ネタバレ解説『ONE PIECE FILM RED』ラストの意味は? シャンクスとウタはどうなった? 考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ONE PIECE FILM RED』ラストの意味は? シャンクスとウタはどうなった? 考察&感想

©️尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

『ONE PIECE FILM RED』公開

映画『ONE PIECE FILM RED』が2022年8月6日(土)より全国の劇場で公開された。本作は人気アニメ「ONE PIECE(ワンピース)」を原作者の尾田栄一郎が自ら監修やプロデュースを手がける「FILM」シリーズの第4弾。漫画『ONE PIECE』の連載開始25周年を祝う一作でもある。

伝説の大海賊・金獅子のシキを登場させた『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(2009)、元海軍大将・ゼットが登場した『ONE PIECE FILM Z』(2012)、黄金帝ギルド・テゾーロが立ちはだかった『ONE PIECE FILM GOLD』(2016)に続き、『ONE PIECE FILM RED』では“シャンクスの娘”であるウタを中心に据えた物語になる。

実に6年ぶりの公開となった「ONE PIECE FILM」シリーズ最新作はどんなラストを迎えたのか。8月15日(月)を迎えて公式のネタバレが解禁された今、改めて凄まじかったあのエンディングの意味を解説しよう。以下の内容は、映画『ONE PIECE FILM RED』の結末を重要なネタバレありで解説しているので、必ず劇場で本編を観てから読むように!

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ONE PIECE FILM RED』の結末に関するネタバレを含みます。

『ONE PIECE FILM RED』ラストのネタバレ解説

ウタの能力と計画とは

音楽の島エレジアで世界を平和にしようと歌を唄うウタだったが、その裏にはウタの人生をかけた計画が隠されていた。それは、自身が持つ“ウタウタの実”の能力で作り出した意識の世界=ウタワールドにファンを閉じ込め、人々を“幸せ”にすることだった。

ウタウタの実の能力は、自分の歌を聞かせることで相手を意識の中の架空の世界に閉じ込めることができる。ウタが眠れば能力は解除されるが、ウタは眠れなくなるネズキノコを食べ続けていた。ウタの体力が尽きて死ねば、ウタウタの世界は閉ざされ、ファン達はウタウタの世界に閉じ込められることになる。

「歌でみんなを幸せにする」という言葉の裏にあったこの計画に加え、ウタウタの実の能力はエレジアの地下に眠る魔王・トットムジカを蘇らせる力も持っていた。だがそれは同時に、ウタウタの世界に閉じ込められた一行が脱出するための唯一のチャンスでもあった。

トットムジカはウタウタの実の力で復活した時、能力者自身と同じように現実世界とウタワールドの両方で姿を現す。それによりウタワールドと現実世界が繋がってしまうのだが、双方の世界でトットムジカを同時攻撃して倒すことができれば、ウタワールドは消滅することになる。

一方で、映像電伝虫を通してウタの歌が配信されることで、全人口の7割がウタワールドに閉じ込められる危機を迎えていた。ウタが望む「大海賊時代」に代わる意識の世界の中での「新時代」が迫る中、海軍は稼働可能な全勢力をウタのいるエレジアへ送ったのだった。

このウタの「新時代」構想は、海賊・海軍・革命軍、または四皇・三大将・七武海・五老星といった現実世界の勢力図を変えるということではない。日々の生活に不満を持つ人々を、ウタの思いのままにできる意識の世界へ逃がすという発想だ。これはインターネット上やバーチャルの世界に居場所を見出すことと似ている。血の流れない無血革命ではあるが、世界の7割の人口を失いかねない事態に五老星はこれを「革命」と呼んでいた。

