【コラボ企画】日本SFアンソロジーの季節 vol.05 『Genesis この光が落ちないように』 | VG+ (バゴプラ)

【コラボ企画】日本SFアンソロジーの季節 vol.05 『Genesis この光が落ちないように』

今年の夏は、日本SFアンソロジーがあつい!

今年の夏は日本SFアンソロジーが盛り上がっています。初夏から晩夏にかけて、日本SF作家クラブ編『2084年のSF』 (早川書房)、伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』(早川書房) 、井上彼方編『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』(Kaguya Books) 、大森望編『ベストSF2022』 (竹書房) 、『Genesis この光が落ちないように』(東京創元社)と、5冊の日本SFアンソロジーが刊行されました。

SFメディアバゴプラでは、「日本SFアンソロジーの季節」と題して、各アンソロジーの魅力を紹介する企画を実施しています。今回ご紹介するのは、9月30日に刊行された『Genesis この光が落ちないように』(東京創元社)。東京創元社編集部SF班に4つの質問をしました。

『Genesis この光が落ちないように』、9月30日刊行!

2022年9月30日に『Genesis この光が落ちないように』(東京創元社)が刊行されました。『Genesis この光が落ちないように』は、ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手が集結した書き下ろしSFアンソロジーです。

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時代を作ったアンソロジー《GENESIS》

《Genesis》は、ベテランSF作家による書き下ろしの短編小説から、その年の創元SF短編賞受賞作品まで、幅広いSF作家が参加するSFアンソロジーです。2018年に「日本SFの新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ」として始まり、今回刊行された『Genesis この光が落ちないように』がシリーズ5冊目になります。

『Genesis この光が落ちないように』には、第27回電撃小説大賞を受賞し、『ユア・フォルマ』シリーズで人気を博した菊石まれほさんによる初めてのSF短編小説、長編版『天駆せよ法勝寺』の冒頭にあたる八島游舷「応信せよ尊勝寺」など、見逃せない作品が目白押しです。

また、第13回創元SF短編賞受賞作、笹原千波「この光が落ちないように」は、とある方法で繋がった二人の女性のかけがえのない一日をファッションをモチーフに描き出した瑞々しい作品。一緒に収録されている第13回創元SF短編賞の選評は各審査員による同作の的確な分析となっており、合わせて読むことでより一層作品を味わうことができます。

収録作品は全部で6編+第13回創元SF短編賞選考経過および選評

『Genesis この光が落ちないように』には6編のSF短編小説と第13回創元SF短編賞選考経過および選評が収録されています。

八島游舷「天駆せよ法勝寺[長編版]序章 応信せよ尊勝寺」
宮澤伊織「ときときチャンネル# 3【家の外なくしてみた】」
菊石まれほ「この光が落ちないように」
水見稜「星から来た宴」
空木春宵「さよならも言えない」
笹原千波「風になるにはまだ」(第13回創元SF短編賞受賞作)
第13回創元SF短編賞選考経過および選評

 

東京創元社編集部SF班に4つの質問!

『Genesis この光が落ちないように』について、東京創元社編集部SF班にお聞きしました。

-収録作の中で、最も虚構性の高い作品を紹介してください。

やはり巻頭の八島游舷さん「応信せよ尊勝寺」でしょうか。創元SF短編賞を受賞した「天駆せよ法勝寺」の前日譚、というか現在書き進めていただいている「法勝寺」長編版の冒頭部となる作品です。「法勝寺」をお読みになった方には言わずもがなですが、物理学ならぬ「佛理学」が成立した仏教世界を、言葉遊びを含めてこれでもかというぐらいに構築しています。ご本人は、スチームパンクならぬ「佛(ほとけ)パンク」と称しています。

-収録作の中で、最もアクチュアルな作品を紹介してください。

空木春宵さんの「さよならも言えない」ではないかと思います。異星を舞台にしたファッションSFで、個人の身体的特徴や、種族の文化的背景、それにTPOを弁えた装いをすることが是とされており、一見「ひとりひとりに合った、そのひと特有の装いをすることが素晴らしい」という社会に見えるのですが、その実は……というお話です。普通とはなにか、異常とはなにか、ということを考えさせてくれます。

-装幀・デザイン・編集などでこだわった点を教えてください。

装幀をnext door designの小柳萌加さんと長﨑綾さんに、装画をカシワイさんにお願いしています。日常×非日常というコンセプトをもとに、毎回、デザイナーさん、イラストレーターさん、編集者で話し合ってモチーフなどを決めています。
「Genesisといえばカシワイさん」と覚えてきていただいて、カバーをきっかけに手に取ってくださった方も多く、嬉しいです。今回は単行本として刊行するのは最後なので、祝祭感といいますか、お祭りの華やかさを前面に出す方向でお願いしました。
ちなみに〈Genesis〉が来年から移行する〈紙魚の手帖〉8月号もカバーはカシワイさんにお願いする予定です!

-他の日本SFアンソロジーに負けない!という点はなんですか。

やはりいちばんは、プロ作家の書き下ろし作品と並んで、新人賞受賞作が巻末に収録されているところでしょうか。
あとは、基本的に担当編集が扉裏の内容紹介と著者紹介を書いているところも特徴のひとつです。担当者によって文体も書き方もばらばらなのですが、それも味かなと思ってあえてスタンスを統一していません。編集者による紹介文は、今後かたちが変わっても続けていきたいと思っています。

 

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特別企画「日本SFアンソロジーの季節」開催中

今年の夏は日本SFアンソロジーが盛り上がっています。2022年5月から9月にかけて、各出版社から5冊の日本SFアンソロジーが刊行されました。

5月には日本SF作家クラブ編『2084年のSF』 (ハヤカワ文庫JA) 、6月には伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』(ハヤカワ文庫JA) 、8月には井上彼方編『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』(Kaguya Books) 、大森望編『ベストSF2022』(竹書房文庫) 、9月には東京創元社から『Genesis この光が落ちないように』が刊行されました。

SFメディアバゴプラでは、「日本SFアンソロジーの季節」と題した特別企画を開催。アンソロジーの編者や編集者の方々に各アンソロジーを紹介していただいております。

第59回日本SF大会にて「日本SFアンソロジーの夏」を開催

8月27日・28日に福島で開催された第59回日本SF大会にて、「日本SFアンソロジーの夏 アンソロジーの出版について出版社に聞いてみよう」という企画を開催しました。

SFメディアバゴプラの齋藤隼飛さんが司会を務め、井上彼方さん(Kaguya Books)、小浜徹也さん(東京創元社)、水上志郎さん(竹書房)、溝口力丸さん(早川書房)にSFアンソロジーの役割や魅力、今後の展望についてお話しいただきました。現在、対談の一部を文字起こしした記事をバゴプラで公開しています。

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