『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』、無料公開のためのクラウドファンディング実施中! | VG+ (バゴプラ)

『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』、無料公開のためのクラウドファンディング実施中!

© queersf2023

『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』始動!

世界の各地から作品を集めた翻訳クィアSFアンソロジー『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』が、資金集めのためのクラウドファンディングを実施している。『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』の企画・編集は、編集や翻訳活動も行なっている作家の紅坂紫と、オンラインSF誌Kaguya Planetのコーディネーター井上彼方だ。SF企業VGプラスが協賛している。

プライド月間に全収録作品を無料で公開するため、翻訳や作品探し、デザインにまつわる費用の一部をクラウドファンディングで集めるという。

クラウドファンディングページ

世界各地からクィアな作品を集めたアンソロジー

『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』には、ヨーロッパ、アフリカ、北米、カリブ海、アジアと、世界各地の作家の作品が5編収録される。

作品が翻訳されるのは、南チロル出身・在住で「掌編の女王」を名乗る、バイセクシュアルで車椅子ユーザーの作家ジェニー・カッツォーラ(Jenny Cazzola)、ケニアのナイロビ出身・在住でビジュアルアーティスト・ドキュメンタリストとしての活動もしているノンバイナリーの作家ワニニ・キメミア(Wanini Kimemiah)、北米の先住民アニシナアベ・ネーションにもルーツを持つツー・スピリットの作家ゲイブ・アタグウェウィヌ・カルデロン(Gabe Calderón)、カリブ海のマルティニーク生まれで、カリブ社会におけるジェンダー論を専門とした社会学博士であり、マルティニークの文化活動に尽力している作家ナディア・ションヴィル(Nadia Chonville)、シンガポール出身の小説家、詩人、劇作家、翻訳者であり、『イン・クィア・タイム アジアン・クィア作家短編集』(訳:村上さつき、ころから)の共編者としても知られるイン・イーシェン(Ng Yi-Sheng)の5名だ。

翻訳と作品選びを担っているのは、これまでもKaguya PlanetでSF短編小説の翻訳を手掛けてきた岸谷薄荷、『イン・クィア・タイム アジアン・クィア作家短編集』(ころから)の翻訳でも知られる村上さつき、エマ・ドナヒュー『星のせいにして』(河出書房新社)の翻訳などを手掛けてきた英日翻訳家の吉田育未、フランス国立東洋言語学院・文学翻訳学科で翻訳の研究をしている善本知香、今回の企画の発起人であり、ジョイス・チング「まめやかな娘」(Kaguya Planet)など掌編小説を中心に翻訳を手掛けてきた紅坂紫だ。そしてアフリカの作品探しにはSF書評家の橋本輝幸が協力している。

作品選びでは、登場人物のジェンダーアイデンティティやセクシュアリティについて偏りが生じすぎないように、ディストピアだけではなく、当事者の人をエンパワメントできるような明るい内容の作品を含めるということを考慮したという。

各作品のあらすじや、作家・翻訳者のプロフィールはクラウドファンディングのページに掲載されている。

そして『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』の表紙デザインを作成するのは、ファッションイラストレーションを中心としたイラストレーターで、ノンバイナリーでクォイロマンティック、デミセクシュアルなフェミニストのモリカだ。現在クラウドファンディングのページでラフ画が公開されている。

©︎morika

『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』のクラウドファンディングは【3月31日(金)23時まで】。詳細はREADY FORのページからチェックしよう。また、最新情報は編集部のInstagramでチェックしよう。

クラウドファンディングページ

発起人は紅坂紫と井上彼方

紅坂紫は、創作・翻訳・企画編集など幅広く文芸活動を行っている作家だ。ジョイス・チング「まめやかな娘」(Kaguya Planet) 、同じくジョイス・チング「失敗」(anon press) など、多数の掌編小説の翻訳を手掛けている。

アジアを読む文芸誌『オフショア』創刊号に「シルクロード・サンドストーム」を、百合総合文芸誌『零合』創刊号に「セイレーン」を寄稿しており、New World Writingをはじめとした多数の海外文芸誌にも英語作品を寄稿している。パンロマンティック、パンセクシャル。

井上彼方はオンラインSF誌 Kaguya Planetのコーディネーター。Kaguya Planetでは、「魔女」「おばあちゃん」「ケア」をテーマにしたジェンダーSF特集を企画した。ジェンダーSF特集では、今回翻訳者として『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』に参加している岸谷薄荷が翻訳した、男性性とケアをテーマにしたジェーン・エスペンソンによるSF短編小説「ペイン・ガン ある男のノーベル賞受賞式に向けたメモ」を掲載している。SFレーベルKaguya Booksの編集者。編書『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』(社会評論社)、『社会・からだ・私についてフェミニズムと考える本』(社会評論社)。

オンラインSF誌Kaguya Planetとは

『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』は、2023年6月1日(木) 〜 6月30日(金) の間、オンラインSF誌Kaguya Planetに無料で全作品を掲載する。

Kaguya Planetとは、月間130万PVを誇るSF専門のウェブメディアVG+(バゴプラ)の運営するオンラインのSF誌だ。今回の企画・編集の1人である井上彼方がコーディネーターを務める。① 日本のSF界におけるジェンダー不均衡の是正② 新人賞以外の入り口を作ること③ 海外のようにオンラインでSF短編小説を読むカルチャーを作っていくこと、という三つの目標を掲げて活動を開始し、毎月SF短編小説を配信している。

2023年6月には『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』と連動する形で、日本語のクィアなSF短編小説の配信を予定している。こちらも続報をお楽しみに。

Kaguya Planet

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