【コラボ企画】日本SFアンソロジーの季節 vol.02 『新しい世界を生きるための14のSF』(伴名練 編) | VG+ (バゴプラ)

【コラボ企画】日本SFアンソロジーの季節 vol.02 『新しい世界を生きるための14のSF』(伴名練 編)

今年の夏は、日本SFアンソロジーがあつい!

今年の夏は日本SFアンソロジーが盛り上がっています。初夏から晩夏にかけて、日本SF作家クラブ編『2084年のSF』 (早川書房)、伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』(早川書房) 、大森望編『ベストSF2022』 (竹書房) 、『新月』(Kaguya Books) 、『Genesis 05』(東京創元社)と、5冊の日本SFアンソロジーが刊行されます。

SFメディアバゴプラでは、「日本SFアンソロジーの季節」と題して、各アンソロジーの魅力を紹介する企画を実施しています。今回ご紹介するのは、6月22日に刊行された伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』。編者の伴名練さんに4つの質問をしました。

伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』、6月22日刊行!

2022年6月22日に伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』 (ハヤカワ文庫JA) が刊行されました。『新しい世界を生きるための14のSF』には、新鋭のSF作家たちによる作品が、宇宙・AI・ポストコロナ・異星生物などテーマ別に14編、収録されています。

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日本SFの熱気を感じられるアンソロジー

『新しい世界を生きるための14のSF』に収録されている作品は、「2022年5月時点で、まだSFの単著を刊行していない」作家によって、ここ5年以内に書かれたものです。収録作品を選ぶ上でこれだけ強い縛りを設けているにもかかわらず、収録されている14編のSF短編小説は、テーマも切り口もバラエティに富んだ傑作ばかりです。

参加している作家は、創元SF短編賞や日経「星新一賞」といったSFコンテストの受賞者はもちろん、文学フリマで作品を発表してきた作家や他ジャンルで活躍してきた作家、ゲンロン大森望SF創作講座の受講生など、様々な経歴を持っています。

また、収録されている作品は、商業出版に掲載されたものだけでなく、同人誌やWebに掲載されたものも多数あります。伴名練さんによる集後記「新しいSFを読みたい/書きたい人のためのガイド」では、現代のSFの書き手を支える土壌の豊かさを垣間見ることができます。

各作品からも、それぞれの書き手からも、今の日本SFの、そしてこれからの日本SFの熱気を感じることができるアンソロジーです。

収録作品はテーマ別で14編

『新しい世界を生きるための14のSF』には、テーマ別の14編のSF短編小説が収録されています。また各作品の後には、伴名練さんによる、各テーマの先行作品や代表的な作家などを紹介するコラムがついています。

【AI】
八島游舷「Final Anchors」(電子書籍・早川書房)

【愛】

斜線堂有紀「回樹」(『S-Fマガジン』2021年2月号)

【実験小説】

murashit「点対」(同人誌『紙魚はまだ死なない – リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌』)

【宇宙】

宮西健礼「もしもぼくらが生まれていたら」(『宙を数える』創元SF文庫)

【異星生物】

高橋文樹「あなたの空が見たくて」(同人誌『Sci-Fire 2019』)

【動物】

蜂本みさ「冬眠世代」(Kaguya Planet)

【超能力】
芦沢央「九月某日の誓い」(『小説すばる』2020年2月号)

【改変歴史】

夜来風音「大江戸しんぐらりてい」(同人誌『月猫通り2168・69合併号』)

【言語】

黒石迩守「くすんだ言語」(『伊藤計劃トリビュート2』ハヤカワ文庫JA)

【環境激変】

天沢時生「ショッピング・エクスプロージョン」(『S-Fマガジン』2022年2月号)

【VR/AR】

佐伯真洋「青い瞳がきこえるうちは」(note)
【ポストコロナ】

麦原遼「それはいきなり繋がった」(Kaguya Planet)

【バイオテクノロジー】

坂永雄一「無脊椎動物の想像力と創造性について」 (『NOVA 2021年夏号』河出文庫)

【想像力】

琴柱遥「夜警」(ゲンロンSF創作講座サイト)

 

伴名練さんに4つの質問!

