岡本俊弥『千の夢』が2月24日発売 “会社”をテーマにしたSF短編小説12作品を収録 | VG+ (バゴプラ)

岡本俊弥『千の夢』が2月24日発売 “会社”をテーマにしたSF短編小説12作品を収録

岡本俊弥の短編集『千の夢』が発売

岡本俊弥のSF短編集『千の夢』が、2021年2月24日(水) にKindleとAmazon PODで発売される。“会社”をテーマにした短編集でオンライン・ファンジンのTHATTA ONLINEに掲載された12作品に改稿を加えたものを収録。巻末には、SF評論家の水鏡子による解説が掲載される。

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『千の夢』は筆者の岡本俊弥が長年所属していた“会社”という組織をテーマにした作品集。“ステラ”と呼ばれるストーリーテリング・デバイスに会社の命運が託される表題作「千の夢」を皮切りに、会社の“生態”を熟知した視点からでしか描き得ない物語が並ぶ。米大統領選直前の2020年9月初出の「陰謀論」は、タイムリーな題材を企業社会に組み込んで提示している。

『千の夢』収録作品の概要

「千の夢」 起死回生を狙う新商品ステラは、共感覚センサーによる「幸せ」を売るものだった。
「呪い」 画期的な発明を産むはずの研究所からは、何とも怪しいものばかりが出てくる。そこに、ありえない転機が訪れる。
「瞳のなか」 重大な決断を迫られるときどきに、一人の女が現われ男に核心を突くアドバイスを授ける。
「遷移」 ストレスに満ちたある職場で、登場人物の周囲が次々と入れ替わっていく。
「同僚」 地方のインフラを集約した中核市で、一人の男と同僚の女が何気ない会話をする。
「シルクール」 見知らぬ国の製品が主人公の前に現われる。それは次々と姿を変え、やがて世間を騒がす現実になる。
「瞑想」 社内SNSでの誹謗中傷を見つけたあと、主人公は法衣を着たコンサルタントのカウンセリングを受ける。
「抗老夢」 無駄な生を生きる意味があるのか、一人の科学者の提言はさまざまな波紋を広げていく。
「見えないファイル」 ジャンク屋で見つけたパソコンから、男が隠したはずの過去が湧き出してくる。
「ファクトリー」 謎のライバル会社の実態を探るため、現地に乗り込んだ主人公は、たらい回しにされたあげく意外な場所にたどり着く。
「侵襲性」 VR式のトレーニングジムに通ううちに、男は仮想コースの魅惑に取り憑かれてしまう。
「陰謀論」 主人公は若い管理職だったが、部下のベテラン社員から予想外の相談を受けることになる。

英語圏でも活躍

岡本俊弥は、光文社のSF雑誌「SF宝石」と徳間書店の「SFアドベンチャー」で連載されていた「SFチェックリスト」における書評や、サンリオSF文庫、創元推理文庫、ハヤカワ文庫等における解説で知られる。『ハヤカワ文庫SF総解説2000』や『サンリオSF文庫総解説』にも寄稿するなど、長年にわたってSFの紹介者として活躍してきた一方で、本格的に創作の発表を開始したのは定年退職後の2015年以降。THATTA ONLINEやチャチャヤング・ショートショート・マガジンで小説を執筆し、2019年からそれらの作品をまとめた短編集を刊行している。

岡本俊弥はこれまで、2019年に『機械の精神分析医』、2020年に『二〇三八年から来た兵士』『猫の王』をKindleおよびAmazon PODで刊行し、『猫の王』収録の「時の養成所」はToshiya Kameiの翻訳によって豪Lockdown Sci-Fiに英訳が掲載されている。2020年12月には、2016年の第2回大阪てのひら怪談の応募作である「わらし」が、同じくToshiya Kameiの翻訳で英Fudoki Magazineに掲載された。

また、時の養成所」の英訳版「Time Academy」は、オーディオブックメディアのTall Tale TVにて、声優のChris Herronによる朗読が公開されている。YouTubeのコメント欄では、英語話者によって内容に関する議論も交わされている。

岡本俊弥『千の夢』は、KindleとAmazon PODで2021年2月24日(水) 発売。

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