『キャシアン・アンドー』キノ・ロイはどうなった?
2022年11月23日(水)、ドラマ『キャシアン・アンドー』シーズン1の最終回第12話が配信され、全12話の配信を終えた。本作は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) に登場した反乱同盟軍の情報将校キャシアン・アンドーを主人公に据えたドラマであり、キャシアンに関わる人々を描く群像劇でもある。
中でも注目を集めたのはサプライズ出演となったアンディ・サーキス演じるキノ・ロイだ。アンディ・サーキスは「スター・ウォーズ」続三部作で最高指導者スノークをモーションキャプチャーで演じており、本作で初めて生身の姿で登場することになった。
気になるのは、3話にわたって印象的な姿を見せたキノ・ロイのその後だ。キノ・ロイはあの後どうなったのか。監督や演じたアンディ・サーキス自身が米メディアで語った話も交えて見ていこう。
以下の内容は、ドラマ『キャシアン・アンドー』のキノ・ロイの最後に関するネタバレを含みます。
キノ・ロイの最後
『キャシアン・アンドー』シーズン1では、第8話「ナーキーナ・ファイブ」からキノ・ロイが登場。帝国の収容施設であり強制労働施設でもあるナーキーナ・ファイブのフロア監督を務めるキノ・ロイは、囚人でありながらも他の囚人を束ねるリーダーとしての役割を担っている。体制側にとっては都合の良い人物だ。
キノ・ロイは出所を目前に控えており、とにかく毎日を問題なく無事に過ごすことを念頭に置いて暮らしている。しかし、第9話では刑期を終えても外には出られないことが発覚。演じたアンディ・サーキスはキノ・ロイのバックグラウンドについて、かつては労働組合のリーダーで外には家族がいると語っている。
外に出る動機があるキノ・ロイは、キャシアンに鼓舞される形でついに反旗を翻し、これまで統制を求めてきた囚人達に自由になるように語りかける。5,000人の囚人の脱走をキャシアンと共に主導したキノ・ロイだったが、施設から次々と海に飛び込んで脱出する囚人達を前に衝撃の一言を発する。「泳げないんだ」。
キャシアンは人混みに押されて海へと飛び出し、キノ・ロイはその場にとどまるのだった。シリーズの歴史に残る名台詞と共に退場したキノ・ロイは、シーズン1ではその後は描かれず。再び捕まったのか、海へと飛び出したのか、その生死も不明のままシーズン1はフィナーレを迎えている。
「泳げないんだ」の真相
このシーズン1におけるキノ・ロイのラストについて、第8話から第10話のナーキーナ・ファイブ編の監督を務めたトビー・ヘインズは、米Entertainment Weeklyのポッドキャストでこう語っている。
彼(キノ・ロイ)のストーリーがどうなるかは開かれた状態です。彼は確実に殺されてはいません。それが(トニー・ギルロイ作品の)面白いところですよ。もし死んでいないなら、今後何が起こるかは分かりません。ですから、(カムバックも)あり得ることです。
加えてトビー・ヘインズ監督は、当初キノ・ロイの「泳げないんだ」というセリフはより感情的で、「泳げないんだ!」と怒るように言う予定だったと話している。しかし、撮影した際には演じたアンディ・サーキスが穏やかな表情で「泳げないんだ」と言い出したのだという。
アンディが突然、穏やかに微笑みながら演じ出したんです。「ここまでやってきたけど、私は泳げない。ここでお別れなんだよ」という感じで。この瞬間、アンディと仕事ができてよかったと思いました。インスパイアされたし、スリリングでしたね。
確かに、キノ・ロイは2度目の「泳げないんだ」の時には顔に笑みを浮かべている。諦めを噛み締めるような様子でもある。
アンディ・サーキス自身は、米Colliderには「最終的には、自分の運命と折り合いをつけたんです。あの哀愁のシーンが行き着くべきところだったのでしょう」と語っており、感情的な演技よりも哀愁漂う演技を選んだ理由が明かされている。
シーズン2でのカムバックはある?
そんなキノ・ロイのその後について、アンディ・サーキスは米Colliderの同じ記事で語っている。答えているのは、シーズン2でのカムバックがあり得るかという問い。そして、シーズン2でエピソード監督を務める可能性についても聞かれ、こう答えている。
おぉ、それ(監督を務めること)は考えたこともなかったですね。そうなれば素晴らしいことですが。キノ・ロイの未来については分かりません。誰が知っているでしょうか? 彼はあの船から出られないかもしれないし、分かりません。でも、どうでしょう。まだ何も話してませんから。皆さんがどう考えるか、その結果を見なければいけませんね。
キノ・ロイがこれで終わりだったとしても、その質問(監督をしたいか)に対する短い答えはイエスです。スリリングになるでしょうね。この世界のカメラの向こう側に参加できれば素晴らしいことですよ。
アンディ・サーキスは、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021) などの監督作品でも知られる。キャシアン・アンドー役を務めたディエゴ・ルナもまた、映画『Cesar Chavez』(2014)、Netflix映画『全然まったく大丈夫』(2021) の監督を務めている。米スター・ウォーズ公式サイトでは、俳優であり監督でもあるディエゴ・ルナとの共演についても語っている。
これ(『キャシアン・アンドー』)に参加したいと思った大きな理由の一つは、ディエゴの演技が大好きで、キャシアンというキャラクターが大好きだったからです。
ですから、近い距離で一緒に仕事をする機会を得たことは、信じられないことでした。彼は素晴らしい才能を持った俳優で、ストーリーテラーであり、寛大で優れた天性のリーダーです。彼は監督もしていますから、彼と話ができたのは素敵なことでしたよ。
キノ・ロイというキャラクターのその後は不明で、可能性は開かれたままだ。エピソード監督のトビー・ヘインズは明確に「殺されてはいない」としているし、アンディ・サーキスは『キャシアン・アンドー』という作品と主演のディエゴ・ルナに対する好感情も持っている。アンディ・サーキスが何かしらの形でカムバックを果たす可能性はあるだろう。
スノーク説は否定
なお、一部の英語圏のファンの間で囁かれているキノ・ロイ=後のスノークという説については、アンディ・サーキスは公式サイトで明確に否定している。そうした説があることを知っているが敢えて読まないようにもしているという。
あえて読まないようにしてます。怖すぎるからですよ! 皆さんに言いたいのですが、(キノ・ロイとスノーク)は本当に関係ありません。出口のないトンネルに迷い込むのではなく、自分の人生を生きてください。ただ、私はスノークとロイという正反対のキャラクターを演じることができて、とても光栄です。
シーズン1でサプライズ登場となったキノ・ロイは、シーズン2での復活はあるのか。なんならスピンオフ『キノ・ロイ』を作ってくれてもいいのだが……。
ドラマ『キャシアン・アンドー』はシーズン1全12話がDisney+で独占配信中。
Source
Entertainment Weekly / Collider / StarWars.com
『ローグ・ワン』はBlu-rayセットが発売中。
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