『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』、書影と特装版カバー発表!
SF企業VGプラス(バゴプラ)主催のSFレーベル、Kaguya Booksより2022年8月29日に刊行する『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』の書影と特装版のカバーを発表します! 書影はこちらです!
『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』は、2020年、2021年に開催された第一回・第二回かぐやSFコンテストから生まれたSFアンソロジーです。コンテストの受賞者と最終候補者を中心に構成されており、生きたまま襟巻きになるキツネの物語や、世界を再創造する検閲の話、時を駆ける寿司SFなど、計25編のSF短編小説が収録されています。
カバーのデザインを手がけたのは谷脇栗太さん
『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』のカバーイラストとデザインを手掛けたのは、インディーズを中心に活動するイラストレーター・デザイナー・編集者の谷脇栗太さんです。谷脇さんは、大阪のリトルプレス専門店兼ギャラリー〈犬と街灯〉の店主でもあります。作家の北野勇作さん、蜂本みささんと一緒に、毎週水曜日にツイキャスにて、自作の掌編小説を朗読したりするラジオ〈犬街ラジオ〉を配信しています。
企画・制作した書籍は、エッセイアンソロジー『みんなの美術館』(2021) 、架空の島々を舞台にした文芸アンソロジー『貝楼諸島へ/貝楼諸島より』(2022) など。また、粘土で作った架空の島を売る島売人としての顔も持っています。
谷脇さんに、〈島〉の創作から島アンソロジー『貝楼諸島へ/貝楼諸島より』まで至る経緯や、創作物としての〈島〉の魅力を伺ったインタビューはこちらから読むことができます。
特装版を手がけたのは浅野春美さん
そして、3月に実施したKaguya Booksのクラウドファンディングのリターンの一つである特装版のデザインはこちらです!
『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』の特装版は、該当の支援者の方々にオリジナル版と共におくられます。
特装版を手がけたのはVGプラスのデザイン・ディレクター、浅野春美さん。浅野さんはこれまでにも、オンラインSF誌Kaguya Planetに掲載されている作品のカバーデザインや井上彼方編『社会・からだ・私についてフェミニズムと考える本』の表紙デザインなどを手がけてきました。
帯コメントに久永実木彦さん
『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』の帯にある「『新月』のとき、太陽の光は月の裏側に降りそそぐ――」という文言は、作家の久永実木彦さんからいただきました。
Kaguya Booksから刊行するアンソロジーのシリーズ名をツイッターで募集した際、『新月』というアイデアをくださったのが久永さんでした。そして、アンソロジーのシリーズ名を発表する際に、タイトルに込めた意味についてコメントをいただきました。『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』の帯の「『新月』のとき、太陽の光は月の裏側に降りそそぐ――」は、その文章から頂いた一説です。
帯に込めた思い
帯には、「ここには豊かな土壌があった」という言葉を記しました。SFアンソロジーの帯なので、未来志向の言葉を入れようかなと最初は考えていたのですが、あえて、「ここ」という今を表す言葉を選びました。
かぐやSFコンテストがなぜあれだけの盛り上がりを見せ、成功をおさめることができたのか。それは、すでに豊かな土壌があったからです。同人活動やネットでの小説の投稿など、書き手と読み手の方々の積み重ねと蓄積があり、2019年に開催された第一回ブンゲイファイトクラブの盛り上がりやそこでの活発な議論、橋本輝幸さんの活動、SFというジャンルを支えてきた方々の存在があってこそ、かぐやSFコンテストにはクオリティの高い作品が寄せられ、読者投票期間には、あれだけの活発な議論が交わされたのだと思います。
かぐやSFコンテストから生まれたアンソロジー「新月」では、既に存在していた豊かな世界に光を当て、広げていくことを大切にしたいと考えています。
全作品の20文字紹介!
『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』では、25編の作品を、〈時を超えていく〉〈日常の向こう側〉〈どこまでも加速する〉〈物語ることをやめない〉という四つのパートに分けて収録しています。各作品の収録順を紹介は以下の通りです。
『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』目次
はじめに
<第一章 時を超えていく>
三方行成「詐欺と免疫」 詐欺師が語る、未来から来た爺の話
一階堂洋「偉業 」 偉業には愛も死もいらない
千葉集「擬狐偽故」 生きたまま襟巻きになったキツネのお話
佐伯真洋「かいじゅうたちのゆくところ」 祖母の遺言を探しに〈情報層〉へダイブする
葦沢かもめ「心、ガラス壜の中の君へ」 オレンジ様を育てる私は気球ドローン
勝山海百合「その笛みだりに吹くべからず 」 あなたが地球で発見したのは怪異の笛
<第二章 日常の向こう側>
原里実「バベル」 ある日突然、誰とも言葉が通じなくなったら
吉美駿一郎「盗まれた七五」 「跳ねた血が」に続く七五が出てこない
佐々木倫「きつねのこんびに」 真夜中のお客さまはきつねでした
白川小六「湿地」 以前ここには幾千の半鳥人達が生息していた
宗方涼「声に乗せて」 もし理想的な声が出せたら何を伝えますか
大竹竜平「キョムくんと一緒」 私たち夫婦と虚無の透明な暮らし
赤坂パトリシア「くいのないくに」 彼人を育ててくれたのは白金に輝く一本の杭
<第三章 どこまでも加速する>
淡中圏「冬の朝、出かける前に急いでセーターを着る話」 セーターの中がこんなに広いだなんて……
もといもと「静かな隣人」 人類が出会った隣人が最高すぎた件
苦草堅一「握り八光年」 修行は辛い。ましてや相手は時を駆ける寿司
水町綜「星を打つ」 宇宙からの止まぬ砲撃に秘策で立ち向かう!
枯木枕「私はあなたの光の馬」 亡くした息子の代わりにあなたをつくった
十三不塔「火と火と火」 その日検閲は、全てのものを再創造し始めた
<第四章 物語ることをやめない>
正井「朧木果樹園の軌跡」 ふねになったさかなに乗って新しい星に渡る
武藤八葉「星はまだ旅の途中」 私は演者オブジェクトたちを育てるオタク
巨大健造「新しいタロット」 新しいタロットが教える星の記憶
坂崎かおる「リトル・アーカイブス」 数キロバイト分の小さな記憶を君に渡すよ
稲田一声「人間が小説を書かなくなって」 ひとつの書き出しから分岐していく世界たち
泡國桂「月の塔から飛び降りる」 月へのトンネルを長いこと補修し続けている
『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』ができるまで
シリーズ名『新月』の由来 久永実木彦
『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』は社会評論社より2022年8月29日(月)発売。絶賛予約受付中!
挿画・装幀:谷脇栗太
発行:Kaguya Books 発売:社会評論社
Kaguya Booksでは、晩夏にかけて他の出版社さんから刊行される4冊のアンソロジーとのコラボ企画も実施中。「#日本SFアンソロジーの季節」でキャンペーンに参加してください!