桐華の人気SF小説が映像化
ハリウッドを拠点にする米スターズ・コレクティブが、中国出身の人気作家である桐華(トン・ホァ)の小説シリーズ《散落星河的記憶》(英題:メモリー・ロスト・イン・スペース/The Memory Lost in Space)の映像化の権利を取得した。米Deadlineが報じている。スターズ・コレクティブは、本作のドラマ化と長編映画化の両方に乗り出すという。
《散落星河的記憶》は2017年に刊行を開始した人気SFシリーズで、全4部作が中国語と英語で発売されている。舞台は地球のエネルギーが枯渇した遠い未来で、人類は銀河の果てへの脱出を迫られる。人類は生存のために遺伝子改造を試みるが、それにより新たな病気を生み出してしまい、改造された者とそうでない者の間に対立も生じる。
中国でトップセラーとなった本作は、中国のSNS微博(ウェイボー)で大きな話題になった。なお、本作の映像化権を獲得したスターズ・コレクティブはメタバースの分野に進出することを表明しており、本作の映像化に当たっても“メモリー・ロスト・イン・スペースNFT”と独自トークンの発行を行う計画だという。
スターズ・コレクティブは2020年10月に設立されたハリウッドの映画関連会社。映画『クレイジー・リッチ!』(2018) を手掛けた映画製作会社スターライトのCEOピーター・ルオが立ち上げた会社で、これまでにメタバース事業への進出や若手監督が手がけた短編映画の長編化なども発表している。
ピーター・ルオは《散落星河的記憶》の映像化権獲得について、以下のようにコメントを出している。
《散落星河的記憶》の脅威的な人気と商業面での成功は、卓越したストーリーテリングの力を物語っています。この物語が大衆の共感を呼び、あらゆる世代と性別の人々に訴求できたという稀有な現象を起こしたことは確かなことです。ですから、私たちはグローバルな市場に向けて、映画化とテレビドラマ化の両方に取り組んでいます。
桐華は1980年生まれの女性作家で、ロマンス小説の分野で知られおり、複数の作品が中国や韓国で実写ドラマ化/映画化されている。日本でもヒットしたドラマ『宮廷女官 若曦』の原作小説は、本田由季による翻訳が『歩歩驚心(ホホキョウシン) ~花萌ゆる皇子たち~』のタイトルで2016年に新書館から刊行されている。
Deadlineは「軽視されてきた日々の後、中国の作家と映画製作者たちはSFの分野で勢力を伸ばしている」とし、「三体」の劉慈欣原作の映画『さまよえる地球』(2018) の大ヒットを例に挙げている。
桐華《散落星河的記憶》は中国語版が湖南文艺出版社から発売中。
Source
Deadline