『新しい世界を生きるための14のSF』について、編者の伴名練さんにお聞きしました。

-収録作の中で、最も虚構性の高い作品を紹介してください。

紙の上でしか実現しえない内容として、murashit「点対」。わだかまりのある双子の兄弟が、書店でかけられた万引き疑惑を互いに押し付け合う……という、一見したところ超常要素の無い一般小説的なシチュエーションを、映像化不可能、小説でしか表現できない手法によって異化しながら描く、スマートな実験小説。

設定面での奇抜さ、荒唐無稽さという点で、徳川光圀の和歌研究が関孝和の献策を得て、大規模計算を行う〈算術長屋〉の誕生に繋がる、夜来風音「大江戸しんぐらりてい」、ドン・キホーテ(みたいなディスカウントストア)が自動増殖してアメリカを覆いつくした未来での若者の冒険譚、天沢時生「ショッピング・エクスプロージョン」も虚構性が高い。

-収録作の中で、最もアクチュアルな作品を紹介してください。

技術面でアクチュアルな作品として、八島游舷「Final Anchors」。2台の車が0.488秒後に衝突することが確定した状態で、それぞれの車の自動運転を担うAIが、どちらの車の搭乗者を生き残らせるかを、超高速での議論によって決定する〈最後の審判〉を描く。トロッコ問題的な命題も含み、AIによる自動運転技術の未来を劇的に切り取る。

テーマ面でアクチュアルな作品として、宮西建礼「もしもぼくらが生まれていたら」。衛星構想コンテストに取り組む高校生たちが、小惑星の地球衝突による破局を前に計画を練るという内容だが、原子力の使用が国際条約で禁じられた世界を描く作品でもあり、核兵器に関する議論の取沙汰される時代に大きな意味を持つ一篇。

-装幀・デザイン・編集などでこだわった点を教えてください。

『NOVA』(河出文庫) 同様に、目次ページにあらすじを示すキャッチコピーを置き、「どの作品からでも好きに読むことができる」一冊にしたこと。800ページ長の分厚い本であるため、全作品を前から一冊通して一気に読むというよりも、枕元に置いて、折に触れて興味を惹かれた作品を少しずつ読み進めるような状態を想定した。

-他の日本SFアンソロジーに負けない!という点はなんですか。

SFファンに限らず、他人に勧めたくなる作品を収録した一冊であるということ。アイデアに度肝を抜く部分がある、明瞭なプロットを持っている、ドラマ性が高いなど、広い読者にとって分かりやすく驚きがあり、誰かに内容を紹介したい、面白さを共有したい、SNS等で呟きたい、広めたいと思えるものを集めている。

また、他のSFも読みたいと願う読者や、SFを執筆したいと願っている書き手にとって指針になるガイドとしての機能を備えた一冊であること。そのために、各作品のあとにサブジャンル別コラムを置いている。

伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』は全国の書店・オンラインストアで好評発売中。

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特別企画「日本SFアンソロジーの季節」開催中

今年の夏は日本SFアンソロジーが盛り上がっています。2022年5月から毎月、各出版社から5冊の日本SFアンソロジーが刊行されます。

5月には日本SF作家クラブ編『2084年のSF』 (ハヤカワ文庫JA) 、6月には伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』(ハヤカワ文庫JA) が刊行されました。7月には大森望編『ベストSF2022』 (竹書房文庫) 、8月には新たなSFレーベルのKaguya Booksから『新月』(社会評論社) 、晩夏には東京創元社から『Genesis 05』が刊行されます。

「日本SFアンソロジーの季節」を開催

そして、SFメディアのバゴプラでは、「日本SFアンソロジーの季節」と題して、各アンソロジーの魅力を紹介し、日本SFアンソロジーを盛り上げていく企画を実施します。以下の企画を通して、出版社や組織の枠を越えた国内SFアンソロジーの魅力を読者の皆さんにお届けしたいと思います!

企画① リレー記事「日本SFアンソロジーの季節」
企画② 第59回日本SF大会福島にて自主企画開催
企画③ 図書カードプレゼントキャンペーン

企画の詳細はこちらをご覧ください。

VG+編集部

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