赤髪海賊団の真実

ウタがトットムジカを復活させるトリガーになったのは、現実世界で赤髪海賊団とシャンクスがウタの前に現れた時。赤髪海賊団はウタが幼い頃にエレジアを滅ぼしてウタを捨てたとされており、ウタは海賊を嫌っていた。だが、過去にエレジアを滅ぼしたのは赤髪海賊団ではなく、幼い頃に意図せずトットムジカを蘇らせてしまったウタだった。シャンクス率いる赤髪海賊団は、むしろウタと一体になったトットムジカを止めようと戦っていた。

ウタを守るためにシャンクスはウタがエレジアを滅ぼしたという事実を隠蔽し、公にはこの件を赤髪海賊団の仕業だということにする。ウタは後に映像電伝虫の記録映像を通してこの事実を知るのだが、自分を必要とするファンの声に応えるために計画を変えることはなかった。

この展開もやはり、事実よりも同じコミュニティ内の声を優先しがちなネット社会における現象に通じている。一方で、ウタ自身も、不幸が渦巻く暴力の時代にあって、人々を現実世界ではないどこかへ連れ出そうという思いが変わることはなかったのだろう。

赤髪海賊団は集結した海軍を牽制し、トットムジカとの戦いに挑む。ウタワールドでは麦わら海賊団がビッグ・マム海賊団のオーブン、ハートの海賊団のロー、CP0のブルーノらと共闘してトットムジカと戦う。ロッキーポート事件で英雄となった海軍大佐コビーが海軍・海賊といった属性を問わずに指揮を振るう姿は『ONE PIECE FILM RED』の見所の一つだ。

そして、現実世界と夢の世界という意外な形で共闘を果たすことになったルフィとシャンクス。見聞色の覇気を持つキャラクターは双方の世界で交信することができ、双方の世界で協力してトットムジカを倒そうとするのだった。

「父と子」というテーマ

その中でも印象的だったのは、ウソップと父ヤソップの共闘だ。ヤソップはウソップが生まれたばかりの時に妻バンキーナとウソップを置いて海に出ている。『ONE PIECE FILM RED』の物語の中心にあるのはウタと父シャンクスのすれ違いと絆だった。ウソップとヤソップもまた幼い頃に別れたという経緯がありながら、最後には互いの見聞色の覇気を使ってトットムジカを追い込むことに成功している。

同時に、エレジアの元国王で、ウタを育てたゴードンはウタの力を恐れるあまり外の世界との接触を断ってしまったことから、父親失格と自分を責めていた。ウソップはそれに対して自分の父と違い、ゴードンがずっと子どものそばにいたことを称え、虐待父(ジャッジ)を持つサンジもそれに同調している。

結果的にシャンクスは、海軍へ「親子喧嘩」に首を突っ込まないよう言い放ち、後に「俺の娘だ」とウタをかばう。ウタは敵の海賊から奪った宝箱に入っていたことから赤髪海賊団に流れ着いたシャンクスの“養子”だったが、娘の危機に駆けつける親子の絆を見せた。「親の心子知らず」という言葉がぴったりな展開だ。

『ONE PIECE FILM RED』の特徴の一つは、父と子のすれ違いと絆だが、一方で、今回は「母の不在」も際立っていたように思える。ビッグ・マムは文字通り不在だったし、ヤソップとの絆が描かれたウソップも母バンキーナを病気で失っている。サンジの母ソラも同様だ。母の不在は『ONE PIECE』に共通したテーマでもあるが、今回は“シングルファザー家庭”の姿にスポットライトを当てていたように思える。

ウタは死んだのか

ゴードンの「ウタを救ってくれ」という頼みに「当たり前だ」とこたえ、トットムジカに攻撃を仕掛ける。「ONE PIECE FILM」シリーズではシキ、ゼット、ギルド・テゾーロに続くメインヴィランに設定されたウタだが、ルフィの目標は「倒す」のではなく「救う」こと。トットムジカを追い込んだルフィは“ギア5”にあたるニカに変身。シャンクスとの同時攻撃でトットムジカを撃破する。

