より、全6話が毎週水曜日に配信される。

『ロキ』視聴ページ (Disney+)

ドラマ『ロキ』第2話のあらすじ&ネタバレ解説はこちらの記事で。

第1話のあらすじ&ネタバレ解説はこちらの記事で。

第2話で登場したサノスとタイムスリップに関する小ネタはこちらから。

TVAやレディ・ロキを含む『ロキ』のヴィラン候補はこちらの記事にまとめている。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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