藤井太洋の新作中短編がKindleに登場
「おうむの夢と操り人形」の配信がスタート
10月23日、藤井太洋の新作中短編「おうむの夢と操り人形」が、Kindle Singleで配信を開始した。Amazon Publishingからの出版で、価格は199円。月額980円の読み放題サービス、“Kindle Unlimited”にも含まれている為、既に登録している方は定額料金のみで楽しむことができる。
2023年を舞台にした人工知能SF
「おうむの夢と操り人形」は、東京オリンピックから3年が経過した2023年が舞台。主人公でIT技術者の山科保は、携帯電話会社大手が2015年に発売した人型ロボット“パドル”を格安で手に入れる。山科は、自身が暮らすシェアハウスの同居人・飛美神奈と共に、“パドル”を利用した事業を立ち上げることに成功するが……。
目の前に迫る近未来を舞台に、AIと人間の関わり方をリアルに描いた、“最先端”の人工知能SFだ。
10月16日には『ハロー・ワールド』が発売
藤井太洋は、『オービタル・クラウド』(2014)で、第35回日本SF大賞を受賞したことで知られる。デビュー作の『Gene Mapper』(2012)は、電子書籍での個人出版。同年のKindle小説・文芸部門の売り上げで年間一位を獲得している。
2018年10月16日には、講談社から『ハロー・ワールド』が発売されたばかりだ。Amazonで『ハロー・ワールド』を購入した読者には、特典としてオリジナルショートストーリー「ロストバゲージ」のデータも配布されている。「ロストバゲージ」には、作者が9月に出席した中国・北京での科学リテラシー世界会議 (World Conference on Science Literacy)を連想させる一幕も登場する。特典のショートストーリーとはいえ、見逃せない一作だ。
Kindle Singleが持つ可能性
「おうむの夢と操り人形」が販売されるAmazonのKindle Singleは、日本では2015年4月から始まったサービスだ。Amazon Publishingが出版社となり、99〜399円程の価格で中短編の作品を出版している。電子書籍での出版となるため、紙媒体と異なり、作者が出したい長さの作品を出版できる点が特徴だ。
10月6日に開催された京都SFフェスティバル2018では、藤井太洋は「電子書籍でなにができるか——出版の新しい形をさぐる」という企画に、西崎憲、大前粟生と共に登壇。Kindle Singleの紹介も交えながら、電子書籍による出版についての自らの経験を、詰め掛けた約150名の参加者に共有していた。
デビュー時から一貫した姿勢で、電子書籍での出版をリードし続ける藤井太洋。常に迫り来る近未来を見据える彼が、今作ではどのようなストーリーを綴ったのか、是非ともその目で確かめよう。
藤井太洋の「おうむの夢と操り人形」は、10月23日(火)より、Amazonにて199円(税込)で発売。