ルフィがニカに変身したのは漫画『ONE PIECE』最新刊の103巻に続いてのこと。未読の方はこの機会にぜひチェックしてほしい。

ルフィとシャンクスの共闘によりトットムジカは倒されたが、心が飲み込まれた人々はウタワールドから解放されることはなかった。人々を解放できるのはウタの歌だけ。ウタは最後の力を使って「世界のつづき」を歌い、最後に自らの歌声で「みんなを幸せにする」ことを果たす。

ルフィは、意識の世界でウタから麦わら帽子が似合う人間になるよう告げられる。それは、ウタにとってはシャンクスのような大海賊になることを意味していると言える。

海軍は力尽きたウタを捕らえようとするが、シャンクスはウタを「俺の娘だ」とかばい、強大な覇王色の覇気を発する。一部の中将まで気を失い、大将・黄猿が冷や汗を流すほどの覇気で、シリーズでもトップクラスの強さだろう。

サニー号の上で気がついたルフィは、赤髪海賊団の船が去っていく姿を見つける。そこにウタの姿はなく、ウタが死亡したことが示唆されている。また、入場者特典『四十億巻』の尾田栄一郎のノートにも「死にゆくウタ」と書かれている。

シャンクスへの思いとは裏腹に、ウタにとってこの世界が苦痛という事実は変わらない。ウタは大海賊時代の苦しみから逃れ、新時代の幕開けをルフィへ託したのだった。

エンドクレジットでは、ウタが歌う「風のゆくえ」をバックに、世界中に散らばる『ONE PIECE』でお馴染みのキャラクター達がウタのアルバムを手に音楽を楽しんでいることが描写される。ウタの歌声は残り、人々を幸せにしている。『ONE PIECE FILM RED』でAdoが歌った全7曲が収録されたアルバムは、現実でも2022年8月10日(水)に『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』というタイトルで発売されている。

エンドクレジット後のシーンでは、ルフィはウタの力で意識を持っていたサニー号に話しかけている。現実世界では応答はないが、サニーに自我があるように描かれたのは重要なポイントだろう。尾田栄一郎がエグゼクティブプロデューサーとして参加するNetflix実写ドラマ版『ONE PIECE』では、メリー号が自我を持っているように動くシーンも公開されている。また、ゴーイングメリー号の最後の声が一同に聞こえたケースはあまりにも有名だ。

そして、ルフィはウタから託された新時代の幕開けに向かって、「海賊王に俺はなる」と誓いを新たにするのだった。シャンクスとルフィは現実世界とウタワールドで交信したものの、再会を果たすことはなかった。ルフィはまだ旅の途中。麦わら帽子を渡された時の「いつかきっと返しに来い…立派な海賊になってな」というシャンクスとの約束に、ウタから麦わら帽子を返された時の「似合う人になって」という約束が加わり、ルフィは海賊王を目指して旅を続ける。

連載の方ではいよいよ最終章に突入した『ONE PIECE』本編では、どんな展開が待っているのだろうか。

映画『ONE PIECE FILM RED』の4K ULTRA HD Blu-rayは2023年6月14日発売で予約受付中。

Amazonプライムビデオでも配信中。

『ONE PIECE FILM RED』公式サイト

Adoが歌うアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』は発売中。

オリジナルサウンドトラック(サントラ)も発売中。

劇中でウタ/Adoが歌った全曲の紹介はこちらの記事で。

 

『ONE PIECE FILM RED』に登場したキャラと登場しなかったキャラについての考察はこちらから。

漫画『ONE PIECE』は最新刊105巻が発売中。

江坂純が手掛けた『ONE PIECE FILM RED』のノベライズ版も発売中。

 

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Netflix実写版『ONE PIECE』のシャンクス役を含むキャスト20名の紹介はこちらから。

『劇場版 呪術廻戦 0』ラストの解説はこちらの記事で。

『すずめの戸締り』ラストの解説はこちらから。

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